1 / 1
俺は蛙
しおりを挟む俺は、蛙。
はじまり
雨の中に、いる。
傘はいらない。雨しずくに、体を濡らすのが、何よりも好きだ。顔に、できた雨粒を、下でペロりさせた時、俺は、興奮する。体は、ぬるってしてる。なかなかのぬるっと感。歌うのが好きで、ドレミドレミを、繰り返すが、実は、ファまでいける。だけど、ファは、出さない。ファを出すと、フクロウたちに、みつかりやすくなっちまうからだ。鳥獣は、俺たちの天敵だ。蛇も、気をつけているが、マシな方だ。よく、蛇に睨まれた蛙というが、あれは、実は、お互いに、しゃべっている。
「君、食べていい?。」
「いや、だめ。やめて。」
「食欲がなくなる話するよ?。」
「俺は、昔、蛇だった。」
「えー、まじかよー。食べる気なくすわ
ー。」
「だろ?昨日、雨降ってたよねー。
雨があがったらさぁ虹が、出てたぜぇ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「俺の話、聞いてくれる?
もうすぐ脱皮の時期なんだけど…。」
「あぁ、毎年、大変だよなぁ。」
「脱皮した後の抜け殻を、見るとさぁ。
死んだ、じいちゃん思い出すんだなぁ。」
「脱皮中に、急襲だったんだよなぁ。」
「そうそう。悲しいよ。」
「元気だせって。あの抜け殻、
メルカリで高く売れたから、
これやるよ。」
俺は、蛇に、ドッグフードをあげた。
「いやぁ、これはさすがに。」
「何言ってんだ。コスパ最高だぜぇ。」
蛇は、ドッグフードを丸呑みした。チキン風味が、口に残る。
「これは、はっはっはっ。
けっこういいね、またちょうだいよー。」
「また虹が、出たらな。」
「ありがとう。良いよなぁ、その能力。」
「俺の能力は、特殊だからな。」
俺は、雨上がりの虹が出る日に、人間様に、変身できる能力がある。これが、とびっきりのラッキーだった。
あれは、25年前の昼下がり。いつものように、雨が、降ってきた。
「シャワーでも、浴びるか。」
そうつぶやいた時に、雷鳴が鳴り響いた。そして、2発目の雷が、光ったと思った瞬間に、池の真横にあった大木に、落ちたのだ。その時の電流が、俺にまで、流れてきた。
しばらく、気絶していたようだ。ふと、気づくと、俺は、池の横で、仰向けに倒れていた。
どれくらいの時間倒れていたかは、わからないが、我に、きづき、立ち上がった。
何かいつもと違う。目線がちがう。空を見上げると、虹がかかっていた。
俺は、池の中を覗き込み、
「なんじゃこりゃ!!。」と叫んだ。
池には、人間が、映っていたのだ。
俺は、人間になったのか
思わず、唾を飲み込んだ。
そして、俺は、倒れた大木が燃えていることに、気づく。
「あっちち。どおやら人間として、生まれ変わったようだ。」
俺は、池の裏にある洞窟まで行った。ここは、普段なら、入口らへんでのんびりするんだが、少し先まで、歩いて入った。光が、差し込んでいる所があり、大きな箱らしきものが、ある。少し、箱は開いていた。ゆっくり、俺は、人間の手で、ずらすように開けてみた。中には、色んなものが、入っていた。服に、帽子に、財布に、お金に、そして、手紙が、入っていた。読んでみた。人間の能力も、舞い降りていた。
「人間をやめたい。生まれ変わった時には、蛙にでも、なりたい。これは、私が、人間の時に、使っていたもの。来世には、必要がないので、箱にしまって、黒魔術をかけた。これを、開かれた時、私は、蛙になる。あなたは、人間になる。」
どうやら、落雷の衝撃で、箱が揺れ、開いたようだ。そして、その時、呪文が、解かれ放たれ、俺は、人間になったのか。
洞窟内に、冷たい風が入ってきた。裸のままでは、寒かった。この洞窟に、かつて、この箱を、置きに来た人間がいたのか。サイズもちょうどいい。
宝箱に、入っいていた、服を着て、靴を履き、俺は、街へ出ようと思った。ポケットには、財布も、スマホも、入っていた。このチャンスを、逃すわけにはいかない。まだ、見ていない景色を、見に行こう。今日は、初人間記念日だ。
あらよっと、軽快なスキップをした。それから、立ち止まり、あらためて、背伸びをした。俺は、生まれ変わり、人間を楽しもう。そして、遊びまくろうと、思った。
「まずは、腹ごしらえだ!。」
しばらく歩いていくと駅前に出た。どうやら俺がいた池は、都会にある大きな自然公園の一角だったみたいだ。少し歩けば、街に出た、駅前には、たくさん店があり、あちらこちらで、会話が飛び交い、また、店から、良い匂いが、たくさんしている。よだれが、出そうになった。
「いっけね~。楽しくなりすぎてる。俺が、蛙だということは、誰も気づくようすもないな。」
完全に人間だ。見た目は、まずまず良い感じだし、何より、そこそこお金が、財布の中にある。そして、不思議なことに、前世で、こいつの暮らしぶりが頭に、残っている。
名前こそは、わからないが、人間としての能力は、充分にわかる。俺は、さっきまで蛙だった。そんな気持ちを持ちながら、歩いている。なんとも、不思議だ。
「なんかこの匂いに、誘われるなぁ。ふらっと入って見よ。」
お好み焼き「はじめ」と暖簾が、かかっている。
「どんなとこだ。」
暖簾をくぐり、扉を開けた。
「いらっしゃいませ~。お一人様ですか?
