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リリーside
15 ハッピーエンド……のその後に
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そこからは必死だった。とにかく討伐を急いだ。お腹の子供は間違いなく、あの時に授かったユージとの子だ。幸い、ユージも王子も金髪に紫の目。産まれても誤魔化せるだろう。ただし――この世界にDNA鑑定はないけれど、流石に行為自体がないのは誤魔化せない。純潔が聖女の条件である以上、一線を越える事すらできない。と、なれば――。
一刻も早く討伐を終える。それしかなかった。
妖精祭りは参加しなかった。イベントを楽しんでいる余裕などない。
幸い、レベルが低いからと早めの討伐をしてきたし、戦闘の順番を工夫すればショートカットは可能だ。魔物の発生源は決まっているので、広がる前にそこを直接叩けば無駄な戦闘は省けるし、場所は全て覚えている。何なら先回りしてもいい。
妊娠が分かってからはとにかく最短で襲撃イベントを終わらせるべく、寝る間も惜しんで頑張った。
途中、私の体調を心配した王子が討伐のペースを落とそうと言ってきたときは焦った。冗談じゃない。シナリオ通り討伐に半年もかけていたら周囲に妊娠がバレてしまう。だから。
「私……クリス様と、一刻も早く、本当の意味で結ばれたくて……。クリス様は違うのですか?」
そんな風に言って誤魔化した。そうしたら。
「……っ! も、勿論だよリリー! ああ、襲撃さえなければ今すぐにでも結ばれてしまいたいくらいだ」
「私も、です。でも、討伐が終わるまでは、純潔でなくてはならない。だけど、クリス様が好きすぎて――心が間に合わない。だから――少しでも早く、魔物を全て倒してしまいたいんです」
「……それで、君はこんなにも頑張って――分かった。とにかく、一刻も早く討伐を終わらせよう。そして、その暁には……」
そう言って、王子は私を抱きしめた。その顔は切なげだ。
「国民に妬いてしまうよ。早く、君を僕だけのモノにしたいのに……いや、王子の僕が言ってはいけないセリフだな」
あんなにドキドキした――ゲームをやっているときには画面の向こうでキュンキュンしたセリフ。こっちに来てからも何度も聞いた、高い好感度を表すセリフ。それを聞いても、まったく心が晴れなかった。
そして、そこから二週間。
王子も人が変わったように討伐で大活躍し、通常半年かかる討伐を一カ月ちょっとでやり切った。
こちらの世界へと戻って来てからラストイベントまでの日数を考えても、誤魔化せるかギリギリだ。
だから、最後の敵を倒したその夜に。王子と結ばれた時には安心した。
嬉しくて泣いた。王子はそれを見て感動してた。
少しして私の懐妊が発表され、慌てて結婚式が執り行われた。魔物の大規模襲撃の終了と、聖女の懐妊、王太子の結婚。次々と舞い込む明るいニュースに国民はお祭り状態だ。二人の結婚も、国中が祝福してくれた。
とにかく、これでもう大丈夫。何も心配はない。あの夜の子供として堂々と出産できる。顔は多少似ていなくても。
髪さえ似れば――何より目の色さえ似れば――大丈夫。
そう思っていたのに。
産まれてきたのはユージそっくりの。
黒髪と黒目を持った子供だった。
私は知らなかったのだ。私の前世と、ユージの住むあの世界。髪の染め方が違うだなんて。
一刻も早く討伐を終える。それしかなかった。
妖精祭りは参加しなかった。イベントを楽しんでいる余裕などない。
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妊娠が分かってからはとにかく最短で襲撃イベントを終わらせるべく、寝る間も惜しんで頑張った。
途中、私の体調を心配した王子が討伐のペースを落とそうと言ってきたときは焦った。冗談じゃない。シナリオ通り討伐に半年もかけていたら周囲に妊娠がバレてしまう。だから。
「私……クリス様と、一刻も早く、本当の意味で結ばれたくて……。クリス様は違うのですか?」
そんな風に言って誤魔化した。そうしたら。
「……っ! も、勿論だよリリー! ああ、襲撃さえなければ今すぐにでも結ばれてしまいたいくらいだ」
「私も、です。でも、討伐が終わるまでは、純潔でなくてはならない。だけど、クリス様が好きすぎて――心が間に合わない。だから――少しでも早く、魔物を全て倒してしまいたいんです」
「……それで、君はこんなにも頑張って――分かった。とにかく、一刻も早く討伐を終わらせよう。そして、その暁には……」
そう言って、王子は私を抱きしめた。その顔は切なげだ。
「国民に妬いてしまうよ。早く、君を僕だけのモノにしたいのに……いや、王子の僕が言ってはいけないセリフだな」
あんなにドキドキした――ゲームをやっているときには画面の向こうでキュンキュンしたセリフ。こっちに来てからも何度も聞いた、高い好感度を表すセリフ。それを聞いても、まったく心が晴れなかった。
そして、そこから二週間。
王子も人が変わったように討伐で大活躍し、通常半年かかる討伐を一カ月ちょっとでやり切った。
こちらの世界へと戻って来てからラストイベントまでの日数を考えても、誤魔化せるかギリギリだ。
だから、最後の敵を倒したその夜に。王子と結ばれた時には安心した。
嬉しくて泣いた。王子はそれを見て感動してた。
少しして私の懐妊が発表され、慌てて結婚式が執り行われた。魔物の大規模襲撃の終了と、聖女の懐妊、王太子の結婚。次々と舞い込む明るいニュースに国民はお祭り状態だ。二人の結婚も、国中が祝福してくれた。
とにかく、これでもう大丈夫。何も心配はない。あの夜の子供として堂々と出産できる。顔は多少似ていなくても。
髪さえ似れば――何より目の色さえ似れば――大丈夫。
そう思っていたのに。
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黒髪と黒目を持った子供だった。
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