滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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2:カブキーフェスタへの道

214:ギルド住まいの聖女(研修中)、オルコトリア(つよい)があらわれた

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問題山積もんだいやまづみで――SDK代わりになるアーティファクトをさがしに行く……どころじゃねぇーなー」
「(ですが、ルコルの仲介所ちゅうかいじょ盛況せいきょうになれば、出向でむかずともあつまってくる可能性かのうせいも――)」
 それもなくはないので、こうしてる・・・・・

 スタタタタァァン――――ストトォォォン――――――――!
 ガムランちょう城塞都市じょうさいとしのあいだ。
 沼地を走る黒装束カラテェー――つまりおれ。
 アーティファクト仲介所用ちゅうかいじょようのガラクタ……つぶぞろいの珍品ちんぴん……名品めいひんたちを、城塞都市じょうさいとし不要品置ふようひんお……倉庫そうこから深夜しんやはこんでる。

「にゃやーご、みゃがごーみゅ?」
 あとを付いてくるのは、若草色おにぎり
 あの背中せなかはこには、ギルドの地下ちかを掘るのにくりぬいたつちとか、かさばるながさの材木ざいもく巨大きょだいいわとか、一号いちごうがこれまで食べたものとかが押し込まれている。

「いまアイツ、なんていった?」
 ふぉん♪
『ヒント>自動翻訳:あの二つの月、おいしいのはどっち?』

 見上みあげればあかいのとあおいの、ふたつのまるが浮かんでる。

「はぁ、大工仕事だいくしごと荷物持にもつもち、いざってとき護身ごしんにと大活躍だいかつやくだが――どうにも、ひとはなすみたいにはいかないもんだな」
「(おにぎりは生後せいごまだ、二週間にしゅうかんです。ながい目で見てあげてください)」
 そーだなー、あるかたからおしえてやってたことをかんがえたら、そうとう頑張がんばってる。

「もしも、迅雷ジンライ……おまえみたいなのが、ポンポンつくれるようにでもなったら、ニゲルにも一匹作いっぴきつくってやりたかったんだがなぁ」
「(自動翻訳じどうほんやく機能付きのうつききのヘッドセット……耳栓みみせん支給しきゅうしたので、当面とうめん生活せいかつには十分じゅうぶんおもいますが)」
 ニゲルが出来できなかったのは、別種族べつしゅぞくの読み書きと、人種族ひとしゅぞくの込み入った読み書きだ。
 たしかに耳栓みみせんが有れば、そうそうこまることもないか。

「(女神像めがみぞうちかくにないときようの、充電棒じゅうでんぼうたん)を二本にほんこわれたときよう予備よびわたしました)」
 そもそも、これまでちゃんと生きてきたわけで、おれよかよっぽどちゃんと出来できてる。
 おれが生きてこられたのは、ほぼ迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらのチカラだ。

 スタタタタァァァァン、ストトトォォォォォン――――――――♪
 すたたたたぁぁぁぁん、すととぽきゅきゅむん――――――――♪

 沼地ぬまちがふかくなって、足場あしば途切とぎれた。
 高下駄たかげたの歯をよこそろえて、おもいきり突きだす。
 ズザザザザザザザザザザァァァァァァァァァァァァァッ――――なんでかしずまずに、高下駄たかげたが持ちあがっていく。

 いちおうおにぎりシシガニャン様子ようすを――振りかえる。

「にゃみゃっ!? ふにゃにゃやぅ――!?」
 ジタバタしつつも沼地ぬまちうえ器用きようにすべっている。

「あいつはしずめようったって、しずまないだろ?」
「――はイ。防汚加工ダートぷルーフ……よゴれナい仕組しクミが、毛皮けがワほどこされていますノで――」

 ギルド屋舎おくしゃを建てなおしてからコッチ――本当ほんとうにいろいろあった。
 鬼娘おにむすめからの決闘申けっとうもうし込み。
 温泉おんせんがでたり。
 神域惑星しんいきわくせい饅頭まんじゅうつくったり。
 青年ニゲル温泉饅頭おんせんまんじゅう製造販売所せいぞうはんばいじょ店主てんしゅ就任しゅうにんして。
 姫さんリカルル狐火きつねび体得たいとく

