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2:カブキーフェスタへの道
191:龍脈の棟梁(シガミー)、逃げるシガミー(強化服一号)
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「どっちだっ!?」
廊下に飛び出すも、影すら見えない。
「――南南東、巳ノ方角でス――」
よし、硬い石床を、割らない程度に加減して――トトォォン!
角に一瞬で到達――ぽっきゅむ♪
正面の壁を壊さないよう、細心の注意をはらい止まる。
「居たっ!」
黄緑色が見えた。大階段に向かってる。
「みゃぁご!」
返事をしたからコッチの声は、聞こえてるみたいだけど――
「止まれ、止まれ――!」
ピタリと立ち止まり、振りかえる――〝極所作業用汎用強化服〟。
「みゃうあ、みゃうあ――♪」
ぽきゅぴょぉーんと面白い音を立てて、階段へ飛びこむ酢蛸……おにぎり野郎。
「(あの勢いで、人にぶつかったら――大惨事だ)」
急いで捕まえねぇと!
「――それわぁー、大丈夫よぉーん♪ 一号の演算単位はすでに〝1〟近くなってるからぁ、どういう行動をするときでもぉー、ガムラン町住人並びに来訪客の安全を最優先に確保するはずだわよぉん~――」
まだ、画面の中に居てくれたか。
こういうときは、居てくれると心強い……癪だが。
そして、わからん。〝1〟てなぁ、なんだろ?
二号は〝2〟なのか?
一号を追って、大階段の真ん中へ――ぽきゅむっ♪
吹き抜けになった、縦穴へ飛びこんだ!
ひゅるるるるるるうっるるるるぅ――――!
「――シガミー、私が人ヲ害すルと思いまスか?――」
それは、ないだろ。
「――一号にハ、簡易的でスが私と同ジ行動原則……頓知が込めらレていまスので、安心してくダさい――」
そうか。サッパリわからんが、それなら安心……じゃねぇよ。
「(一号は、生まれて真っ先に――鬼娘や妖怪狐に飛びかかってたじゃねーか)」
「――そレは、短期行動計画が未設定状態……陣地ノ確保ヤ自身ノ保護ヲ最優先していたからデす――」
んー? そーなのぉう?
ぽっきゅん――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪
先に一階に降りたち、誰もいない休憩所を粉砕した一号が――
目にもとまらぬ速さで――にげていく。
「――じゃぁ、念のため放送しとくわねぇー。小さい子が怪我しても大変だしぃー!――」
封僧?
僧侶を封じる?
いやな響だ――――ガッキュ、キィィ――――ン!?
ごこわぁぁぁぁん♪
轟く怪音に、ギルド屋舎が唸りをあげる。
「うるせえ!」
ひゅごぉぅわぁ――一階の天井を過ぎる。
一番下の階は高さがあるから、逃げていく一号がよく見えた――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪
一号の足は、止まらない。
「(やい五百乃大角、うるせえぞっ!? それは、一号には全然効かないから、もうすんな!」
ぽっきゅむん、ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪
こっちも、割れたテーブルを踏みつけ――一号を追いかける。
人はまばらで、全速力でカッ飛んでもぶつからなくて済む。
「ポポポォオーーーーン♪ 乙種物理検索を開始致します。論理封鎖態勢が解除されるまでは、白線内に下がってお待ち下さい」
流麗な声が告げたのは、訳のわからない事で――
「(いまのは、何だ?)」
梅干し大が、居ねぇ。
「――リファレンスによルと、空間異常検疫でス。私にモ理解しかねマす――」
迅雷がわからんことを、おれ……ぼくが気にしても意味はない。
「こわぁん♪ えー、ガムラン町ギルド支部へお越しの皆様ぁ、大変お騒がせいたしましたわぁー♪ 魔法具トラブルによる騒音に対するお詫びとして、お一人様一枚ずつ串揚げ無料チケットを発行いたしまぁす♪」
ぬぅん?
このよく通る声……姫さんか?
「本日中ならどなたでも、ギルド会館一階掲示板横の自動発券魔法具で、お受け取りになれますので、お手すきの際に是非お受け取りくださぁいませぇー♪」
ガッチャンッ――――すぐそばを歩いていたヤツが――――痛ってぇ!!!
