like a butterfly in the dark sky

井海博人

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six

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「あー、よかった。さっき理世が出て行った時はまたどうなるかと思ったけど、やっぱりシュウくんがいると順調よねぇ」



 理世が突然スタジオを離れたため、当然中断していた撮影は、その後は何の滞りもなく進んだ。



 撮影終了直後に英子が安堵の溜め息と共にそんな感想を漏らしたのも道理だ。

シュウがスタジオに戻って以来、理世はカメラマンの要求通り完璧に仕事をこなし、ほとんど撮り直す必要がなかったほどだ。

 ポスター撮りはヘタをすれば深夜にまでずれ込むこともあるのだが、僅か三時間ほどで終了してしまった。



「シュウくんがテストなんかでいない時は、こんなもんじゃないんだから。どんなに時間がかかっても、プロ根性で最後まできちんと仕事してくれるのは、マネージャーとしても嬉しいんだけどねぇ」



 撮影の片付けや今後の打ち合わせをしながら、英子は急に歳を取ったような口調で愚痴をこぼす。



「シュウ」



 苦笑いしながらシュウがそれを側で聞いていると、背後から声がかかった。

振り返ると、撮影の際の衣装を脱ぎ、早くもシックな葡萄色のドレスに着替えた理世がそこにいた。



「わたし、神崎さんに送ってもらうから」



 淡々とした抑揚で言われ、シュウはどこか慎重な様子で頷く。



 神崎とは今日の撮影を担当したカメラマンだ。

もう初老に差しかかろうかという年齢で、プロダクションの社長の知己らしく、理世としては祖父のような感覚なのかもしれない。

撮影中厳しいプロの顔をしている時は若々しく見えるが、仕事が終わるとただの好々爺こうこうやに戻るといった具合だ。

彼女の我がままにも根気よくつきあってくれる貴重な人材でもある。

アシスタントのスタッフはまだバタバタとスタジオ内の片付けに追われているが、彼自身は纏めた身の回りの荷物を持ち、理世の後ろでニコニコとしている。



「分かった。じゃあ、俺、英子さんと打ち合わせしてくから」



 次のスケジュールなどは理世に伝えても忘れてしまうため、シュウは時折仕事の最後にサブマネージャーとして英子と打ち合わせを行うことがあった。

 いつもは英子が車で理世を自宅マンションまで送っていくため、その必要のない今日を有効に使おうという算段だ。

 特に珍しいことではないはずなのに、それを聞いた理世は「ふぅん」と何故か面白くなさそうに鼻を鳴らした。



「そ。じゃ、遅くならないようにね」



 そして、いつになく素っ気なくそう言い、神崎と連れ立ってスタジオを出て行く。



「そんなに遅くならないよ。すぐ帰る」



 シュウは少し声を張り上げてその背に告げた。

 言い訳のように。























 ベッドのヘッドボードに背を預けたシュウの股間で女の頭が動いている。

 バレッタをはずし、解いたストレートの髪を上下に躍らせながら、シュウの陰茎を片手に握り、その先端を口に含ませている。

 先程までは品のよい薄化粧だったが、口紅を塗り直したのか、陰茎を咥える唇は鮮やかな深紅だ。

 茎胴を握る手の爪は伸ばされてはいないもののきれいに整えられ、真珠色のネイルが薄く塗られている。



 長いこと咥えられているシュウの陰茎は先端から根元までベトベトに濡れ、薄暗い部屋の中でもてらてらと光っている。

 赤い唇と茎胴の隙間からはなおもトロトロと唾液が滴り落ち、片手で茎胴を擦っている女は、それをさらに陰茎全体になじませるように手を動かす。

 女の口元からはジュゴッジュゴッという唾液を啜る音が聞こえ、それに合わせるように硬く張り詰めた陰茎は唇の間で出たり入ったりを繰り返す。



「んっ……んくっ、んっんっ……んむふっ、んふっ……」



 女は頭を動かすたびに喉の奥から声を漏らした。

 顎が疲れると彼女は口で扱くのをやめ、舌先を使って陰茎を翻弄する。

 裏筋を舐めたかと思うと亀頭に吸い付き、舌先で先端の小さな穴を穿ったあとは、口に含まず、陰茎を隅から隅まで丹念に舐め回す。

 シュウのものにさらに刺激を与えるように、ふぐりを手に持ちさわさわと揉んでくれたりもする。