「――まサに目白押めじロおし……スしめでシ――」
寿司すしか……紙箱かみばこに詰めりゃ、饅頭まんじゅう一緒いっしょに売れそうだな」
 べつに猪蟹屋ししがにやを切り盛りするために、来世ガムランに来たわけじゃない。
 けど、レイダやリオレイニア、ギルドの連中れんちゅうや、喫茶店組ルコルたち
 それにくわえてニゲルの生活せいかつまで、背負せおうことになっちまったからなぁ。

「――良いかンがえです。無人工房むじンこうぼうデはポテトカツの量産りょうサん開始かイししたノで、長椅子ながイすナがテーブルヲ設置せっチしテ、明日アす開店かイてんにそなえマしょ――」
 販売所みせかねをだした猪蟹屋ししがにや2号店・・・でもあるけど、ルコルたちのアーティファクト仲介所ちゅうかいじょでもある。

「ニゲルはさじ食堂しょくどう仕込しこまれてるから、食い物屋ものやの切り盛りにはうってつけだ」
「――はイ。ルコルたチも茶店ちゃミせ仕切シきってキた実績じっせキが有ルので、意見いケんを出してもらいましょ――」
 食いもの、飲みものかんしては、二号店裏にごうてんうらのとんでもなくひろい無人むじん板場いたばに任せておけば良い。

 ひとつ気になるのは、ニゲル青年せいねんにアーティファクトの管理かんりつとまるのかどうか……くらいか?
 ルコルたち以外いがいにも、ひとりだけ当て・・はある…………けどなー。

 ズザザザザァァァァァァッ――――――――ゴッ、ドドンッ!
 沼地ぬまちが終わり――とおくにガムランちょうが見えてきた。

「(通用門つうようもんからはいると面倒めんどうだから、城壁じょうへきを越える)」
「(岩場側いわばがわは、温泉警護おんせんけいご人員じんいん配置はいちされているので、反対はんたい荒地側あれちがわから侵入しんにゅうしましょ)」
 おう。荒地側あっち巨大きょだいいわやくぼみが、うっそうとしげった高草たかくさかくれてるから、あまりとおりたくはない。
 ぎゃくに言えば、見渡みわたすかぎりの自然しぜんわなが張りめぐらされている。

 ガサガサガサガサッ――――ドドン――――しげみを突っ切り、倒木とうぼくを蹴って飛んだ。
 ガッガッガッ――――くるくるくるくるるん――――がしっ!
 点在てんざいするいわを蹴りすすんで、城壁じょうへきへりに取りついた。

 いきなりまちなかへ、飛びこんだりはしない。
 シュワシュワとはじける温泉おんせんを、ガムランちょうの8区画くかくすべてに分配ぶんぱいしたから、その警備けいび衛兵えいへいがかり出されているかもしれないのだ。

 そっとあたまを出す。
 ひとあたたかさやうごきを〝縁取る形モーショントラッカー〟は見えないから、だれも居ない。
 けどはじめてとおる道筋みちには気をつけろと、前世ぜんせ師匠ししょうにあたるヤツが言ってたから――
 一応いちおう、気を付ける。

 昼日中ひるひなかのように見える視界がめんうつるのは、きゅうシガミーてい物置小屋ものおきごやくらいだ。
 一応名義いちおうめいぎは、まだおれのものではあるけど、もうここに来ることもないだろう。

 スタタタァァン、ストトォォッォォォン――――――物置小屋ものおきごやからみちなりに立ちならぶ建物たてもの屋根やねにあがる。
 そしてこのまま、距離ながさで言ったら……40シガミーくらいを、いきおいにまかせて飛ぶ。