抱えていた大きな木箱を落として、もんどり打ってる。
って、なんだただのニゲルか。
そりゃ思い人の声を、こんな大声で聞かされたら、箱くらい落とすわなぁ。
「こぉわん♪ もう一つ、おしらせがぁ、ございますわぁー」
ギルド正面から外に出る。
外にも響くこの声は、いつだか天狗の声を辺りに轟かせたのと似た仕組みなんだろう。
「えぇー、現在、暴れシガミーが出没しています。特に害は御座いませんが、殴ると殴り返されますので――」
ぶっはっ――――ぽっきゅごろごろごんろろろっぷりゅん♪
盛大に素っ転んだ!
なんだその〝暴れシガミー〟ってぇのわぁ――おれぁ牛馬かぁ!
「――むやみに殴りつけたりせず、餌を与えたりもしないでください。なお――」
だから――おれぁ、牛馬かってんだぜ!
「――ピンク色のシガミー、いえ、シシガニャン二号の方は、とても大人しいので、見かけたら話しかけてあげてね♪」
「こぁん♪ えっとねぇー……どーしよっかな?」
む、この素っ頓狂な声は、五百乃大角。
居ねえと思ったら、あの野郎め。
「――よし決めたっ! 二号に「参った」を言わせた人にわぁー、あたくし美の女神様かリカルルちゃんのぉ、どちらかお好きな方とぉのー〝一日デート券〟がぁ、もらえますぅー♪ どんどぉんぱふゅぱふ――――ちょっと、イオノファラー様、突然なにをおっしゃいますの――どがたがたごわぁんッブッツン♪」 」
「(おおかた、猪蟹屋の無料券も、五百乃大角の入れ知恵だなっ!)」
ちっ、余計なことを言いやがって!
祭りを盛りあげるのに異論はねえが――たぶん、店の切り盛りを頑張ってくれてる、ネコアタマ青年に負担を掛けちまう。
ふぉふぉん♪
『▼――――<シシガニャン一号>』
迅雷が表示した、暴れシガミーは――
まっすぐに、城壁へ向かってる。
とっとと一号を捕まえて、店の手伝いに行かねぇと。
「おい待て、そこの二号っ!」
この忙しいときに、呼び止められた。
ーーー
演算単位/量子的な特性をあらわす高濃度な演算リソースと、それを計る仮想単位。
乙種物理検索/保全された物体のインデックスを参照する機能。三年前に蹴飛ばした石ころの所在も検索できる。
論理封鎖/宇宙の連続性が脅かされる危険に際し、白線内の全ての量子的運動を観測記録すること。
空間異常検疫/▒▒▒▒▒▒が策定した、実理に基づいた▒▒▒で、相転移に対しての実効や実利はない。
※参照URL https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/989177038
廊下に飛び出すも、影すら見えない。
「――南南東、巳ノ方角でス――」
よし、硬い石床を、割らない程度に加減して――トトォォン!
角に一瞬で到達――ぽっきゅむ♪
正面の壁を壊さないよう、細心の注意をはらい止まる。
「居たっ!」
黄緑色が見えた。大階段に向かってる。
「みゃぁご!」
返事をしたからコッチの声は、聞こえてるみたいだけど――
「止まれ、止まれ――!」
ピタリと立ち止まり、振りかえる――〝極所作業用汎用強化服〟。
「みゃうあ、みゃうあ――♪」
ぽきゅぴょぉーんと面白い音を立てて、階段へ飛びこむ酢蛸……おにぎり野郎。
「(あの勢いで、人にぶつかったら――大惨事だ)」
急いで捕まえねぇと!
「――それわぁー、大丈夫よぉーん♪ 一号の演算単位はすでに〝1〟近くなってるからぁ、どういう行動をするときでもぉー、ガムラン町住人並びに来訪客の安全を最優先に確保するはずだわよぉん~――」
まだ、画面の中に居てくれたか。
こういうときは、居てくれると心強い……癪だが。
そして、わからん。〝1〟てなぁ、なんだろ?
二号は〝2〟なのか?
一号を追って、大階段の真ん中へ――ぽきゅむっ♪
吹き抜けになった、縦穴へ飛びこんだ!
ひゅるるるるるるうっるるるるぅ――――!
