滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
180 / 744
2:カブキーフェスタへの道

180:龍脈の棟梁(シガミー)、新シガミー邸

しおりを挟む
「じゃあ、おちゃぁ、ごちそうさま。おいしかったよ」
 実際じっさいにリオが入れてくれたちゃは、いつもどおりにおいしかったし。
「いいえ、お仕事しごとごくろうさまでした♪」
 茶菓子ちゃがしシガミーおれ央都おうとで買ってきたヤツ)を、つつんで持たせてくれる。

「あと、いえこわしちまってわるかったね」
 そして、クェーサー父娘おやこわるいことをしたとおもっているのも、本当ほんとうだ。
「こっちこそ、素敵すてきなお部屋へやにしてくれてありがとう♪」
 手をにぎられた。

 そうなのだ。冒険者ぼうけんしゃパーティー〝シガミー御一行様ごいっこうさま〟は、気の良い連中れんちゅうなのだ。

「じゃあ――」
 ガシリ――――!
 両手りょうてをギュッとつかまれた。

「「ちょっとまって!?」」
 あれ?
 どうしたのこわかおして?

 烏天狗ぼくのうしろにピッタリと付いてくる――シシガニャンも立ち止まった。

「「シガミーは置いてって!」――くださいませ!」

   §

「(おい、どーすんだこれ?)」
「(大工作業だいくさぎょう指示しじを出すさいに、口頭こうとうによるプロンプト入力にゅうりょく……最終確認さいしゅうかくにんをシガミー……烏天狗からすてんぐかならおこなっていたので、操作技師オペレーター……飼い主・・・として認識にんしきしたようです)」

 建てたばかりの、ギルド家屋かおく
 レイダの部屋へやから降りること、七かい
 図書館としょかん倉庫そうこが有る一画いっかく。その北東側ほくとうがわかど

「まいったな……」
 ココは、しんシガミーていらしい。
 まえの物置小屋シガミーていのあたりが、とく日当ひあたりがわるくなるって言うんであてがわれた。
 なんでも、燃えなくてこわれなくて魔法まほうのろいに、めっぽうつよ材質ざいしつかこまれた、この階層フロア
 その一画いっかくに、さらに強力きょうりょく結界けっかいじみた場所ばしょつくったらしい。

 もっとも、その内情ないじょうは、シガミーおれが寝ぼけたり、ふざけてはしらを焼き切ったりしても、ほか被害ひがいを出さないためだ。
 なんせつくったのはおれ。設計せっけいしたのはシシガニャンだから、間違まちがいない。

 ドアを開ければ、二重にじゅう結界けっかい解除かいじょされるから不便ふべんはない。
 ないが――

 烏天狗ぼくがドアを開けると、シシガニャンが立ちあがり、どこまでも追いかけてくるのだ。

「そもそも、シガミーはなんでこの中・・・はいってるの? ……すっごくすっごく、かわいいけど」
 おたがいのほほをさすり合う、子供れいだ黄緑色シシガニャン

「なんでも、シガミーやカラテェーくん故郷こきょうに伝わる……修行しゅぎょうなのだそうですよ?」
 カブキーフェスタの絵草紙チラシが、紙一枚かみいちまいじゃなくて分厚ぶあつい。
 おい、この冊子さっし五百乃大角いおのはら町中まちじゅうくばりやがったけど、SPスキルポイントそうとう使つか
ったんじゃねーか?

「(いいえ、ギルト地下ちか烏天狗シガミー設置せっちした、自動工作機械プロダクトマシン……無人工房むじんこうぼうつくられたようで、材料ざいりょう以前いぜんもり大穴おおあなを空けたときの材木ざいもくを――一割いちわりほど使用しようしたのみです」
 収納魔法しゅうのうまほうに詰め込んであった、材木ざいもくをそれっぽちだけで?

「(はい。超女神像ちょうめがみぞうかんがえる機能きのう使つかえば、SDKエスディーケーわたしほどではありませんが、簡単かんたんものつくれます)」
 超女神像ちょうめがみぞう金庫きんこをつなぐ、配線はいせんあいだ
 三階分の高さ・・・・・・に、五百乃大角いおのはらが寄こした何か・・を、そのまま置いたのはおぼえてるけど。
 ……迅雷おまえ細腕かいなみたいなものか?

