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1:輪廻転生、おいでませガムラン町
45:魔法使いの弟子(破戒僧)、VS火吐きオオカミ
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「シガミーさま、うしろ側をおまかせいたしても、よろしいでしょうか?」
「おう、リオレ……なげぇ――リオ! せなかはまかせとけ!」
「はぅわぁ――――!?」
白いのが、自分の魔法杖……みじけえ懐刀みてえなのを、落としそうになってる。
なに、あわててやがんだ?
「は、はい。敵はおそらく群れで行動する獣です。落ちついて行動してくださいませ」
しっかりしてくれ、おれもレイダも、魔物らしい魔物とたたかうのは、はじめてなんだからよ。
〝魔法つかい(見習い)〟をはさんで、〝薬草師(見習い)〟と〝魔法つかい〟が獣の群れに相対する。
「シガミー、わたしは?」
「目のまえに獣がきたら、『かえんのたま』を撃てるだけ撃て!」
レイダがつかえる攻撃魔法は、それくれえだからな。
「わかった!」
おれの左手、剣先のはやさがでねえ死角がわをまかせた。
この陣形ならレイダをまもれる。
体力がねえから、ながくは持たねえが、狼くれえなら小太刀でさばく。
がさがさ、だだだだっ!
がさがさ、だだだだっ!
がさがさ、だだだだっ!
みぎからひだりから、足音がきこえてくる。
「迅雷、敵の数はわかるか?」
「動体反応総数、5でス」
ヴッ――――光る板が出た。
『ドレッドウルフ/
四つ足。火を吐く。毛皮がとれる。
すじ張ってて、食べるところがない。』
こんだけか……本当に飯のことしか考えてねえな。
これならギルドで迅雷がおぼえた図鑑のほうが、色々書いてあったろ。
「(上位権限により非公開です)」
「――迅雷は獣の正確な位置が、わかるのです……ね?」
念をおすような怪訝な声。
肩越しにみると、白い面《かお》と目が合った。
「はい。リオレイニアの正面に、ならンで二匹、その奥にもう一匹いマす」
「(おい、それ。敵の居場所がわかるってヤツ……それもひと目を引くんじゃねーのか?)」
「(これまでのレイダやオルコトリアの様子から、さほど注目される機能とは思えませんが)」
「ぐぅわぁお、ぐぅわぁお、ぐぅわぁおぉぉぉぉぉん♪」
節のついた聞きなれねえ遠吠え。
ゴォォォォォォッ!
遠吠えの方角。しげみの向こうから、青白い炎がとんできた。
――――フォフォン♪
レイダのやたらと長えのとくらべると、白いのの杖は短けえ。
おおきく腕をのばし、真円をえがく。
攻撃魔法じゃねえ……きょうも修行でみた〝冷てえ魔法〟だ――――
「――――ぐぅわぁおう!」
いけねえ、こっちを狙ってるやつが、近くまで来てやがった。
白いのの戦いが気になるが、こっちはこっちで蹴散らさねえと。
「(シガミー、みぎ前方からきます)」
しげみから飛びだす影。
「(おう、みえてる)」
シュッカン――――小太刀を抜く。
おれのあたまに今にも、飛びつこうとしてる四つ足の獣。
その前足をとらえる――――ズバシッ!
みためは狼そっくりだ――――ごきりっ!
前足、あばらを寸断し、真ん中の骨で、刃が止まった。
子供のからだはだめだ、どうしたって距離が足んねえ!
狼も横からなら切れるが、縦だと両断できん。
飛びかかってきた、いきおいは止まらず、このままじゃ牙をくらいそうだ。
「(迅雷、なんとかしろ!)」
「(ご心配なく、シガミー)」
「(なにが大丈夫だってんだぁ!? 狼の口のなかが、よくみえらぁ!)」
ん? 宙にういた獣、狼そっくりのやつ。
その口のなか。
ひかりの筋が、円を描いていく。
そっか、迅雷と内緒話してるときに、〝魔法〟をみるとこうなんのか。
すこしゆがんだ、いびつな円が閉じられ、回転する。
ひかりの輪がまわると球に――――ゴォウ!
球のなかに、噴きだす火炎。
その灼熱のしっぽが、喉のおくへおちていく。
なるほどなぁ、あのしっぽに押されて魔法ってのはとびだしてんのか。
なんていってる場合じゃねえ。
まる焦げわぁ、ごめんだぜ。
からだを動かそうにも、動いたら火炎の球がとんでくる。
「(迅――――!!!)」
フォフォフォォン――――♪
おれの顔の横。
なんかまぶしいのが浮いてた。
うなりを上げているのは、ひかりの棒?
棒のなかで、なにかが……白い煙がうねってる。
こりゃぁ――冷てえ魔法か!?
まわりが、もとにもどる――――パシュルッ!
狼の口のなかに、一瞬で飛びこむ冷てえ魔法。
ボッファァン――――ぎゃぅんっ!
いまにも火を吐こうとしていた狼もどきが、ふっとんだ!
「シガミーさま、ご無事ですか!?」
むぎゅっ――爆発の衝撃に呆然とするおれを、だきしめる白いの。
「(シガミー、直上に動体反応!)」
また、まわりが止まる。
迅雷がいねえ前世でも、こういうのは度々あった。
いくさ場で、まわりの雑兵がおそくみえたり。
修行の最中に、とんでもねえ遠くの木の、葉の一枚が間近でみてるように、はっきりみえたり。
しりもちをついたレイダが、こっちを見てる。
よし、怪我はなさそうだ。
おれは、まうえを見あげる。
猫みてえな飾りのついた袖。
ほそい指につかまれた、長さのない魔法の杖。
おれたちに狙いをさだめ、落ちてくるのは、さいごに残った獣――――ゆらぐ杖のさき。
――――――――ガラララララララッドッシャァァァァァァン!!!