 ひゅぉぉぉぉぉぉお――――――――――――――――がしっ!
 しんギルド屋舎おくしゃ二階にかい三階さんかいあいさ。出っぱった石柱せきちゅうに取りつく。
 このすぐうえは、しんシガミーていまえの通路つうろにつながってる。

「(通路つうろまどは開かないはずだが、どーすんだ?)」
 ふぉん♪
『>合い言葉を設定済みです。頭巾の中で小さく、
  〝温泉入浴罰苦戸蒼分〟と唱えてください』
「(〝音声入力おんせいにゅうりょく:バックドアオープン〟です)」

「(えっと)、〝温泉入浴おんせんにゅうよく罰苦戸蒼分ばっくどあおぷん〟?」
 画面がめんにあらわれる、ひかり縁取ふちどり。
 ぷっしゅるるるうるる――ガタァン!
 ひらくようにたおれたかべを、踏んでなかはいる。
 あたりにひとは居ないから、平気へいきだったけど――結構けっこう騒々そうぞうしさだ。

「にゃみゃぁーご、にゃんにゃんみゃん。やんみゃにゃにゅ♪」
 通路つうろにころがりでた一号おにぎりが……なんだって?

 ふぉん♪
『>要約すると――あとで音がしないように作り替えておく――だそうです』
 一号いちごう仕事しごとかんしては、迅雷ジンライよかキッチリしてるかもしれない。

 へっどを撫でてやるかと、背後うしろを振りかえる。
 どかっ――ぽっきゅむむん♪
 すすんできたへっどにぶつかった!
 うるせえ。
 通路つうろ尻餅しりもちをつく、おれと……いやぼくと一号おにぎり

「んぁ? だれかいるのか!?」
 やべぇ、ひとが居たのか!?
「(断熱だんねつならびに遮蔽性しゃへいせいすぐれた新屋舎しんおくしゃは、そとから熱源探知ねつげんたんち動体検知どうたいけんちをするのには向いていません)」
 わからんが、外壁そとかべ五百乃大角いおのはら仕事しごとだ。

 ダッダッダッダッ――――ズザザァ!
 曲がりかどから姿すがたをあらわす――たぶん、衛兵えいへいさん。
 とにかくいまは、この場を取りつくろわないと。

夜回よまわりですか、ごくろうさ……ま」
 愛想良あいそよこえを掛けたけど、ソコに立っていたのは。

「お・や・あ? カラテェーくんじゃん。ココで会ったが4日よっかぶり、にがさなぁいぃーわぁよーぅ、ふっしゅるるるるるるうぅ――――!!!」
 なんで、こんな通路つうろおにが出るんだ。
 あと、なんでそんなきばをむいて、うなってるんだい?
 決闘けっとうはあさってだし、相手あいてはコッチでしょ!?

 ぼくは、うしろに居た一号おにぎりを立ちあがらせ、青鬼あおおにに突きだした――
 ――くるん♪
 ぐいっ!
 ぼくの手をつかみ、からだを入れ替え、ぼくの背中せなかかくれる黄緑色きみどりいろ

「ふみゃぁーご♪」
 やい、おにぎり。
 これはあそんでるんじゃねーって。

「(ほらいけ、鬼娘オルコばんはオマエの仕事しごとだろ)」
 くるん――ぐいっ!

「ふみゃぁーごぉ♪」
 くるん――ぐいっ!
 何度なんども入れ替わって、まえにすすんだもんだから、いつのまにか――

 ――――ごきり!
 おにの二のうでが、目のまえにあった!
 普段ふだんひめさんをたしなめることがおおい、名物めいぶつ受付嬢うけつけじょうおにほう
 そのうであしは、自前じまえ金剛力こんごうりきばいに――いや、三倍さんばいふくれあがっている。
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