滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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6:拡張DLCと、栽培バグ

745:初等魔導学院補習初日、久々の解析指南

 教室きょうしつには補習組ほしゅうぐみのおれたちと、担任教師ヤーベルト
 壇上だんじょう教卓つくえには、取り上げられた女神御神体いおのはらが置いてある。

 シャシャーッ、カカカカカカッ、シュカカッカ――
 黒板こくばんえがかれていくのはおおきなまると、なかを埋めるちいさなまる三角さんかく星型ほしがたや――読めねぇ文字もじたち。

「では、このみっつの魔方陣まほうじんにー共通きょうつうする要素ようそをー、こたえてくださーい――レイダさん」
 おれの右隣となりを、筆代ふでがわりの――ふぉん♪
『ヒント>チョーク/削れることにより、対象物へ筆跡を付ける筆記具の一種』
 細長い石チョークとやらで指ししめす。

 指されたレイダが、立ち上がり――
「えっと、真んなかのが〝木の実を落とす魔法まほう〟で、みぎのが……〝とびらを閉める魔法まほう〟で――えーっと?」
 辿々たどたどしくもなんかを、ちゃんとかんがえている。
 レイダは阿呆あほうではない。おれや迅雷ジンライあとを付いて来てばかりいたので、いろんなことおろそかになっていただけだ。
 正直しょうじき、おれのせいと言えなくもない。

 カタン――ヴォゥン♪
 生意気な子供レイダを見ていたら――むぎゅ。

いてぇだろうが、おれのほほつつくんじゃねぇやぃ」
 おれのほほに触れるのは、極太ごくぶと角材かくざいのような太棒ぼう
 この、担任教師ヤーベルト魔法杖それが、ぴったりとおれに張り付いて居るから、何処どこにもうごけやしねぇ。

「ったくよぉ」
 天井うえを向けばそれ垂直たてになり――ヴォヴォゥン♪
 うなりを上げ、まるでおれをのぞき込むように、かたむいて来やがる。

 おれやほか子供わらしたちには、まだ出来できねぇ――
 つえ手元てもとに引き寄せたり、飛ばして乗ったりするじゅつさきにあるやつだ。
 上級魔術じょうきゅうまじゅつとか高等魔術こうとうまじゅつとか言われるすべの、理屈りくつはまるで分からん。

 まあ、おれには迅雷ジンライが居るし、仕込しこ錫杖しゃくじょう小太刀こだちを引き寄せるだけなら〝遅延回収ちえんかいしゅうスキル〟もある。
 だから必要ひつようは無ぇんだが、面白い術・・・・であるのはたしかだ。

 おれたちはまだならってねぇが、一部いちぶ御貴族おきぞくさま……ふとくてひとが乗れるような立派りっぱつえを持っている連中れんちゅうなかには、すでそらを飛べるやつも居る。
 げんにリオレイニアの縁者えんじゃであるヴィヴィヴィーは、ひどくゆっくりではあるが、普通ふつう屋根やねよりもたかところを飛んで移動いどうしてるのをよく見かける。

 ふぉん♪
『シガミー>やい女神さまよお、いい加減に助けろやあ!」
 ふぉん♪
『イオノ>>>現在アクセスが集中しており、解析のウヶ実行に時間がかかっております。現在〝バロ件〟待ちの状態でウケヶ竹ケッすしナゥ。』
 なんだぜ、こりゃぁ?
 丸茸ごしんたい丸目玉めだま交互こうごあかく、点滅チカチカしてやがるぞ!?

 担任教師ヤーベルトに取り上げられた丸茸そいつ微動びどうだにせず、ずっと目のまえあかちいさな画面表示ダイアログと向き合っていた。
 この世の……自分てめえうまめしを食うためだけにつくった来世らいせ
 そのうつつを取り仕切しき大女神像だいめがみぞうが、こわれかけているのだから――必死ひっしなのはわかるがぁ。
 大丈夫だいじょうぶかぁ――?