こちらどーぞ。」
元気な店員が、俺に、笑顔で接客をする。嬉しいぞ。ここは、良さそうなところだ。よーし。何にしようか。豚玉、いや、海老玉にしよう。チーズもトッピングしようかな。俺は、こんな感じに、楽しんだ。
「どおしよーかなぁ。
人間になっちゃったもんなぁー!」
そして、しばらくして、トイレに行きたくなってきた。もう生ビールを、4杯飲んでいる。トイレに行こう。チャックをおろして、用をたして、きれいに流そうとしたその時!
「あ~れ~!!」
吸い込まれるように、便器に吸い込まれていった。
俺は、もうこのまま人間様を、楽しめるものだと、思い込んでいた。ふと、我にかえったとき、俺は、また蛙に戻っていた。
「なんでだよ~!。」
池の中に戻ってきた。まだ、飲みかけの生ビールも、お好み焼きも、食べている途中だったのに。
しかしながら、あの場所に行けば、人間様宝箱セットは、まだあるのだろうか。
俺は、いつも以上に、池から、ピョンピョン跳ねながら、洞窟の奥まで目指した。
もう、それは、わらに縋るほどの想いだった。頼むから、宝箱が、あれば、また人間様に変わるチャンスが、あるかもしれない。この薄い可能性を、高値買うとしたらいくらぐらいなのだろうか。
蛙が、人間になる。この微睡む奇跡を、神様叶えてくだされ。ぴょんぴょん。
「あぁ、しんどー。あぁ!
あれは!もしかして、宝箱じゃないか!。」
光が差す場所に、宝箱が、まだあった。俺は、その場で、ぴょんぴょん跳ねた。しかし、箱は、閉じられている。
もちろん、蛙のまま、開ける力などない。無力だ。さっきの喜びから、反転、虚無感に、襲われる。まるで、ひっくり返るときみたいだ。雷が、落ちるなど滅多にないし、開くことが、あるのかわからない。
でも、俺は、そこで過ごした。ポツポツと、また雨が、降り出した。けっこう激しい雨だった。雨上がり、光が差す上の方、虹がかかった。
その時だ、宝箱が揺れだし開いたのだ。そして、体が、人間になっていく。
そう、俺はわかってしまった。確かに、人間様になれるのは、虹がかかったときだ。
蛙に、戻ってしまうのは、虹が消え、トイレに行った時。2時間ぐらいだろうか。しかし、この特殊能力を、使い、楽しむには充分だった。だが、ひとつ問題があった。
それは、都市伝説となっていったこと。食事を楽しみ、やはり生ビールを飲んでいると、トイレに、行く。そして流されて、俺は、消えてしまう。もちろん、お勘定もせず、姿ごと消えてしまうので、無銭飲食の姿消し人として、噂になり、都市伝説として語らわれるようになった。顔バレしないように、店に入り、食事をしなければならない。だが、俺は、蛙。
身の隠しの術など、朝飯前だ。
問題は、実はなかったのだ。
25年間、俺は、ときどき人間様。
俺は、このまま楽しんでいく。ケロ。
おしまい
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる