滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

112:伝説の職人(シガミー)、A級ランクになろう

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「ただ、ひとつだけ問題もんだいがある! フムンッ」
 ピクリッ――胸板むないた筋肉きんにくが……しつこい。

 どかり――――受付嬢うけつけじょうルィノよりも格上かくうえらしいべつ受付嬢うけつけじょうが、おしりでギルドちょうを押しのけた。

「ギルドちょう甲冑かっちゅうを脱いだらギルド制服着用せいふくちゃくよう厳守げんしゅねがいます。服務規程ふくむきてい違反いはんをつづけるなら、受付係長うけつけかかりちょうの名において減俸げんぽうにしますので」

「うむ、わかった。じゃあ、あとをたのむよ――――おまえらも全員ぜんいんちゃんと、制服せいふくを着るように!」
 押しのけられたギルドちょうが、すごすごと更衣室きがえばしょに向かう。
 そして、ギルドちょうに捨て台詞ぜりふを吐かれた冒険者ぶかたち(薄着うすぎ)も、ゾロゾロとあとを追う。

 おおきな作戦部屋さくせんべやには、受付嬢うけつけじょうふたりと、ぼくだけが取りのこされた。

わたくしはウェレともうします。うちのギルドちょう大変たいへんあつくるしいところをお見せして、ごめんなさいね――ぶるん♪」
 姫さんリカルルとはまた違った感じで、ひんがあるというか――とにかくちち制服せいふくからはみ出るほど、おおきかった。

「んーん、面白おもしろかったよ。そんな事よりコレ、いそがないといけないよね。すぐ始めようよ?」
 やまのように積みあがる、装備そうびゆびさす。
 よくわからないけど、ぼくだって金剛力こんごうりきという装備そうびをなくしている身だ。
 気もちはわかるし、まに合うならば手助てだすけくらいしてあげても良い。

少々しょうしょうお待ちください。カラテェさまは――」
「ただのカラテェに、〝サマ〟はいらないよ」

「ではカラテェちゃん。あなたはとうギルドでの、クエスト実績じっせきがないので、冒険者ぼうけんしゃランクはFきゅうです」
「(ぼくはEきゅうで、リオが一緒いっしょに居なくてもDきゅうまで受けられるんじゃなかったっけ?)」
「――この・・ギルドでハFきゅウクエストの、ひトつすら完遂かんスいしていナいので、Fきュうかラのスタートになるよウです。ソレでなクてもカラテェの・・・・・冒険者ぼうケんしゃカードに、実績記録じっせききロくはありマせん――」

F級ソレだと、なにかこまるの? 装備そうびなおすだけなら、クエストを受けなくてもできるよね?」
「できるけど、それだとギルドの金庫きんこから報酬ほうしゅう支払しはらえません」
報酬ほうしゅう? べつにいいよ、そんなの無くてもさ」

「ふぅー。破壊はかいされる危険きけん高いあるレア装備そうびは、ここにあるだけじゃないし、それらすべての修繕報酬しゅうぜんほうしゅうとなると、とても見過みすごせる金額がくではないわよ」

 がたん――胸元むなもとから取りだされた、横長よこながはこ
 それに付いた出っ張りを、ポコポコポコンと押していく、案内係長あんないかかりちょう

「(あれは、算木さんぎの〝宛鋳符悪党アーティファクト〟かな?」
「――そのよウです。アーティふァクトのオブじェクトナンばー記録ブクましタので、あトで詳細しょウさい確認かくにンでキます――」
「(うん。興味きょうみはあるけど、ぼくには迅雷ジンライが居るから必要ひつような――)」

 ぽこん♪
 横長よこながはこから飛びだしたいたに書かれた数字すうじ
 ――一、十、百、千、万――!?

「じゅ、10まんパケタ!?」
 そりゃたしかに、見過みすごせない。
「――ソレだけアれば、イオノファラーの食費しょクひおびえなくてすミます――」

 そうだった。もともと食費しょくひ調達ちょうたつするために、このまちに来たのだ。
 ゴーブリンいし全部売ぜんぶうっても、530パケタだ。
 このさいあさまでにガムランちょうにもどれるなら、クエストのほうがいい。

必要ひつよう冒険者ぼうけんしゃランクは、どれくらいですか?」
「Aきゅうがないと、クエスト受注じゅちゅうできないわね」

「あと2時間じかんもないのに、どうやったって無理むりだ」
 ――はイ、不可能ふかノうでス。残念ざんねンでスが――。

じつはですね、ここだけのはなしなんですけど――特例とくれい冒険者ぼうけんしゃランクを、Aに引きあげる裏技うらわざがありまぁす♪」
 ずっとだまってた、ルィノがしゃべり出した。

