滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

250:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、お宝はっけん?

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宿廊すくろうる?」

 ふぉん♪
『ヒント>スクロール/紐で巻かれた書物。
     巻物、ひいては魔法やスキルを覚えられるアイテムのこと』

 かぜに吹かれてコロコロと、ひとたば足下あしもところがってきた。

「さすがは危険な穴蔵だんじよんだぜ。とんでもねぇおたからがあんなに、たくさん――しめしめうっひっひ♪」
 おれはっるいかおで、品定しなさだする。

 ぽふぉん♪
『マジック・スクロール?/
 詳細不明』

 上級鑑定じょうきゅうかんていでも見抜みぬけねぇほどの――おたからかっ!?
 つかみあげた〝宿廊すくろうる〟は日の本の巻物とは違って、ゆるく巻かれてて長さはそんなになかった。

 ココはひとまず、袋に詰められるだけ詰めておくか。
 うしろ手で、背中に突っ込――――

「いけませんっ!」
 駆け寄ってきたリオレイニアに、頭を叩かれた!
 まるでいたくねぇけど――「な、なにしやがっ……っているのでごぜぇますわぜ!?」
 仮面越かめんごしでもわかる。彼女リオはとてもおこっている。

「シガミー! コォン♪」
 ぼっぼぅわぁ――♪
 灼熱しゃくねつ溶岩ようがんながれる亀裂きれつそこ
 煮えたぎるねつが、三本道付近さんぼんみちふきんあかく染めている。
 そのなかにあっても、仄暗ほのぐらあおさをうしなわない――いのちを喰らう灯火ともしび

「ギュギ!? ギギギギギイギギッギッ――!」
 お宝まきもの狐火きつねびにあぶられ――ひもがほどけた!
「あっ――こいつ! さっきの武佐左妣ムササビじゃねーかっ!」
 ながいしっぽがひもで、ひだ羽根はねが巻いたかみにしか見えなかったぞ!?

 ぽぽきゅ――ぽきゅどごぉん♪
 二号レイダ一撃いちげきが、地を穿うがつ。
「まったく、あぶないところだったわ――ニャン♪ コレだからシガミーは――ミャ♪」
 ぐ、さっきおこられた、はらいせか。

「なんだとうっ――けどたすかった、おんにきる」
 一瞬いっしゅんムカついたけど、ソレはソレでコレはコレだ。
 たすけてもらったことにちがいはないから、れいを言っておく。
 状態異常じょうたいいじょう無効むこうスキルがあるから、刺されてもどくを喰らうことはなかったけどな。
 ヴッ――すぽん♪
 レイダが手のひらにくきゅうを押しつけ、死骸しがい収納sつうのうした。

「それにしても――昆布巻こぶまききみてぇななりしやがって!」
 寸足すんたらずの巻物まきもの……密書みっしょみてぇにもみえる。

 コイツはゴーブリンいしみたいに、ムササビいしにならないヤツで。
 やわらかいかわには、そこそこの根が付くらしい。
 けど――「コイツらに、どくはねぇはず」。

 ふぉん♪
『ヒント>カーペット・タイガー/
     四つ足。空を飛ぶ、注意が必要。
     柔らかい革が採れる』

 荷物にもつなかから〝薬草やくそう〟と〝毒草どくそう〟を取りだして、何度なんどかスキルを使つかう。
 こぽぽっ――良し完成かんせい
 出来でき小瓶こびんをフッカに手渡てわたす。

 ふぉん♪
『ヒント>スクロール・タイガー/
     四つ足。丸くなる様はレアアイテムに酷似、
     しっぽの毒にも注意が必要。
     強靱な紐が採れる』
 いまさらおせぇぞ――迅雷ジンライ

「――演算単位えんざんたンい使用しヨうしない〝類推るいすイにヨるヒント表示ひょうジ〟なノで、遅延ちえンあやマ検出けんシゅつあやまりが発生はっせいする場合ばあいがありマす――」
 いくらつよくしても所詮しょせん耳栓みみせん耳栓みみせんか。
「――わタし表示ひょウじ担当たンとうしましょウか? さラに表示ひょウじおクれマすが――」
 いや、迅雷オマエ強化服シシガニャン専念せんねんしてくれ。
 案内表示ヒントもこのままで良い。ないよりは良いし――

「にっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぃ――――!?」
 フッカさんが苦悩くのうに満ちた。相当そうとうにがいらしい。
 けど、どんなに些細ささいどくでも、のこしておくとあと厄介やっかいだ。

我慢がまんしてくれ――じゃあ、あまいのでも喰っとけ」
 テーブル一式いっしき茶道具ちゃどうぐと、茶請ちゃうけにはガムランじるしの〝おにぎり饅頭まんじゅう〟を出してやった。

「えぇー、ここで休憩キャンプ? こんなあつところで!?」
 まだ顔色かおいろわるいフッカさんが、文句もんくを言う。
 亀裂きれつのしたから、グラグラと茹だる熱気ねっき
 たしかにあつい。

