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3:ダンジョンクローラーになろう
280:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、コンセプトシシガニャン
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「聞けば聞くほど、邪気を払う仙果だな」
おれは揺られている。
「センカってなぁに?」
レイダも揺られている。
「桃だ。甘くてみずみずしい――うぶ毛が生えた、木の実だな」
大事に抱えられ、掘りあがるそばから階段を登っていく。
「うぶ毛が生えた――気持ち悪いですわね?」
リカルルも揺られている。
「えー、桃にうぶ毛なんて生えてたっけ?」
ニゲルも揺ら。
「ウムゥ? ワレも一度しか食べたことがナイので、良くは覚えておらぬが……とても甘かったのだけは、覚えている」
ゲールも。
「そのお話ぃー、とってもきょうみがぁ、ありまぁぁぁぁす!」
五百乃大角はゲールに抱えられ、浮かぶ球を飛ばしてる。
「桃ってなんだかわかりますか? 木の実みたいですけど……」
「いいえ、ヒーノモトー国生まれと一緒に行動する以上――」
「――わからない事があっても、まずはなりゆき任せで……ハハハ」
フッカ、リオレイニア、エクレア。
「イオノファラー、15メートルに達しマした」
おれたちは奇抜な色の強化服に、運ばれている。
「いま、良ーぃ所なのにっ! じゃーぁ、ここにひとフロア分の空間を作るから――迅雷やっちゃって!」
きゅぽぉぉん――♪
一斉に跳ねる強化服。
ヴッ――――――――――すぽぼん♪
上へ向かって掘すすんできた階段の突きあたりが、急にぽっかりとひらけた。
「うわーぁ、ひろーい!」
「ひろいな」「ひろいですわね」
ぽきゅぽきゅと、だだっ広いフロアに躍りでる。
シシガニャン共の耳には神力の明かりが灯り、すこし先なら見わたせた。
「よっと、自分の足で歩いちゃいけねぇーのか?」
おれは――奇抜な色のシシガニャンから飛びおりた。
「階層間ノシールド時に、瞬間的ナ無接地状態ガ必要なノで――同期しタ強化服――」
今日は他の連中もいる。長ぇのは無しだ。
「さっぱりわからん――が階段だけ、この派手なのに乗ってりゃ良いんだな?」
五百乃大角と迅雷とゲールが全部やってくれるから、世話がなくて良いが。
「はイ。正確にハ、〝特定作業用突撃用強化服:特撃型シシガニャン〟です。まだ着ることは出来ませんが、〝おもち〟同様、可視光で操れます)」 」
「特装型のそうわねぇー、通称コンセプトシシガニャンよ――ライトオン♪」
だから長ぇのはやめ――――カカカカッ!!
「「「「「「まっぶしっ!」」」」」――くちゅん♪」
突然の陽光。
この白い光は――新ギルド屋舎の地下で、初めて〝おもち〟を見せられたときの。
そしてこの部屋は、あの部屋の何倍あるか、見当もつかねぇ。
「「「うわっ! ひろい!」」」
「端がドコまであるのか、見えないですわっ!」
「高さも、ソコソコありますねぇー」
「おい、こんな広くしちまって……逆に使い勝手が悪いんじゃ?」
「なに言ってるの? これからどんどん人が来るし――ルリーロちゃんの話じゃ……町になるって」
「町!?」
口に手を当て、驚く姫さん。
「こんなに不便な所に住もうとは思わないんじゃないでしょうか?」
とリオ。
「そーですねー。修行のためにひと月……いえ三か月ほどなら滞在したいですけど!」
と、フッカ。
そりゃそーだ。修行てぇのは、その術を得るためにするモノで。
決して、それ自体が目的ではない。
修行のために生きるなんざ、まるで坊主だ。
「そおんなこっとっよっり! 大事なことがアルでしょぉ?」
〝派手なニャン〟に抱えられたままのゲールに、うやうやしく持たれた、美の女神が叫んだ!
ぽきゅぽきゅぽきゅ、〝派手なニャン〟を右往左往させる御神体♪
「それで? お味わぁ、色わぁ? その木には何個くらいなってたの?」
ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅむん♪
「ヌゥ、何百年も前のコトで、良く覚えておらぬ――――」
「おちついてっ! イオノファラーさま!」
あっちはレイダにでも、任せとこう。
しかし、見れば見るほど慄くぜ。
この色ぁ――いったいどうした?
おれたちを下ろしたまま、一列に並んで動かない。
シシガニャン……三号から十号まで。
脳天から幹竹割りにして、左右で色ちがい。
かと思いきや上から下まで不揃いに、輪切りにしたみたいだったり。
波や丸や、猫や人形。
共用語がビッシリと書かれたヤツも居て――「つの、うさぎ?」
この世界の読み書きを練習中のニゲルが、〝言葉の手助けをする耳栓〟を触りながら、書かれた文字を読みはじめた。
「コイツらは、いつ着られるようになるんだ?」
「私が入レば、スグにデも着らレますが――」
じゃあ、二号と同じか?
レイダに貸してた薄桜色のは、迅雷に仕舞った。
「――いいエ、まだ人が着るための内装が済んでいませんので」
それは、いつ出来るんだ?
