滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

２：カブキーフェスタへの道

１９６：龍脈の棟梁（シガミー）、ガムラン温泉

「……なんて言ってるんだアレ？」
「――問題解決もんだいかイけつ、褒ほめラれる、うレしい――♪……ですネ」
　褒ほめられる？
　一号アイツはぼくに、褒められたい・・・・・・のか？

「はイ。基本的きホんてきニ我々わレわれ、アーティファクトの行動原理こウどうげんり……生キる目的もくテきハ使用者しようシゃが提示てイじシた問題もンだいヲ解決かいケつすルことにあります。そシて、ソの報酬ほウしゅうは〝使用者しヨうしゃかラの感謝かンしゃ〟と言っても、差しつかえないと思おもわれます」
　ん？　オマエも褒ほめて欲しいのか？

「私わたシハ既すデに迅雷ジンライとしテの自我ジがヲ確立かくりツしていますノで、必要ひつヨうはありマせん」
　そうなのか。まるで悟さとりに至いたった坊主ぼうすみたいだな。
「必要ひつようはなくても、感謝かんしゃはしてるぞ。ニゲルの例れいもあるし、迅雷おまえが居なかったら、おれはまだ女将おかみの店みせと草原そうげんを行ったり来たりしてただろうからな」

「感謝かンしゃをシているのは、コチラもデす。シガミーのおかゲで、連日飽れんじつあきることなく問題解決もんだいかいケつに勤いソしめていますノで」
　そんなら良いけど、オマエを遣つかわしてくれた五百乃大角いおのはらには、感謝かんしゃの言葉ことばの一つも言ってやるべきなんだろうが――

「はイ。間違まちガいナく、〝ムシュル貝のドラゴーラ焼き〟ヲ要求ようキゅうしてくルと思おモわれマす」
　だよなぁ。ここは心ここの中なかで、感謝かんしゃするにとどめる。

　　　§

「おい迅雷ジンライクン」
「なんでシょうシガミー」
　危あぶないから通路つうろをもどり、外そとに出た。

「温泉こいつは、なんかに使つかえる」
「はイ、大手柄おおてがらでス」
　まだ、誰だれにも見つかってないのか、辺あたりに人ひとの気配けはいはない。

「でかした一号いちごう、よくやったぞー。ありがとうー♪」
　すなおに褒ほめておく。
　頭あたまをなでてやると、「みゃあ」となで返かえしてきた。

　龍脈りゅうみゃくの流ながれの一種いっしゅであり一部いちぶでもある、活力マナに満ちた地下水みずの流ながれ。
　それを見事みごと、引き当てた一号こいつには、温泉おんせん以上いじょうの――なんらかの使つかい道みちがある。

「はイ。一号かれは私わたしとはちがう学習効果がくしゅうこうか……知見ちけんを収得しゅうとくしたよウです」
　どうもそうみたいだ。
　迅雷ジンライとはちがって、頓知に掛かる時間が短い。
　しゃべれてもカタコトだから、なんでそうなったかの理屈を聞くことも出来ない。

「（一号こいつの頭あたまが開あかないように、出来できるか？）」
　強化服シシガニャンは強つよい。
　けど服なので・・・・、頭へっどが開ひらいたり外はずれたりするようになってる。

　そして、開けちゃうと中身なかみの、おにぎりみたいな形をした小ちいさなアーティファクト……美の女神いおのはらの背中せなかに付いてた箱はこみたいなヤツが、まっさらになっちまう。
　まっさらってことは、またイチから歩あるき方かたを教おしえる所ところから、やり直なおさないといけなくなる。

「はい、可能ですが――――ニゲルの剣が持つ光由来のスキルを防ぐために、イオノファラーの攻略本を参照する必要がありマす・」
　やっぱ、ニゲルの生まれと能力について、五百乃大角いおのはらと話をする必要があるな。
　けど、あの野郎たぶんつかまらねぇだろうな。
　姫さんを掛けた勝負の駒に、おれをつかいやがったことを、怒られると思ってるからな。
　実際、怒るつもりだし。

「けど、温泉これと新しい献立メニューとルコルの店みせは関係かんけいないよなぁ？」
　筋肉痛きんにくつうには効くかもしれないけど、温泉は飯に関係ねぇーし、ルコルの店にいたっては蒸し風呂屋でもやれってのか？

「いっやぁーお手柄お手柄。新メニュー出来るよ♪　この泉質ならさぁーん♪」
　あー、出た。こいつはもう、あれか。
　おれに怒られるのと、面白そうな出来事を、秤に掛けて――重けりゃソッチに飛びつくんだな。
　ふりかえると、がやがやがやがやがや、どやどやどやどやどや。
　いつの間にか人垣が出来てて――

「カラテェー。これはまた、とんでもないことになりましたわねぇー」
　姫さんまで来た。
　頭の上に御神体をのせている。

「いや、コレを見つけたのは一号だ。二号ぼくは穴をあける手伝いをしただけだよ」
　きゅふぉん♪
『＞コレを見つけたのは一号だよ。
　　ぼくは穴をあける手伝いをしただけ』
　板をみんなに見せる。
　猫耳族が居れば、通訳もしてくれるだろうが。
　ニャミカもネコアタマ青年もいないし、人混みの中にも居ない。

「みゃにゃ、ゆーにゃ、みゃご――――♪」
　そういや、あの中身おにぎりはシガミーおれだって事になってる話とか――いろいろ詰めとかねぇと、ヤバイんだった。

「おいみゃ、ソコに居るとにゃみゃぅー、お湯がかかるぞみゃぁーんにゃう？」
　聞いてるのかどうか、わからないけど。
　楽たのしそうに小躍こおどりして、熱湯ねっとうをかけられてる。
　あ、作ってやった文字板がねぇ。
　どこかで落とししやがったか？

　ガゴンッ――――なんだ!？
　ガゴンゴゴンゴゴゴゴドガガガッ――――あっぶねぇ、なんか落ちてきて地面に突き刺さった。

　うぎゃーわーと逃げていく人々。
　それは、ムシュル貝だった。

「危――なっにこれ、おいしそうじゃないよー♪」
　熱湯でゆであげられた貝は、うまそうなにおいを立てている。