 みじか魔法杖つえ一回転いっかいてんさせる、リオレイニア。
 ひゅわわわわぉぉ。
 一陣いちじんかぜあたりを冷やす。さすがは生活魔法せいかつまほうおばけだ。

「おんせいにゅうりょく――ニャ、はっちおぉーぷん――ミャ♪」
 とつぜん二号にごうあたまが、うしろにひらく。

「ま、魔物まもの――!?」
「きゃぁぁぁぁっレイダちゃん、いまたすけてあげるからねっ!?」
 まだれいの〝シシガニャンが魔物まものに見える洗礼せんれい〟を、受けていなかったエクレアとフッカが大剣けん魔法杖つえを――
 〝魔物めもの喰われてる・・・・・っていう洗礼せんれい〟は、間近まじかでみなけりゃ起こらねぇからな。

「レイダ、わたシはシばらくシシガニャンかラはナれマす。モしあツかっタらからダほウも、脱いでくだサい」
「はぁーい♪」
 入れてもらったちゃをすする子供こども
 自分じぶんつめてぇ魔法まほうをかけて、冷やしてる。
 そのさまをみた黒騎士エクレア魔術師フッカが――気づいた。

「「ひょっとして……魔物まものじゃないっ!?」」
 ふう、これで一段落ひとだんらくか。

「シガミー、オ待たせいたしマした」
「おう、それで分かれた通路つうろ先は・・、どうなってるんだ?」
 ヴユュュュヴパァァァッ――。
 飛んできた迅雷ジンライが、おれのうしろあたまに張りつくと、全部ぜんぶ表示ひょうじ一斉いっせいにあらわれては消えていく。
 必要ひつようない表示ひょうじ全部消ぜんぶきえて、もともどった。

「ん? 通路つうろの向こうが、みえねぇぞ?」
「はイ、活力マナがこモった熱気ネっきにヨって、結界けっかイのよウな空間くウかん存在そンざいしていマす」
 通路つうろを向いてかんがええをめぐらせていると――コロコロコロロロッ。
 また野衾のぶすま昆布締こぶじめめが、熱風かぜころがってきた。

面倒めんどうだな……うらっ!」
 面倒めんどうだったから蹴飛ばして、亀裂きれつほうりこむ。
 落ちる途中とちゅう熱風かぜあおられ、「ギギッギィィィッ」とえてなくなった。
 ふふふ、ざまぁみろ。

「あー、ダメダメ。だめよ、シガミーちゃん! ……もぐもぐ」
 フッカが饅頭まんじゅうをかじりながら、やってきた。
べつに良いだろう一匹いっぴき二匹にひき。あんなにいっぱい居るんだから」
「ちがうの、あのなか万が一本物の・・・・・・〝スクロール〟があったらとおもうと、魔術師まじゅつしとしてはとても――見過みすごせないのよっ!」

「フッカさん、たしかにアレだけのスクロール・タイガーが群生ぐんせいすることは滅多めったにありません。お気持きもちちはわかります、わたくし魔術師まじゅつしですから……ずずず」
 リオが紅茶こうちゃをすすりながら、やってきた。
 みんな行儀ぎょうぎわりぃな、せっっかく椅子いす人数分出にんずうぶんだしてやったのに。

「そーねー。これだけ群生ぐんせいしてるってことは、本物の・・・スクロールか、すくなくとも〝似たかたちものが、このダンジョンにはある〟って証拠しょうこだものねー……コッチのしょっぱいのは飽きませんわね……もぐもぐ」
 黄緑色おにぎりいろ饅頭ほうが、気に入ったみたいだな。
 そして、やっぱり行儀ぎょうぎがわるい。

「――でスがサきイそがナいと、クエスト期限きゲんに間ニあいマせん。ガムランちょウへノ移動いドうに1日半にちはんかかるノで、今日明日中きょウあすちゅうにハ火龍かりゅウヲ見つケてたオさなけレば――」
「んにゅーっ!」
 地団駄じたんだを踏み、うなるフッカ。

「その〝マジっく宿廊すくろうる〟てぇのは――そんなに貴重きちょうなのか?」
 魔術師まじゅつし使つかうもんだ。そこそこの価値かちが、あるんだとはおもうが。

わたくしが見たのは、たった一度いちどだけですわよ」
 相当そうとう金持かねもちのひめさんが、いままでに見たのが一度いちどだけ。

「そうですね、わたくしも〝魔王まおう居城きょじょうでみた〟一度いちどきりです」
 こころなしかあおざめている気がする、リオの言葉ことば
「わたしもです」
 ソレにつづくエクレアの顔色かおまで、あおざめてる……気がする。

 どうも、〝聖剣切りの閃光ヴォルトカッター〟パーティーが、魔王まおう根城ねじろに押しこんだときに見たってことらしいが。

「わたしわぁー、ないよー!」
 と子供レイダ
「わたしも、見たことはありません」
 と魔術師フッカ

「そんなスゴイおたからなら、無下むげにもできねぇなぁ」
 おれぁ猪蟹屋ししがにや店主てんしゅだから、責任せきにんがある。
 ふえた店員てんいんたち――ルコル少年しょうねんやニゲル青年せいねんや、ネコアタマ青年せいねん生活せいかつ
 もちろんレイダやリオだけじゃなくて、おれ自身じしん生活せいかつも――出来できることなら良くしたい。

「シガミー、〝難燃剤なンねんざい〟ヲ開発かイはつしてくだサい」
 ふぉん♪
『>いまが猪蟹屋の、かき入れどきと判断しました。
  大急ぎでお願いします』
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