「――シガミー、私が人ヲ害すルと思いまスか?――」
それは、ないだろ。
「――一号にハ、簡易的でスが私と同ジ行動原則……頓知が込めらレていまスので、安心してくダさい――」
そうか。サッパリわからんが、それなら安心……じゃねぇよ。
「(一号は、生まれて真っ先に――鬼娘や妖怪狐に飛びかかってたじゃねーか)」
「――そレは、短期行動計画が未設定状態……陣地ノ確保ヤ自身ノ保護ヲ最優先していたからデす――」
んー? そーなのぉう?
ぽっきゅん――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪
先に一階に降りたち、誰もいない休憩所を粉砕した一号が――
目にもとまらぬ速さで――にげていく。
「――じゃぁ、念のため放送しとくわねぇー。小さい子が怪我しても大変だしぃー!――」
封僧?
僧侶を封じる?
いやな響だ――――ガッキュ、キィィ――――ン!?
ごこわぁぁぁぁん♪
轟く怪音に、ギルド屋舎が唸りをあげる。
「うるせえ!」
ひゅごぉぅわぁ――一階の天井を過ぎる。
一番下の階は高さがあるから、逃げていく一号がよく見えた――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪
一号の足は、止まらない。
「(やい五百乃大角、うるせえぞっ!? それは、一号には全然効かないから、もうすんな!」
ぽっきゅむん、ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪
こっちも、割れたテーブルを踏みつけ――一号を追いかける。
人はまばらで、全速力でカッ飛んでもぶつからなくて済む。
「ポポポォオーーーーン♪ 乙種物理検索を開始致します。論理封鎖態勢が解除されるまでは、白線内に下がってお待ち下さい」
流麗な声が告げたのは、訳のわからない事で――
「(いまのは、何だ?)」
梅干し大が、居ねぇ。
「――リファレンスによルと、空間異常検疫でス。私にモ理解しかねマす――」
迅雷がわからんことを、おれ……ぼくが気にしても意味はない。
「こわぁん♪ えー、ガムラン町ギルド支部へお越しの皆様ぁ、大変お騒がせいたしましたわぁー♪ 魔法具トラブルによる騒音に対するお詫びとして、お一人様一枚ずつ串揚げ無料チケットを発行いたしまぁす♪」
ぬぅん?
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ギルド正面から外に出る。
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「えぇー、現在、暴れシガミーが出没しています。特に害は御座いませんが、殴ると殴り返されますので――」
ぶっはっ――――ぽっきゅごろごろごんろろろっぷりゅん♪
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「――ピンク色のシガミー、いえ、シシガニャン二号の方は、とても大人しいので、見かけたら話しかけてあげてね♪」
「こぁん♪ えっとねぇー……どーしよっかな?」
む、この素っ頓狂な声は、五百乃大角。
居ねえと思ったら、あの野郎め。
「――よし決めたっ! 二号に「参った」を言わせた人にわぁー、あたくし美の女神様かリカルルちゃんのぉ、どちらかお好きな方とぉのー〝一日デート券〟がぁ、もらえますぅー♪ どんどぉんぱふゅぱふ――――ちょっと、イオノファラー様、突然なにをおっしゃいますの――どがたがたごわぁんッブッツン♪」 」
「(おおかた、猪蟹屋の無料券も、五百乃大角の入れ知恵だなっ!)」
ちっ、余計なことを言いやがって!
祭りを盛りあげるのに異論はねえが――たぶん、店の切り盛りを頑張ってくれてる、ネコアタマ青年に負担を掛けちまう。
ふぉふぉん♪
『▼――――<シシガニャン一号>』
迅雷が表示した、暴れシガミーは――
まっすぐに、城壁へ向かってる。
とっとと一号を捕まえて、店の手伝いに行かねぇと。
「おい待て、そこの二号っ!」
この忙しいときに、呼び止められた。
ーーー
演算単位/量子的な特性をあらわす高濃度な演算リソースと、それを計る仮想単位。
乙種物理検索/保全された物体のインデックスを参照する機能。三年前に蹴飛ばした石ころの所在も検索できる。
論理封鎖/宇宙の連続性が脅かされる危険に際し、白線内の全ての量子的運動を観測記録すること。
空間異常検疫/▒▒▒▒▒▒が策定した、実理に基づいた▒▒▒で、相転移に対しての実効や実利はない。
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