天へ向かって、かみなりが落ちた!
「おう、リオレ……なげぇ――リオ! せなかはまかせとけ!」
「はぅわぁ――――!?」
白いのが、自分の魔法杖……みじけえ懐刀みてえなのを、落としそうになってる。
なに、あわててやがんだ?
「は、はい。敵はおそらく群れで行動する獣です。落ちついて行動してくださいませ」
しっかりしてくれ、おれもレイダも、魔物らしい魔物とたたかうのは、はじめてなんだからよ。
〝魔法つかい(見習い)〟をはさんで、〝薬草師(見習い)〟と〝魔法つかい〟が獣の群れに相対する。
「シガミー、わたしは?」
「目のまえに獣がきたら、『かえんのたま』を撃てるだけ撃て!」
レイダがつかえる攻撃魔法は、それくれえだからな。
「わかった!」
おれの左手、剣先のはやさがでねえ死角がわをまかせた。
この陣形ならレイダをまもれる。
体力がねえから、ながくは持たねえが、狼くれえなら小太刀でさばく。
がさがさ、だだだだっ!
がさがさ、だだだだっ!
がさがさ、だだだだっ!
みぎからひだりから、足音がきこえてくる。
「迅雷、敵の数はわかるか?」
「動体反応総数、5でス」
ヴッ――――光る板が出た。
『ドレッドウルフ/
四つ足。火を吐く。毛皮がとれる。
すじ張ってて、食べるところがない。』
こんだけか……本当に飯のことしか考えてねえな。
これならギルドで迅雷がおぼえた図鑑のほうが、色々書いてあったろ。
「(上位権限により非公開です)」
「――迅雷は獣の正確な位置が、わかるのです……ね?」
念をおすような怪訝な声。
肩越しにみると、白い面《かお》と目が合った。
「はい。リオレイニアの正面に、ならンで二匹、その奥にもう一匹いマす」
「(おい、それ。敵の居場所がわかるってヤツ……それもひと目を引くんじゃねーのか?)」
「(これまでのレイダやオルコトリアの様子から、さほど注目される機能とは思えませんが)」
「ぐぅわぁお、ぐぅわぁお、ぐぅわぁおぉぉぉぉぉん♪」
節のついた聞きなれねえ遠吠え。
ゴォォォォォォッ!
遠吠えの方角。しげみの向こうから、青白い炎がとんできた。
――――フォフォン♪
レイダのやたらと長えのとくらべると、白いのの杖は短けえ。
おおきく腕をのばし、真円をえがく。
攻撃魔法じゃねえ……きょうも修行でみた〝冷てえ魔法〟だ――――
「――――ぐぅわぁおう!」
いけねえ、こっちを狙ってるやつが、近くまで来てやがった。
白いのの戦いが気になるが、こっちはこっちで蹴散らさねえと。
「(シガミー、みぎ前方からきます)」
しげみから飛びだす影。
「(おう、みえてる)」
シュッカン――――小太刀を抜く。
おれのあたまに今にも、飛びつこうとしてる四つ足の獣。
その前足をとらえる――――ズバシッ!
みためは狼そっくりだ――――ごきりっ!
前足、あばらを寸断し、真ん中の骨で、刃が止まった。
子供のからだはだめだ、どうしたって距離が足んねえ!
狼も横からなら切れるが、縦だと両断できん。
飛びかかってきた、いきおいは止まらず、このままじゃ牙をくらいそうだ。
「(迅雷、なんとかしろ!)」
「(ご心配なく、シガミー)」
「(なにが大丈夫だってんだぁ!? 狼の口のなかが、よくみえらぁ!)」
ん? 宙にういた獣、狼そっくりのやつ。
その口のなか。
ひかりの筋が、円を描いていく。
そっか、迅雷と内緒話してるときに、〝魔法〟をみるとこうなんのか。
すこしゆがんだ、いびつな円が閉じられ、回転する。
ひかりの輪がまわると球に――――ゴォウ!
球のなかに、噴きだす火炎。
その灼熱のしっぽが、喉のおくへおちていく。
なるほどなぁ、あのしっぽに押されて魔法ってのはとびだしてんのか。
なんていってる場合じゃねえ。
まる焦げわぁ、ごめんだぜ。
からだを動かそうにも、動いたら火炎の球がとんでくる。
「(迅――――!!!)」
フォフォフォォン――――♪
おれの顔の横。
なんかまぶしいのが浮いてた。
うなりを上げているのは、ひかりの棒?
棒のなかで、なにかが……白い煙がうねってる。
こりゃぁ――冷てえ魔法か!?
まわりが、もとにもどる――――パシュルッ!
狼の口のなかに、一瞬で飛びこむ冷てえ魔法。
ボッファァン――――ぎゃぅんっ!
いまにも火を吐こうとしていた狼もどきが、ふっとんだ!
「シガミーさま、ご無事ですか!?」
むぎゅっ――爆発の衝撃に呆然とするおれを、だきしめる白いの。
「(シガミー、直上に動体反応!)」
また、まわりが止まる。
迅雷がいねえ前世でも、こういうのは度々あった。
いくさ場で、まわりの雑兵がおそくみえたり。
修行の最中に、とんでもねえ遠くの木の、葉の一枚が間近でみてるように、はっきりみえたり。
しりもちをついたレイダが、こっちを見てる。
よし、怪我はなさそうだ。
おれは、まうえを見あげる。
猫みてえな飾りのついた袖。
ほそい指につかまれた、長さのない魔法の杖。
おれたちに狙いをさだめ、落ちてくるのは、さいごに残った獣――――ゆらぐ杖のさき。
――――――――ガラララララララッドッシャァァァァァァン!!!
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