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18 婚約者の本音

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「当り前だろう。お前は物覚えが悪くて、貴族の爵位や力関係なんかをちっとも理解していなかったからな。得意だという料理の腕も見た目ばかりでガッカリだし、とてもじゃないが侯爵家のオレとはつり合いが取れていないと思っていた。でもまあ、所詮お前は伯爵家だし? 女だし? まだ子供だったから、オレもどうにか我慢していたんだ。……でも、学園では王太子殿下の婚約者と仲良くなったり、高位貴族令嬢と仲良くなったりと、急に調子づきやがって。お前、一体何なんだよ。婚約者のオレが侯爵家だからって、伯爵家の分際でいい気になっていたんだろ」

「誤解だわ! 彼女達とはその……たまたま話が合って」

「ハンッ! 伯爵家程度のお前と高位貴族令嬢とで合う話ってなんだよ?」

「………」

「…ホラ、言えないんだろうが。いいか、お前程度、オレの婚約者だったから声をかけて貰えただけなんだよ。選ばれた存在なのはオレの方なんだよ。それなのに、オレも招待されていない夜会に参加したりと、妙な勘違いをしやがって。そのくせ急に太ったり痩せたり、自己管理も出来てないなんて、どういうつもりだよ。親から言われて贈りたくもないドレスを贈らされているこっちの身にもなってみろよ、迷惑なんだよ。しかも、何。最近じゃあ、目の下真っ黒になるまで遊びまわったりでもしてるわけ?」

「違……っ! 誤解よ、あれは……」

「――ま、今更どうでもいいけどな。時間はかかったけど、家の借金はオレが自分の力で全て返した。それでやっと親も黙らせた。だから、オレとの婚約は無かったことにしてくれ」

「そ、んな……」




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