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続編
1 十年目の同窓会
しおりを挟む同窓会の会場に魔法陣を見つけたときから嫌な予感がしていた。
「ごめんね、みんな! 私、真実の愛にようやく気付いたの。だから、さよならっ!」
「ヴィーナ! 僕の真実の愛は君だった。迎えに来たんだ、結婚しよう」
その日起きたことは思い出したくもない。
でも――。
この日のことを、俺は生涯忘れることはないだろう。
同窓会の会場は店ではなく、レンタルのパーティースペースだった。
かなり広く、1フロア丸々貸し切りだ。子供連れでの参加者にも配慮しており、別室にキッズスペースを用意したうえに、保育科の学生と看護科の学生をベビーシッターとして雇う徹底ぶり。
確かに高校卒業して十年。既に家族を持つ者もいるだろう。これなら子供がいても参加しやすい。誰がこんなきめ細やかな配慮を……と思ったら、ビックリしたことにギャル達だった。
結婚、出産が早かった彼女達はこういう場に出るときに苦労したそうだ。だから幹事を引き受け、子持ちでも参加しやすい同窓会を企画したのだという。
放課後の掃除はサボるわ自称ヒロインと共にやりたい放題だわ、在学中は迷惑ばかりかけられたが、二人が異世界に帰るときには見送りに来たり最後は自称ヒロインの住んでいた高級マンションを掃除したり、面倒見のいいところもある。彼女達は彼女達でいいところがあって、歳と共にちゃんと成長しているのかもしれない。
とかしんみり思っていたのに。
「やっぱ同窓会は全員出席じゃないとね!」
「そうそう。会うのちょー久しぶりじゃね」
「オカ研のみんな協力マジ感謝!!」
そんなことを言いながら、同窓会の会場に用意された舞台上に見慣れた魔法陣を広げる姿を見て――俺は嫌な予感しかしなかった。
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