「それは、どんな裏技うらわざ――?」
 たずねるぼくに、咳払いをする――受付係長ウェレ

「――とうギルドの職員しょくいんとしてやとわれていただけるのでしたらば、職域限定しょくいきげんていではありますがAきゅうランク相当そうとうとしてみなし・・・報酬ほうしゅうをお支払しはらいすること可能かのうになります――多少たしょう基本業務きほんぎょうむとの重複ちょうふくによる減額げんがくしょうじますが……ぼそり」

「えーっと? 職員しょくいんになると、ぼくは自由じゆうに住む場所ばしょを決められなくなったりは――?」
「します……ね?」
 目をそらす、受付係長うけつけかかりちょう
 あ、オルコトリアが〝自由じゆうにクエストを受けられなくなる〟って言ってた気がする。
自由じゆうにクエストを受けられなくなったりは――?」
「します……よ?」
 目をそらす、受付嬢うけつけじょう

「(なし・・だな。そこまでして、ぼくが引き受けてやる義理ぎりは無い)」
「――そうデすね。受けルにしても無償むシょう修繕しゅウぜんしタほうがマシでス――」

「わかったよ。報酬ほうしゅうの10まんパケタは惜しいけど……タダなら引き受けても――――」

「ちょっと、待つコォォン!」
「待つニャァァッ!」
 ばぁぁぁん!

 両開りょうびらきのドアを、蹴破けやぶるように跳びこんできたのは――くろいバンダナの二人組ふたりぐみ
 さっきアレだけ助けを呼んだときには、姿を見せなかったのに!

「〝みなしAきゅうランク〟の方法ほうほうは、他にもある・・・・・コォォン!」
「――どうぞニャ♪」
 駆けよる猫耳娘ニャミカ猫耳ねこみみをピクピクさせながら――一枚いちまいかみ長机ながつくえに置いた。

『喫茶店〝ノーナノルン〟臨時雇用契約書
 使用者:ルコラコル・ラ・コントゥル
 労働者:
 契約期間:労働者が恣意的に設定。
 就業場所:喫茶店〝ノーナノルン〟敷地内。
 就業条件:三食昼寝付き。
      喫茶店〝ノーナノルン〟敷地内で発生した労働報酬において、
      喫茶店〝ノーナノルン〟土地建物権利所有者に0・01%の地代を徴収。
 特記事項:雇用契約が締結している限りにおいて、
      装備系鍛冶職における冒険者ランクをA級であるとみなします。
      労働者の不利益になる事が生じた場合、
      使用者は名誉を賭けてそれを補填します。』

「どうコン? 仕事しごとだから、これ以上いじょう譲歩じょうほはできないコン。けど一緒いっしょにお仕事しごとしたら、きっとたのしいコォン♪」
「――この契約けいやクダと一方的いっポうてきに、すべテの権利けンりをシガミーが決めラれます。一点いっテんだケ気になるノは、喫茶店カフェ『ノーナノるン』で仕事しゴとをシた場合ばアい場所代ばしょダいの、支払期日しはらイきじつ記載きサいが無いことくらいでシょうか――」

「ちょっと拝見はいけんしても?」
 受付係長ウェレよこから、くびを伸ばす。
「どうぞニャ」
 ざっと、契約内容けいやくないように目をとおした受付係長かのじょが、ぼくのかおを見て――
「これは言うなれば〝ギルドからの報酬ほうしゅうを受け取れるようにするためだけの契約けいやく〟です。ぎゃくに言えば、ルコラコル氏やカフェ〝ノーナノルン〟がとくをする事はほぼありません」
 ――くろバンダナの、ふたりを見た。

「カラテェは大鷲おおわしにさらわれそうになったわれを、たすけてくれた恩人おんじんコン。たすけるのは当然とうぜんコン」
 そのわりには、さっきたすけを呼んだときに、来てくれなかったけど。
「――ひょっとしたラ、この契約書けいやくシょヲ書いていたのかもしれマせん――」

わたくしが言うのもなんですけれど、彼等かれらの申し出にうらはないようですよ」
 そういって、受付嬢ルィノ目配めくばせする受付係長ウェレ
「どうぞ、コチラをお使つかいください」
 目配めくばせされた受付嬢ルィノが、字が書ける鉄筆てっぴつを持ってきてくれた。

「ルコル、えっと、この場所代ばしょだいはいつまでにはらえば良いの?」
「それは、死ぬまでで良いコン?」「たぶんそうニャ?」
 小首こくびをかしげる、くろバンダナ×2。

「――それでしタら、なニ問題もンだいありマせん――」

『労働者:カラテェ』
 ぼくは名前なまえを書いて、ルコルの喫茶店カフェ臨時鍛冶職人りんじかじしょくにんになった。

ーーー
算木/奈良時代頃からある、枡目上に配置して四則演算を行う小さな棒。
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