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閑話:王宮
重厚感溢れる家具に囲まれた執務室。部屋の中央に鎮座する革張りのソファーにアルフレッドと国王は向かい合って座っていた。
国王は執事の入れた紅茶を優雅に飲み、アルフレッドは今日あった魔力測定の結果を吟味していた。自身のものではなく、側近候補のものである。
全てにざっと目を通して目の前のローテーブルの上にパサリと書類を落とした。
「どうだ?お前の目に叶う者は居たか?」
その様子を見ていた国王は徐に息子に尋ねる。5歳とはいえその類まれなる才能で王太子の執務をすでに始めているアルフレッドはもちろん自分の側近も自分で選ぶつもりでいた。
「そうですね。最終的にはこの二人をとりあえず候補に。あとは年毎にある測定に期待します」
「うむ。同年代に二人も居たのなら僥倖。使えそうか」
「断言出来ますよ。あの宰相補佐の子息です」
「ほぅ。シグルドのか。そう言えばそんな子息が居たと聞いていたな」
「魔力量は申し分ありませんし、少し会話しましたが対応も姿勢も文句ありません。頭も切れそうですし」
「ふふ。2代に渡って仕えてくれるか。楽しみだな。それで、婚約者の方はどうだ?」
婚約者、という言葉を聞いた途端眉を顰める息子に国王は苦笑する。そっちは一筋縄ではいかないらしい。
「来年以降に期待しますよ。望みは薄いですが」
「ふうむ。そうだな。代々王族は婚約者を決めるまでは毎年の社交デビューの場に参加可能だ。ま、頑張りなさい」
「はい」
「時に妥協する事も大切だぞ?」
「妥協、ですか」
「そうだ。譲れない部分と譲れる部分を自分の中で決めろ。消去法で見つけるという方法もある。そういう事だ」
目の前にある冷めた紅茶に目をやると即座に新しく入れ直してくれる。執事は優秀なのである。
その様子を見ながらアルフレッドはため息をつく。王族として生まれた以上は義務がある。特に王太子である自分の結婚はつまり国王と共に国を守る王妃を決めると言うことだ。
分かってはいるが、やはり理想は持っている。どうせ長く共に歩む相手なのだから愛し合いたいと思う。
「優しく清廉で美しい女性がいれば一番良いんですけど」
その言葉を聞いて今度は国王がため息をつく番だった。
「お前は理想が高すぎる」
そう言われても、アルフレッドはギリギリまで妥協する気は毛頭なかった。理想の女性を見つける。そして見つけたなら絶対に捕まえる。例えどんな手を使ったとしても・・・。
「きっと会えると信じてますよ。そんな女性に」
国王は執事の入れた紅茶を優雅に飲み、アルフレッドは今日あった魔力測定の結果を吟味していた。自身のものではなく、側近候補のものである。
全てにざっと目を通して目の前のローテーブルの上にパサリと書類を落とした。
「どうだ?お前の目に叶う者は居たか?」
その様子を見ていた国王は徐に息子に尋ねる。5歳とはいえその類まれなる才能で王太子の執務をすでに始めているアルフレッドはもちろん自分の側近も自分で選ぶつもりでいた。
「そうですね。最終的にはこの二人をとりあえず候補に。あとは年毎にある測定に期待します」
「うむ。同年代に二人も居たのなら僥倖。使えそうか」
「断言出来ますよ。あの宰相補佐の子息です」
「ほぅ。シグルドのか。そう言えばそんな子息が居たと聞いていたな」
「魔力量は申し分ありませんし、少し会話しましたが対応も姿勢も文句ありません。頭も切れそうですし」
「ふふ。2代に渡って仕えてくれるか。楽しみだな。それで、婚約者の方はどうだ?」
婚約者、という言葉を聞いた途端眉を顰める息子に国王は苦笑する。そっちは一筋縄ではいかないらしい。
「来年以降に期待しますよ。望みは薄いですが」
「ふうむ。そうだな。代々王族は婚約者を決めるまでは毎年の社交デビューの場に参加可能だ。ま、頑張りなさい」
「はい」
「時に妥協する事も大切だぞ?」
「妥協、ですか」
「そうだ。譲れない部分と譲れる部分を自分の中で決めろ。消去法で見つけるという方法もある。そういう事だ」
目の前にある冷めた紅茶に目をやると即座に新しく入れ直してくれる。執事は優秀なのである。
その様子を見ながらアルフレッドはため息をつく。王族として生まれた以上は義務がある。特に王太子である自分の結婚はつまり国王と共に国を守る王妃を決めると言うことだ。
分かってはいるが、やはり理想は持っている。どうせ長く共に歩む相手なのだから愛し合いたいと思う。
「優しく清廉で美しい女性がいれば一番良いんですけど」
その言葉を聞いて今度は国王がため息をつく番だった。
「お前は理想が高すぎる」
そう言われても、アルフレッドはギリギリまで妥協する気は毛頭なかった。理想の女性を見つける。そして見つけたなら絶対に捕まえる。例えどんな手を使ったとしても・・・。
「きっと会えると信じてますよ。そんな女性に」
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