 年齢を重ねているだけあって、彼女のフェラチオはまさに絶技だ。

まだ若いシュウはその濃厚な口技に一溜まりもなく屈する。



「英子さん……そろそろ……」



 苦しげに訴えると、英子は陰茎から口を離して顔を上げた。



 全裸でシュウの股の間に屈みこんでいる彼女は、当然眼鏡をかけていない。

眼鏡をはずし髪を下ろした英子は幾分歳より若く見える。

その分色気が増し、昼間の有能なマネージャーから、夜の女の顔へと変化する。



「あら、もう?」

「英子さん、フェラ上手いから……」



 上体を起こした英子はいくらか残念そうに彼の陰茎を見る。

 シュウは多少お世辞交じりにそう言った。

 確かに彼のものは既に最大限に膨張し、長く太く硬くそそり立っている。



「でも、そうね。わたしも久しぶりだから我慢できないかも」



 その様子を目にした英子は、シュウを見て少しいたずら気味にそんなことを言った。



「じゃあ、もう来て」



 脇に体をどけたシュウと入れ替わりに、英子はベッドの上に横たわる。

 彼を見つめながら、端的な言葉で誘った。

 その彼女の瞳が煌きらめいているのは、快感を覚え始めている証拠だろう。



「そのままでいいの? 俺も舐めてあげようか?」



 多少戸惑った様子でシュウが尋ねると、英子はニッコリと笑った。



「大丈夫。ほら、見てよ。わたしのここ、もうこんなにグショグショなんだもの」



 それから、演技がかった口調で言い、自ら足を左右に開くと、自分の指を使って膣の入り口を大きく割り、中を示してみせた。

 彼女の言葉通り、割れ目からは愛液がタラタラと流れ落ち、尻の方まで濡れている。



 くすりと笑って頷いたシュウは、サイドボードに手を伸ばし、そこにあった小さな包みを手に取った。

歯を使って包装を破り、取り出したコンドームを慣れた様子で自分のものに装着する。



 言うまでもなく、シュウも衣類は一切身につけていない。

 細身の彼の体はそれほど筋肉がついているわけではないが貧弱というわけでもなく、すっきりと引き締まっている。

肌にはもちろん若々しい張りがあり、浅黒いというほどではないにしても、健康的な色をしている。



 一時間ほど前にこのホテルの一室に入り、一応明日以降の理世のスケジュールの打ち合わせをしたあと、慌しくシャワーを浴びて二人でベッドに入った。

 キスやペッティングといった前戯は一通りすませ、なかなか元気にならないシュウのものを英子が口を使って大きくしていたところだった。



「入れるよ」



 シュウは英子の足を両手でさらに押し広げたあと、前置きをしてからゴムをつけた自分のものを彼女の割れ目に宛がう。

 腰に力を入れて陰茎を推し進めると、英子の膣はするすると彼のものを飲み込んでいった。



「あぁぁっ……いいっ……やっぱりシュウくんのいいわぁっ……」



 太い茎胴が柔肉を押し退けてズブズブと奥に入り込んでいくと、英子はそれだけで大きく声を上げ、軽く仰け反って膣道を収縮させる。

 使い込まれた彼女の膣は、ただ温かく柔らかく、シュウのものを根元まですっぽりと包み込む。

 自分のものの先端が英子の子宮に届いたのを知ると、シュウはすぐには動き出さず膣内の心地よさに浸るように深く息を漏らした。



「んもぅ……早く動いてよ」



 それを見た英子は、せっかくその気になってるんだから、と口を尖らせて彼をせかす。

 頷いたシュウは、ゆっくりと腰を引いた。

充分に膣内を満たしていた愛液がゴムに絡みつき、濡れて光る彼のものが姿を現す。

 カリの下部が見えたところで再び腰を押し出し、膣道の中で自分のものを滑らせて最も奥まで先端を届かせる。



「んぁぁぁっ……」



 そうして自分のものを内壁に擦りつけるように、のろのろと出したり入れたりを繰り返していると、英子は子宮を突かれるたびに小さく体を震わせ彼の陰茎を味わっていた。

 シュウの腰の動きは次第に速まり、小気味よいリズムを刻み始める。



「いいっ、シュウくんっ……太くて硬くて……気持ちいいっ……」



 まだ余裕のある英子はそんな卑猥な言葉を口にし、互いを煽ろうとする。



 正常位に飽きると次はバックから、その次は背面座位で、と二人はさまざまに体勢を変え、互いの性器の感触を楽しんだ。

 それを受け、ベッドはキシッキシッ、ギシッギシッと様々な音を立てる。