「(はい、そうかんがえていただいてかまいません。冊子さっし簡単かんたん道具どうぐを、大量たいりょうつくれます)」
 まあ、そっちは大方おおかた伯爵夫人ルリーロとなんか、こそこそやってた兼ね合いだろう。
 ガムランちょうみたいな辺境いなかが、この世界せかい中心ちゅうしんになりかわっていくのは、色々問題いろいろもんだいがありそうだけど――便利べんりになるなら、いいことだし。

 おれぁ、元坊主もとぼうずのいくさびとで、いまは子供ガキだ。
 そこまで、気にしてやることはねえ。
 それこそ、そいつぁコントゥル家おきぞくさま仕事しごとで、子供おれかかわるこっちゃねぇやな――

「(――けど、猫耳頭シシガニャンを着る修行ぎょうてのは、聞いたこともねぇぞ? 部屋へやにこもるのは有ったが……)」
「(うそも方便ほうべんです。まち発展はってんさせる目玉めだまにしたいと、画策かくさくしたのでしょう)」

 ぱらら――――冊子さっしをめくる。
 なるほど。
 ほとあつまりゃ、うまいめしつく料理人りょうりにんもやってくる。
 これは今日きょうじゃなくて明日あした、うまいめしを食うためのはかりごとだ。
 そういう、うらがよみとれた。

「ふぅ、シガミーは、これ以上強いじょうつよくなってどうするの?」
 子供こどもが、若草色《わかくさいろ》にたずねるが、おれにもわからん。
 いて言うなら、〝五百乃大角いおのはらの飽くなきしょくへの探求たんきゅう〟に必要ひつようかもしれねぇってだけだ。

「にゃやぅー?」
 くびをかしげる魔物シシガニャン

「ほんと、どうすんだ?」
 部屋へやすみ
 うつくしい姿すがた置物おきものに向かって、聞いてみる。
 返事へんじはない。

 置物コレ元々もともとガムランちょうギルドにあった、普通ふつうおおきさの女神像めがみぞうだ。
 土台どだいになるSDKエスディーケーは、超女神像ちょうめがみぞうをつくるのに取りはずされ――
 ひたいいしすらも、五百乃大角いおのはらぞうつくるのに取られたから――

 龍脈りゅうみゃくにも金庫きんこにもつながっていない。
 つまり、まるで使つかものにならない、まさに置物おきものだ。

 ぽこん♪
「(ふふん、この超女神像ちょうめがみぞう型取かたどりに使つかった女神像めがみぞうわぁ、ただ置いてあるだけじゃないんだもんねっ! こうしてはなせば――聞いてたらだけど、出てきてあげますよーぉ)」
 出た。女神ほんものが。
 ええと……この女神像おきものには、ヤツのみみが付いてるってワケか。
「(そのようで)」

「(ふうー、おまえコレ……シシガニャンをどうにかしてくれ)」
 こうひっ付かれてちゃ、おちおちめしもトイレも風呂ふろもできねぇ。

「(ブブブーッ♪ ソっレっわぁー聞けなぁい相談そーだんよっねぇー。カブキーフェスタが終わるまで、このままでおねがいしゃぁーす)」
 深々ふかぶかあたまをさげられても、その図体なりじゃ――五百乃大角いおのはら分け身マルチカーソルが、パタリとまえたおれた。

「(やい、一週間いっしゅうかんも、このままってわけにはいかねぇだろうが?)」
 おれは、いつまで烏天狗からすてんぐで居りゃいーんだ?

「(シガミーは〝お祭り《フェスタ》の賞品トロフィー〟なんだから、今回こんかい我慢がまんしてちょうだぁい)」
 けど、ずっと、コイツらと居たら、おれ……ぼくが本当ほんとうのシガミーだってバレるだろー!
 烏天狗からすてんぐとしても、自由じゆうがきかねぇのはこまる。
 そろそろ、ルコルたちのみせかおも出さなきゃならんし。

「(えーソレに付きましてわぁー、まこと遺憾いかんながらぁ――秘策ひさくがすでに、コチラの部屋へや搬入はんにゅうされておりまぁーす♪)」
 女神像おきものとなり不自然ふしぜんかべの出っ張り。
 不格好ぶかっこうだが、ぜん階層フロアとおさなければならない配線はいせんじょう、どうしても出来てしまう。

「レディース、エン、ジェントルメン♪」
 いきなりはなしはじめた、女神像おきもの
 跳びあがりおどろく、給仕服メイド子供レイダ魔物シシガニャン

 ぷっしゅるるるっぅ♪
 ひとりでにひらく、部屋へや不格好ぶかっこうな出っ張り。
 引き戸の中から、あらわれたのは――

「おい、いや……ねえ、コレって、どういうことだい?」
 なかに立っていたのは――薄桜色さくらいろ

「なんだこの薄桜色さくらいろの、シシガニャンわぁ!?」
 迅雷ジンライうでおなじような細腕ほそうでに、ささえられていたのは――シシガニャン・・・・・・だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...