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双子はもともとルークからもシグルドからも王太子とは友人関係になるもならぬも好きにして構わないと聞いていた。
今はとにかく少女たちの過半数が王太子に向かったので心底安堵していた。それでも多少は粘っこい視線が剥がれないが先程よりは全くもってマシである。
「あれが王太子か」
「そうだね。あぁ、僕たちと同じような表情になってる」
「なってるか?笑ってる」
「だから僕たちと同じだって。笑ってるフリだよ」
「あぁ」
なるほど、と呟いてアベルは再度王太子を観察した。そう言われると笑みの形に歪んだ口の端に違和感がある。王太子の周りに群れる少女たちは気付いていないようだが。
そうして二人で話ていると騒がしい声が段々と近づいてきている事に気付く。内心ウンザリしながらも王太子が目の前まで来たのを視認すると双子は臣下の礼を取った。
「やぁ、君たちはフェルズ伯爵のご子息だね。今日会えると楽しみにしていたんだよ」
「お初にお目にかかります殿下。シグルド・フェルズの第一子カインと申します」
「同じくアベルです。お会いできて光栄です」
「アルフレッドだ。君たちの話は伯爵に聞いているよ。とても優秀だとね」
更に笑みを深めたアルフレッドは片手を上げると、周りの少女たちを立ち去らせるよう指示した。王太子にとって側近候補を見極めるのも今日の目的の一つ。男同士で話がしたいという事らしい。
アルフレッドの動作に気付いた少女たちの家族や婚約者たちが慌ただしくやってくると、少女たちを宥めすかして離れていった。
そして側に誰も居なくなるとため息を一つ吐いてアルフレッドは近くのテーブルにあった果実水を一気に飲み干した。
「ふぅ。やっと開放された。君たちのおかげで息が出来るようになったよ。感謝する」
「やはり殿下もあれは辛かったのですね」
「ふふ。父上から聞いてはいたが、いや、聞きしに勝るだね。恐ろしくすら感じたよ」
悪戯が成功したような笑顔でアルフレッドは言う。双子はどうやら彼女たちから開放される為の言い訳に使われたようだ。
先程まで同じように苦い思いでいたので、双子はこの王太子に共感を覚えていた。
「アルフと呼んでくれ。君たちとはぜひ永く付き合っていきたい。カイン、アベルと呼んでも?」
「もちろんですアルフ殿下。宜しくお願いします」
こうして3人は友人として時間がくるまで会話を弾ませていたのだった。
今はとにかく少女たちの過半数が王太子に向かったので心底安堵していた。それでも多少は粘っこい視線が剥がれないが先程よりは全くもってマシである。
「あれが王太子か」
「そうだね。あぁ、僕たちと同じような表情になってる」
「なってるか?笑ってる」
「だから僕たちと同じだって。笑ってるフリだよ」
「あぁ」
なるほど、と呟いてアベルは再度王太子を観察した。そう言われると笑みの形に歪んだ口の端に違和感がある。王太子の周りに群れる少女たちは気付いていないようだが。
そうして二人で話ていると騒がしい声が段々と近づいてきている事に気付く。内心ウンザリしながらも王太子が目の前まで来たのを視認すると双子は臣下の礼を取った。
「やぁ、君たちはフェルズ伯爵のご子息だね。今日会えると楽しみにしていたんだよ」
「お初にお目にかかります殿下。シグルド・フェルズの第一子カインと申します」
「同じくアベルです。お会いできて光栄です」
「アルフレッドだ。君たちの話は伯爵に聞いているよ。とても優秀だとね」
更に笑みを深めたアルフレッドは片手を上げると、周りの少女たちを立ち去らせるよう指示した。王太子にとって側近候補を見極めるのも今日の目的の一つ。男同士で話がしたいという事らしい。
アルフレッドの動作に気付いた少女たちの家族や婚約者たちが慌ただしくやってくると、少女たちを宥めすかして離れていった。
そして側に誰も居なくなるとため息を一つ吐いてアルフレッドは近くのテーブルにあった果実水を一気に飲み干した。
「ふぅ。やっと開放された。君たちのおかげで息が出来るようになったよ。感謝する」
「やはり殿下もあれは辛かったのですね」
「ふふ。父上から聞いてはいたが、いや、聞きしに勝るだね。恐ろしくすら感じたよ」
悪戯が成功したような笑顔でアルフレッドは言う。双子はどうやら彼女たちから開放される為の言い訳に使われたようだ。
先程まで同じように苦い思いでいたので、双子はこの王太子に共感を覚えていた。
「アルフと呼んでくれ。君たちとはぜひ永く付き合っていきたい。カイン、アベルと呼んでも?」
「もちろんですアルフ殿下。宜しくお願いします」
こうして3人は友人として時間がくるまで会話を弾ませていたのだった。
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