 十月中旬の夜は少し肌寒いとはいえ、ホテルの室内には冷房も暖房もきいていない。

それでも二人の体からは汗が滲み出てくる。



「シュウくん、おっぱいもっ……たくさん揉んでぇっ……」



 再び正常位に戻った時、英子はそうシュウに懇願した。自ら彼の手を取り、豊満な乳房へと導く。

 着やせするたちなのか、スーツの上からではあまりよく分からないが、英子の胸はかなり大きい。

長い指を持つシュウの大きな手でも掴みきれないほどだ。

力を入れて掴むと、柔らかな肉が指の間から零れ落ちそうになる。

 腰の方は機械的に一定の速度で動かしながら、シュウは英子の乳房を両手で掴んだ。



「あはぁっ……」



 ギュッと握り締めると、彼女の体が僅かに跳ねる。

 硬く立ち上がっている大粒の乳首をコリコリと捻ると、右に左にしきりと身を捩り、膣壁がグニグニと蠢く。



「もっ、もうっ……わたしっ、シュウくんっ……」



 感じ切っている様子の英子は、熱い息を吐きながらシュウを呼んだ。

彼女には早くも限界が訪れようとしているらしい。

 英子の体の脇に手を突いたシュウは腰を振る速度を上げた。



「あぁぁっ……だめっ……シュウくん、それじゃっ……はげしぃっ……」



 彼の動きにゆらゆらと揺すられながら、英子は必死で訴える。

 彼女の肌は真っ白だ。本人も以前「肌だけが自慢」と言っていた。

ロシア人のように、という比喩が正しいかは分からないが、ともかく寒冷地方に生まれ育った人間によく見られる、色素を吸い取られたような、純白の肌を持っている。

おまけに手入れが行き届いているせいかしっとりと吸い付いてくるような餅肌で、その年齢相応の柔らかな肉付きと相まって、触れているとひどく心地よい。

 英子のそんな裸体は、今シュウの眼下で上下動を繰り返している。



「だめぇっ……いくぅっ、いくのぉっ……」



 シュウの陰茎に奥を突かれていた英子は、そのうちそう叫んで大きく仰け反った。

 その瞬間だけシュウが動きを止めると、膣壁は強く収縮して茎胴に吸い付いてくる。

 ひくひくと痙攣していた英子の体が鎮まるのを待って、シュウは腰の動きを再開させた。



「いやぁっ……シュウくん、待って、わたしまだっ……」



 完全には余韻が収まっていない英子は彼を止めようとするが、シュウも徐々に射精欲がこみ上げてきていた。



「英子さん、俺もいく、からっ……」



 奥歯を噛み締めて強く腰を叩きつけると、ベチベチと打ち合う二人の肌が音を立てる。

 英子の割れ目からはじゅくじゅくと愛液が飛び散り、彼らの陰毛を濡らしていた。



「はぁぁんっ……シュウくん、早くっ……わたし、きつっ……」



 自身の言葉通り、英子はいささか辛そうに眉を顰める。

 そんな彼女の表情を見ていたシュウの脳裏を、ちらりと理世の顔がよぎった。



 ――もし姉さんなら、どんな顔でどんな声で……。



 英子を抱く時、シュウはどうしてもそう考えてしまう。

英子と理世では顔も体も年齢も性格も、何もかも全く異なるのに、それでも気がつくと、英子の姿を姉に置き換えている自分がいる。



 そうなると、シュウの体は急速に頂点へと押し上げられる。

 頭から爪先まで、火を噴くような熱を体の中に感じた直後、何かが弾ける。



「あ、うっ……」



 呻き声と共に、英子の膣道に自分のものを強く突き入れ、シュウは股間の熱い塊をゴムの中へと吐き出した。

 息を詰めて体内から汲み上げられた体液を最後まで出し切ってしまうと、そのまま静止してしばらく息を鎮める。

 その後でそろりと英子の中から抜け出し、使用済みのゴムをベッドの脇のゴミ箱へ投げ入れてから、ごろりと仰向けに横たわる。

 はぁはぁと肩で息をしていた英子も、体から力を抜いてぐったりとベッドに寝そべっていた。



「もう、相変わらず激しすぎよ、シュウくん」

「え、そうかな。あれで普通だと思うけど」



 おいたをした生徒を叱る教師のような口調で言われ、シュウは不思議そうに言い返した。

それを聞いた英子は、クスッと小さな笑い声を漏らす。



「そうよねぇ。シュウくんまだ若いんだもんねぇ」



 それから、何が可笑しいのかクスクスと肩を震わせた。
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