「へへーぃ!」
 おれは手を上げ、ヤーベルトに物申ものもうした。
「はい、シガミーくんなんでしょーう?」
 細長い石チョークとはべつの手――ヴォッ♪
 太枝ふとえだのような、一番使いちばんつか頻度ひんどおおふと魔法杖つえでおれを指ししめす。

「(――警戒けイかいされていマす。細心さいシん注意ちゅウいはラっテ行動こうどウしましョう――)」
 わかってらぁ!
 脳裏あたま迅雷ジンライささやくが、いまは迅雷ジンライともはなし出来できない。
 つまりこいつぁ、おれの幻聴こころ迅雷ジンライだ。
 常日頃つねひごろから絶えず一緒いっしょに居ると、こういうのが・・・・・・聞こえてくるようになるのだ。
 御山おやま修行中しゅぎょうちゅうにも、こういうのには良くさいなまれた――
 そうかんがえると、なにやらなつかしい気がして来ないでもない。

かわや……じゃねぇやトイレに行きてーから此奴こいつら、ちょっくら退かしてくれやぃ」
 とうそを吐き立ち上がる――ヴォヴォゥゥゥン♪

「ふぅ、わかりました。すぐにもどってきてーください。もし大女神像だいめがみぞうの間へ行こうものなーらー――リオレイニア見習みなら講師こうし告げ口・・・しまーすのーでー、そのつもーりでー」
 ヴォヴォゥ――カタン♪
 太杖つえどもが長椅子いすへ立て掛けるように、浮く力ちからを無くした。
「へいへーぃ♪」
 返事へんじをしつつ教室きょうしつを出て、廊下ろうかに出た。

 担任教師しなんやくはジッと此方おれを見ていたが、その視線しせんさえぎるように、そっとドア閉めるパタン

「よし、行くか――!?」
 おどろいた――ヴォヴォヴォヴォゥゥゥン?
 あたりにはだれも居ねぇ。
 担任教師ヤーベルトが見ているわけじゃねぇのに、太杖つえどもが廊下ろうかにまで付いて来やがったのだ。

 リオレイニアの大量たいりょう魔法杖操つえくりとはまたべつじゅつによるものなのはたしかだ。
 ちなみにトイレには小窓こまどがあったが、それははばせまくて子供こどものおれでもとおれなかった。
 振りかえれば――ヴォヴォゥン、ヴォヴォゥゥン♪
 垂直たてに浮かびひかえている、太杖つえたちと目が合った。

「チッ――駄目だめか」
 此処ここ此奴こいつららを振り切ったところで、太杖つえとやり合っている間に、たすけを呼ばれちまう。
 中々なかなか厄介やっかいだぜ、この〝じゅつ〟はよぉ。
 ふぉふぉん♪
『解析指南>自律型の魔法は、固有スキルによる恩恵に左右されます。』
 お、取り上げられた迅雷ジンライの代わりに。解析指南かいせきしなん久々ひさびさに出たぞ。
 迅雷ジンライが居なくても使つかえるなら、マジ・・たすかる。

 ふぉん♪
『シガミー>おい、さっきの五百乃大角の様子は何だ? とうとう、壊れたか?』
 ふぉん♪
『解析指南>女神像ネットワークの処理機能低下と、アクセス増大によるビジー状態…………非常に忙しくて、一行表示に手が回っていないようです』
 ……いそがしいだとぉぅ!?
 揚げいもって言葉ことばに釣られて来たやつが、何言なにいってやがる?
 まぁ良い。どんなに女神像周めがみぞうまわりが最悪さいあくでも、五百乃大角いおのはら中身いのちであるMSPなんたらさえ無事ぶじなら、なん問題もんだいもねぇからな。

 ばっ――ヴォヴォゥン、くるくるくるん♪
 トイレを出て、太杖つえたちをつかもうとしたら――
 倒れるような動き・・・・・・・・だけで、かわされた。

 此奴こやつおもいの外賢ほかかしこいぞ。
 となるとさっきのスキルのはなしわぁ、ちぃ面白おもしろそうだ。
 ふぉん♪
『シガミー>>>スキルってこたあ、出来る奴と出来ねぇ奴が居るって事だな。おれには出来るのか?』

 ふぉふぉふぉぉぉん♪
『解析指南>可能です。〝撮像転写制限解除〟、〝分析術〟、〝羅針盤〟、〝魔法具操作術〟、〝魔法具自動操作〟、〝星間陸路補正〟、〝システム補佐〟、〝血流強化〟、〝サブシステム使用許諾〟、〝サブシステムオフライン切替〟、〝ジャイロマスター呼出〟、〝サブシステム用言語使用許諾〟、〝運転術LV1〟、〝使役巧者〟を使用することで、魔法や魔術に類する適応がある物体を自在に自律操作出来ます。』

