6 / 40
6 番からの解放
しおりを挟む
初めは身を切られるように辛かった。国を離れる際には自分の魂が引き裂かれるような喪失感を覚え引き返したくなったこともある。
それでもリベルタを後押ししてくれた両親、それに頑張り屋の義弟のことを思い歩みを進めるうちにその苦しみからは解放された。
新獣人国から少し離れた小国を歩いていたとき。
急に――リベルタのヴァールへの気持ちが消えたのだ。
落ち着いて番の顔を思い浮かべてみても特に何も感じない。ヴァールを番だと認識してからずっと彼に対して抱いていた、飢えるような渇望に苦しめられることもなくなった。
観光中のことだったので、最初は旅先での解放感からかもしれないと半信半疑だったが、そもそも出国してから何日も立つし、既に数か国を経由している。
どうして自国とは何の関係もないこんな他国の道端で、との疑問は残るが考えたところで答えはでない。国から遠く離れたら番への愛が消えた。分かっているのはそれだけだ。
どうやら『番』を感知する能力には限界があるらしい――リベルタはそう判断した。
「……こんなに簡単なことだったのね」
領民のこと。両親のこと。一向に気が付いてくれない番のこと。自らを縛るものが多すぎて、リベルタは国を出ようと考えたことすらなかった。
しかし、こうして外の世界へと出てみればいかに自分が狭い世界で生きてきたのかが分かる。
両親は見違えるように生き生きとしていくリベルタの手紙を楽しみにしてくれているし、努力家の義弟はまだ幼いうちから必死に家の仕事を覚えようとしてくれている。跡継ぎ問題が解決したことで進んだ事業もあるし、領民もこれで安心して生活していけることだろう。
そして――。
リベルタは恋をした。ヴァールと初めて顔を合わせた時のような、雷に打たれたような衝撃も、身も心も縛られるような陶酔感もないが、暖かい春の日差しのような心地よい、穏やかな愛情を感じさせてくれる相手に出会うことができた。
それでもリベルタを後押ししてくれた両親、それに頑張り屋の義弟のことを思い歩みを進めるうちにその苦しみからは解放された。
新獣人国から少し離れた小国を歩いていたとき。
急に――リベルタのヴァールへの気持ちが消えたのだ。
落ち着いて番の顔を思い浮かべてみても特に何も感じない。ヴァールを番だと認識してからずっと彼に対して抱いていた、飢えるような渇望に苦しめられることもなくなった。
観光中のことだったので、最初は旅先での解放感からかもしれないと半信半疑だったが、そもそも出国してから何日も立つし、既に数か国を経由している。
どうして自国とは何の関係もないこんな他国の道端で、との疑問は残るが考えたところで答えはでない。国から遠く離れたら番への愛が消えた。分かっているのはそれだけだ。
どうやら『番』を感知する能力には限界があるらしい――リベルタはそう判断した。
「……こんなに簡単なことだったのね」
領民のこと。両親のこと。一向に気が付いてくれない番のこと。自らを縛るものが多すぎて、リベルタは国を出ようと考えたことすらなかった。
しかし、こうして外の世界へと出てみればいかに自分が狭い世界で生きてきたのかが分かる。
両親は見違えるように生き生きとしていくリベルタの手紙を楽しみにしてくれているし、努力家の義弟はまだ幼いうちから必死に家の仕事を覚えようとしてくれている。跡継ぎ問題が解決したことで進んだ事業もあるし、領民もこれで安心して生活していけることだろう。
そして――。
リベルタは恋をした。ヴァールと初めて顔を合わせた時のような、雷に打たれたような衝撃も、身も心も縛られるような陶酔感もないが、暖かい春の日差しのような心地よい、穏やかな愛情を感じさせてくれる相手に出会うことができた。
284
あなたにおすすめの小説
あなたの運命になりたかった
夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。
コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。
※一話あたりの文字数がとても少ないです。
※小説家になろう様にも投稿しています
[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。
キャロル
恋愛
国の駒として隣国の王と婚姻する事にになったマリアンヌ王女、王族に生まれたからにはいつかはこんな日が来ると覚悟はしていたが、その相手は獣人……番至上主義の…あの獣人……待てよ、これは逆にラッキーかもしれない。
離宮でスローライフ送れるのでは?うまく行けば…離縁、
窮屈な身分から解放され自由な生活目指して突き進む、美貌と能力だけチートなトンデモ王女の物語
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。
四季
恋愛
マリエ・フローレニシアとダット・ティオドールは幼馴染みであり婚約者同士。
仲は悪くなかった。
だが、ダットがアレンティーナという女性と仕事で知り合った時から、二人の関係は崩れていって……。
全てを疑う婚約者は運命の番も疑う
夏見颯一
恋愛
疑ってかかる婚約者は全てを疑ってかかる。
タイトル通りです。
何かが起こっているようで、疑った所為で結果的には何も起きなかった。そんな話です。
5話+番外編。
【彼の両親の運命】だけは死にネタです。ご注意下さい。
一話完結型。
運命の番の話を書いてみたかったので書いてみました。
番に関して少し独自解釈があります。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる