滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

１：輪廻転生、おいでませガムラン町

７５：天狗（シガミー）、バリアント特性と狐耳

「ウオォォォォォォォォォォォ――――――――！」
「はっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――！」
「リカルル隊長たいちょうをー、まぁもぉれぇ――――――！」
『聖剣切りの閃光ヴォルトカッター』の連中パーティーメンバーが、たおれた隊長ひめさんをとりかこむ。

　ギュギギギギィィィィィィィィッ――――――!!!
　たおれた強敵ひめさんに飛びかかる、巨大きょだいな角つのウサギ。


　ゴゴゴォォォォン、ドッガガガガガガガァァァァ――――!!!
　でけぇ剣けんを振りまわす、黒くろずくめの甲冑姿かっちゅうすがた。

　ドドドドゴゴゴゴゴゴガガガガギィィンッ――――――!!!
　でけぇ盾たてを振りまわす、黒くろずくめの甲冑姿かっちゅうすがた。

　ヒュォォォォッ、ピキパキペキポキッ――――――――!!!
　身長しんちょうよりも長なげぇ杖つえを振りまわす、白しろずくめの外套姿がいとうすがた。


「やべぇな、玉兎つのうさぎはなんであんなに硬かてぇんだ？」
　ウサギの爪つめや毛皮けがわに、攻撃こうげきが通とおったようすはない。

「（敵個体てきこたいの解析かいせきは済んでいます――）」
　懐石かいせきてぇのは、迅雷ジンライが考える材料ざいりょうだ。

　――ふぉふぉん♪
　巨大角きょだいつのウサギの頭あたまのうえに、なんか出た。

『角ウサギ（変異種）】
　ＨＰ：■■■■■■■■□□
　ＭＰ：■■□
　ＧＰ：■■□□□』

「（いちばん上うえの緑棒みどりぼうが命いのちで、下したの紫棒むらさきぼうが魔法まほうをつかうときに要いるヤツだな？）」
　じゃ、その下したは……なんなんでぇ？

「（ガードポイント……おそらく防御ぼうぎょのための値ものですので、ＧＰあれが無くなれば盾たてがなくなり、一番上いちばんうえの命いのちを削けずれるようになります）」

「ウオォォォォォォォォォォォ――――――――！」
　ウサギの手刀しゅとうに合わせた渾身こんしんの突き！
　ゴゴゴォォォォン、ドッガガガガガガガァァァァ――――!!!

「（よぉし、いいのが入ったぜ――）」
　――ビロロ♪
『ＧＰ：■□□□□』
　お？　ほんとうにすこし減ったな。
　これなら、おれも加勢かせいすりゃなんとか――――

「いかづちのたまぁぁぁぁぁぁ――――――――！」
　バチバチィッ――――どがん！

　ウサギの角つのに命中めいちゅうした小ちいさな雷かみなりが、爆発ばくはつした。

　ググゥゥゥゥン――♪
『ＧＰ：■■□□□』
　あ゛ぁ゛ーーーーーーっ？
「元もとにもどっちまったぞ!?　どういうこったぁ!?」

「（減ったＧＰ・・が、いかづちのたまにより充填じゅうてんされました。なるほど……ガードポイントではなくゴッドパワー・・・・・・とでも言うべき値ものを表していたようですね）」

「じゃあ、いかづちのたまを撃ったら、やべえじゃねーかよ！」
「（はい。彼かれらには、変異種へんいしゅに関かんする情報じょうほうや解析方法かいせきほうほうがないようです）」

　まずは、いかづちのたまを、止めさせねえと――――スッタァーン！

「ギギィィィッギギィィィッギギィィィッ――――!!!」
　足あしを踏み出した途端とたんに、角つのウサギがわめいた。

　ゴゴゴゴロロロロゴロ――――――――ピッシャァァンッ！
　角つのに雷かみなりが落ちた――――イヤな予感よかんしかしねえ。
　バリバリバリバリィィィ――――ググゥゥゥゥン♪
『ＧＰ：■■■■■』
　ちきしょうめっ！　最初さいしょに戻もどっちまった。

　ズザザッ――――おれはもういっかい暗闇くらやみに引っこんだ。
「駄目だめだな」
「はイ、シガみー」

　こうなると、やっぱり……姫ひめさんに〝ぶった切って〟もらうしかねえだろ。

　　　§

「（肝心かんじんの姫ひめさんは、ぶっ倒たおれちまったが無事ぶじだろうな？）」

「（魔法まほうの発動はつどうを強制きょうせいキャンセル……取り消したので、目に怪我けがをおったと思おもわれます）」

「――――痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いた痛いっったぁいでぇすぅわぁぁぁぁっ――――!?」