 ふぉん♪
『シガミー>>>出来るって言うなら、あとで色々試すが、随分と沢山のスキルが要るんだな?』

 ふぉふぉん♪
『解析指南>基本的には〝魔法具自動操作〟のみで対象物の自律行動が可能になりますが、他のスキルを組み合わせることで一切の強化学習、修練をせずとも、より高度な判断をさせることが可能になります。』
 うんうん、順当じゅんとうに分からん。
 修練しゅうれんというのは、まさいま担任教師しなんやくおこなっている座学ざがくことだろうが。

 おれは教室きょうしつ高窓たかまどへ取り付き、廊下ろうかからなかぬすみ見る。
 レイダを相手あいてにヤーベルトが、黒板こくばんを指ししめしたりしている。
 ふむ、出てきたときのままだ。

 黒板そこにはおおきなまるが、みっならんでいる。
 見たことがねぇやつばかりだが、そのなかひとつは――
 リオレイニアが使つかったことがある曼荼羅まんだら……魔方陣まほうじんに似ていた。

 五百乃大角いおのはら茅野姫ほしがみ使つか数多あまた方陣まるを、幾度いくどとなく間近まじかで見てきたからか――
 なんとなくだが、分かるぞ・・・・――こりゃアレだ・・・

 魔法まほう神髄しんずいで言うところの〝ひかりすじ〟で何かを・・・押したり引いたりする・・・・・・・・・・ことしかしてねぇ・・・・・・・・……気がするぞ。

 ふぉふぉん♪
『解析指南>より正確に記すなら、〝魔力作用の対象を杖の先にて、汎用的に指定する構造〟が共通しています。』
 お、解析指南かいせきしなんが、随分ずいぶんとやる気だぜ。
 けど解析指南こいつ魔法まほう……この地の呪い事ことわりに、ここまでくわしくは無かったよなぁ?
 まえもっておしえてくれてりゃたすかったことが、コレまでには色々いろいろと有ったぞぉ!?

 ふぉん♪
『解析指南>スキル対応の高等魔術検索ならびに、魔方陣の系統別文法や解析が進んだのは、〝古代文字逆引き辞典〟の閲覧後になります。ご了承下さい。』
 うむぅ、なんだっけソレ?

 ふぉん♪
『ヒント>古代文字逆引き辞典/古代文字と魔法記述から、該当する共用語を参照可能。』
 うぬぅ、なんだっけソレ?

 ふぉん――♪
『人物DB>ティーナ・コッヘル
      コッヘル商会商会長』
 女将おかみさんの母上ははうえが、どうしたぁ?
 彼女かのじょ女将おかみさんの実家いえいとな商会しょうかいおさであり、大森林だいしんりん顔役かおやくだ。

 ふぉん――♪
『解析指南>ディーナ・コッヘルが所持していた書物で、彼女の師であるスデットナー教授なる人物により編纂された物。古代文字のみならず魔法の意味や使用目的に基づいた、検索が可能な希少文献』

 あー、あの分厚い・・・紙束ヤツか。
 大森林だいしんりんあらわれる変異種バリアントが、いのししかにだって見抜みぬいたときにペラペラとめくってたな。
 ――なら呪い事まじない説明せつめい出来できなかったのも、仕方しかたねぇか。
 迅雷ジンライなり五百乃大角いおのはらなりが、あの紙束ほんに触れたのは、ついこのあいだだからな。

 おれは高窓たかまどふちにぶら下がったまま、廊下ろうか左右さゆう見渡みわたす。
 相変あいかわらずだれも居ねぇが――むぎゅ――むぎゅ。
 だからいてぇだろうが、おれのほほつつくんじゃねぇやぃ!
 極太ごくぶと角材かくざいのような太棒ぼうは、細身の男性講師ヤーベルトにおれのいま様子ようすつたえては居ない。
 つたえているならいますぐおれの首根くびねっこを押さえに、廊下ろうかに飛び出してくるだろうからな。

 さて精々数分せいぜいすうふん猶予いとまだ。如何どうする?
 迅雷ジンライ回収されたとりあげられたから、使つかえる〝画面モニタ〟は最低限さいていげんしかない。
 そして、使える物資も激減・・・・・・・・してる。
「(――警戒けイかいされていマす。細心さいシん注意ちゅウいはラっテ行動こうどウしましョう――)」
 また幻聴こころ迅雷ジンライささやいた。わかってらぁ!

