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13 コインの行方を追う為には
しおりを挟む何かお金の行方を追えるようなシステムがあればいいのに。
ほら、前世のドラマや小説でよく見るやつ。誘拐事件とかでお金の番号を控えておくとか……ああ、駄目だ。そもそもこっちには紙幣がない。
動きを追えるお金がないのではどうしようも……いや、待って。こっちには『紙幣』はないけど、『コイン』はあるのよね?
こちらのコインは王族の顔が刻印されている都合上、汚れたり傷が入ったりした物などは国へと回収される。
それを誰がやっているのかといえば……貴族だ。
我が国では税金を集めたり商会を経営したりするうえで、現金を手にする機会が多い貴族は、傷ついたコインの回収に対する義務も追う。
――が、特に罰則もないのであまり力のない貴族などはその辺が行き届かず交換基準も緩い。不敬となるので大きく傷が入っているコインなどはほぼ確実に回収されるが。
流通するコインを見ればその領地を預かっている貴族の国王への忠誠心が分かる……とか言われているくらいだ。
もちろん回収したコインは王城で交換をしてもらえるので、力のない貴族は国に届け出をして新品のコインと交換してもらっている。
一方で。裕福な貴族は敢えてその届け出をしない。
不敬となる傷ついたコインの流通が少ない=交換数が少ない――という図式が出来上がっているので、王城での交換数が少なければ少ないほど国王からの覚えがめでたいとされているからだ。
金を集めた際に。傷付いたコインを選別、回収。
税金などの場合、国へ治める分で足りなくなった分は、貴族自らが身銭を切っての支払いとなる。
回収された傷のついた『不敬コイン』は使われることなく交換もされず、ただただプールされていく。
結果、国は労せず不敬コインを排除でき、市場にはキレイなコインが出回ることになる。
回りくどいし少し特殊ではあるが、貴族の自主性に任せた隠れた国への貢献となっているのだ。
まあ、領地に何かあったり何かやらかしたりした場合、結局はそれに手を付けることになるのだが。
ただ、高位貴族の場合それを支払いに使うのは『ウチってばまずいですよー! コレに手を付けるくらい財政状況崖っぷち☆ですよー!』……と、周囲に宣伝しているようなものなので、まずしない。
その前に政略結婚でも何でもして使用を避けるはずだ。
だから――。
詐欺事件でポンと慰謝料を支払えるくらいの貴族であるならば、持て余しているコインもそれなりの量あるはず。
一度は回収された特徴のある不敬コイン。
紙幣記番号の代わりに、それらを活用できるのではないか――。
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