　あー、ありゃ痛いたそうだぜ。
　姫ひめさんの声こえが耳栓ジンライを通とおして、はっきりと聞こえてきた。

　しかし、怪我けがを治なおす魔法まほうや薬くすりをつかう様子ようすがねえな。
　おれが来るまで丸一日まるいちにちくらい。
　ずっと戦たたかいっぱなしだったんだとしたら、そろそろ打ちどめか。

「（〝衿鎖えりくさ〟がありゃ、治なおるか？）」

「（はい。蘇生薬エリクサ－は、服用後ふくようご〝ひと呼吸こきゅうさえできれば〟――すべての怪我けがや病気びょうきを、例外れいがいなく回復かいふくします）」

　ヴルッ――ぽこん♪
　目のまえに現あらわれたのは、紫むらさきの小瓶こびん。
　武器収納ゆびわは両手りょうてに一個いっこずつある。
　ひょっとしたらと思おもったが――――これ以上いじょうはもらってねえよな？

「（はい、それが最後さいごです。どうされますか？）」
　もちろん、姫ひめさんにつかうぜ。

　そして、とっとと町まちにもどって衿鎖えりくさを二本にほん――いや、十本じゅっぽんくれぇ買い占しめめてやる。

　　　§

「むぎゅぎゅぎゅっぎぃーーーーーー！　あのくその〝テェーング〟とやらめっ、今度こんどあったら必かならず絶対ぜったいに十等分じゅっとうぶんにして差しあげますわぁ――――ぁ痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい痛いたい、いたたたっ――――」

　土つちに埋まった木の洞うろをとおって、姫ひめさんのあしもとに潜ひそんだ。
　――いきなり首くびを出さなくて良かったぜ。
　本当ほんとうですねシガミー。

　ごごん――♪
　木の洞あたまのうえを叩たたいてみる。

「な、なんですの、この死ぬ程痛ほどいたいってときにぃ――――」
　仮面かめんをはずした狐耳きつねみみと目が合った！

「ｊえｙ５＄りｙほぎゃ――――！」
　足下の穴こっちを逆さかさまになって、のぞき込む高貴こうきな顔かお。
　怪我けががひでえのは右目みぎめらしく、かるく包帯ほうたいが巻かれていた。

「まてまて、人ひとの子よ！」
　ひっくり返かえりながら、豪奢ごうしゃな剣けんを抜こうとしたから――――小太刀かたなの柄つかに紫の小瓶えりくさを乗せて差しだした。

「十等分じゅっとうぶんは勘弁かんべんねがいたい。ついてはこれで手打てうちにせぬか、人ひとの子よ」

「人ひとの子、人ひとの子って気安きやすいですわよ――――けどそうね、その殊勝しゅしょうな心こころがけは認みとめてさしあげても――いたたっ――さっさと、およこしなさい！」

　きゅぽん――ぐびり。

　いっさいの躊躇ちゅうちょがねえ!?
　〝鑑定かんてい〟や〝毒物耐性どくぶつたいせい〟を収得しゅうとくしていると思おもわれ。

　おれは使つかえねぇのか……命いのちにかかわるぞ？
　ＳＰスキルポイントを使用しようすれば、可能かのうになります。
　それもはやく言えよ……命いのちにかかわんだろ！

　しゅぉぉぉぉん♪

「うふふふふ？　私わたくしぃ～、大復活だいふっかつでぇすぅわぁぁぁぁっーーーー！」
　一瞬いっしゅんで治なおりやがった。
　紫の小瓶えりくさ、マジで買い占しめる。

「（買い占しめは、推奨すいしょうできません）」
　うるせえ――そんなことよりよ、これで姫ひめさんの仮面かめんを直なおしゃぁ――活路かつろがひらけるぜ――

「カカ――もう一度言いちどいうが、神通力つうりきで〝宛あて鋳い符ふ悪党あくとう〟を直なおしてや――――」

「そ・れ・で、私わたくしの聖剣切せいけんぎりを切り返してきた・・・・・・・のは――――どーいう仕掛しかけなんで・す・の？」
　足下の穴こっちを逆さかさまになって、のぞき込んだ狐耳きつねみみが、ぴくぴく動うごいた。