 本物ほんもの彼奴ジンライ今頃いまごろアリゲッタ辺境伯領ポテフィール出向でむいているはずだ。仕方しかたがねぇから奴を呼ぶ・・・・

「(やい根菜こんさい、いい加減かげんにせんかぁ! 大女神像だいめがみぞうの間の様子ようすはどうなってるっ!?)」
 あたりにお貴族きぞくさまや、狐耳親子きつねたち姿すがたはない。
 遠慮無えんりょな念話ねんわ使つかわせてもらう。
 教室へやなかには二人ふたりほど子供わらしのお貴族きぞくさまが居るには居るが、彼奴あいつらは念話ねんわを〝暗殺魔法具あんさつまほうぐ〟と勘違い・・・して、おそってきたりはしないからな。

「(もうっ、五月うるいわね! もうすぐ、最後さいごのグループが転移てんいするわよっ)」
 ピポンと視界モニタすみあらわれたのは――根菜丸茸の丸い顔いおのはらのつら
 美の女神(笑)びのめがみである五百乃大角いおのはらは、その身を宿やど御神体ごしんたいとはべつに、迅雷ジンライ収納魔法インベントリなかへ〝仮の姿アイコン〟とやらをあらわすことが出来できる。

 ふぅ、さっきのとちくるったかんじが無くなってるぜ。
 梅干うめぼしだい此奴こいつは、教卓つくえに置かれただけじゃなくて、おそらく――
 大女神像だいめがみぞうの間に居る敏腕びんわんメイドリオレイニアの周囲しゅうい浮かぶプロジェクションBOTで浮かびつつ、先行せんこうする迅雷ジンライや、おれのなかにも居るってわけで。
 とてもややこしいが、神々かみがみはこういう、同時に色んなマルチ事をするのタスク得意とくいなのだ。
 ――なのだが、神々かみがみどもの手足てあしでもある女神像めがみぞうネットワークがこわれ掛かっているときに、態々わざわざやるようなことではない。

「(じゃあ、おれは如何どうしたら良いんだぜ? いそいで蟹揚かにあいも沢山作たくさんつくってやらねぇと、いけねぇんだが?)」

「(あー、ソレなんだけどさぁ――今回こんかいシガミーわぁ完璧かんぺきに、お留守番るすばんわよん)」
 かすかにふるえるだけのアイコンが、そんなことを言い出した。
 迅雷ジンライしなうえに、直接視界めせんとおらない現状げんじょうでは、〝仮の姿アイコン〟はかおかたちがあるだけで、画面モニタなか歩き回ったりは・・・・・・・出来ない・・・・らしい。

「(なんだとぉ!? おにぎりの野郎やろう相当思そうとうおもい詰めてたから、放っといたら何をしでかすか・・・・・・・わからんぞ・・・・・?)」
 ふぉふぉん♪
『イオノ>>>おにぎりに関してわ、迅雷君に丸投げしてあるので心配要りませんよーだ♪』
 丸顔アイコン一行表示ティッカーを、吐いた。

 ふぉん♪
『シガミー>>>やい、そいつあ、どういう了見だぜ!?』
「おにぎりのことを抜きにしても、おれが行かなきゃはなはじまらんだろぉがぁ――!?」

 ガチャリ♪
 教室きょうしつのドアが、ひらいた。
「シガミーさん。トイレはもう済んだようですね?」
 細身ほそみおとこ廊下ろうかくびを出して、そう言った。
 いけねぇ、又声またこえに出ちまってたかぁ――!?

 ドアがおおきく開けられ、術者ヤーベルト視線しせんを浴びた二本にほん太杖つえが、グルリと回転かいてん
 おれの手は振りはらわれ――ポスン♪
 魔法杖つえ両脇りょうわきかかえられ教室きょうしつもどると――
 わらしどもに盛大せいだいわらわれた。

「(てめぇ、イオノ腹ぁ・・・・・あとおぼえとけ――んむ?)」
 此方こちら見上みあげていた御神体ほんたいが、片目かためゆびで押しひろげ、ひたを出した――すぽん♪

 ふぉん♪
『ヒント>あかんべえ/下まぶたを引き下げ、同時に舌を出す行為。相手に向かって侮蔑を表すジェスチャー。』
 あっ、くそぅ――うるせぇっ!

 視界しかいすみ五百乃大角いおのはらつらに――ブブッ♪
 否定いなやしめ記号きごうかさなった。
 あの惡神わるがみめっ――逃げやがったなぁっ!
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