「ガムラン町ヤ央都で仕入れなけれバならない素材ヲ、入手後なラいつでも」
じゃあ今のところは、おもちみたいにだけ使えるってワケだな。
「ハい、でスが使い捨テではありませんので、気をつけてくだサい」
わかった。ならその辺の素材を集めがてら、例の酢蛸がわりになる〝廃棄された女神像〟の情報を聞いて回るか。
このクエストを無事終えて、「壊る」危険を回避してからになるけど。
ぽきゅ――ん?
ぽぽきゅきゅ――――んん?
ぽっきゅ、ぽっきゅ、ぽぽきゅきゅ――――んんん?
一列に並んでた端の〝輪切りニャン〟が――五百乃大角が操る〝幹竹割りニャン〟へ近寄っていく。
その足取りは右往左往してて、とりとめがない。
何ごとかと見ていたら、〝輪切り〟の背中に引かれるように。
〝波〟まで右往左往し始めた。
「――オートクルーズ機能ヲ、オンにしたまマでした――」
わからん。
「――先頭の特撃型を、正確ニ追従しマす――」
さっき階段を上がってきたときの、統率された動きか。
「ひとまず、止めてやれ」
「ガムラン……町、魔物……境界……線?」
ニゲルまで、右往左往しちまってる。
§
「魔物が近寄らない木ねぇ――けどゲールは、その実を食べたんでしょぉ?」
おっかしっくなぁいぃー?
ぽきゅぽきゅ――♪
五百乃大角の素っ頓狂な声が聞こえてくる――傍から聞いてると、正直ムカつくな。
「その時のワレは幼体で、マワリに強い魔物は居なかった」
「弱い魔物しか、近寄れないってコト?」
「そうだ、レイダ」
ぽきゅぽきゅ――――♪
「けど、そんなにおいしいならずっとソコに居れば、良かったんじゃ無いの?」
「そうわねぇー。なかなか良い所に気がつくじゃないのよ、おチビちゃん♪」
そうだな、安全な狩り場を出て強い魔物に追われる必要はない。
ぽきゅぽきゅ――――――♪
「その木には意思があり、〝ひとり三個〟までという取り決めを守っていたのだ」
「「ひとり三個まで?」」
話が、おかしくなってきたぞ?
ぽきゅぽきゅ――――――――♪
「ふーん。じゃあ、いまいる全員で行けばぁ――123、456……27個!? ウフフフ、ウケケケケッ♪」
ふぉん♪
『イオノ>けっこう食べがいが、あるわね』
全部オマエの物にはならんからな?
ぽきゅぽきゅ――――――――――♪
それから2時間くらい掛かって、おれたちは地上へ出た。
おれは揺られている。
「センカってなぁに?」
レイダも揺られている。
「桃だ。甘くてみずみずしい――うぶ毛が生えた、木の実だな」
大事に抱えられ、掘りあがるそばから階段を登っていく。
「うぶ毛が生えた――気持ち悪いですわね?」
リカルルも揺られている。
「えー、桃にうぶ毛なんて生えてたっけ?」
ニゲルも揺ら。
「ウムゥ? ワレも一度しか食べたことがナイので、良くは覚えておらぬが……とても甘かったのだけは、覚えている」
ゲールも。
「そのお話ぃー、とってもきょうみがぁ、ありまぁぁぁぁす!」
五百乃大角はゲールに抱えられ、浮かぶ球を飛ばしてる。
「桃ってなんだかわかりますか? 木の実みたいですけど……」
「いいえ、ヒーノモトー国生まれと一緒に行動する以上――」
「――わからない事があっても、まずはなりゆき任せで……ハハハ」
フッカ、リオレイニア、エクレア。
「イオノファラー、15メートルに達しマした」
おれたちは奇抜な色の強化服に、運ばれている。
「いま、良ーぃ所なのにっ! じゃーぁ、ここにひとフロア分の空間を作るから――迅雷やっちゃって!」
きゅぽぉぉん――♪
一斉に跳ねる強化服。
ヴッ――――――――――すぽぼん♪
上へ向かって掘すすんできた階段の突きあたりが、急にぽっかりとひらけた。
「うわーぁ、ひろーい!」
「ひろいな」「ひろいですわね」
ぽきゅぽきゅと、だだっ広いフロアに躍りでる。
シシガニャン共の耳には神力の明かりが灯り、すこし先なら見わたせた。
「よっと、自分の足で歩いちゃいけねぇーのか?」
おれは――奇抜な色のシシガニャンから飛びおりた。
「階層間ノシールド時に、瞬間的ナ無接地状態ガ必要なノで――同期しタ強化服――」
今日は他の連中もいる。長ぇのは無しだ。
「さっぱりわからん――が階段だけ、この派手なのに乗ってりゃ良いんだな?」
五百乃大角と迅雷とゲールが全部やってくれるから、世話がなくて良いが。
「はイ。正確にハ、〝特定作業用突撃用強化服:特撃型シシガニャン〟です。まだ着ることは出来ませんが、〝おもち〟同様、可視光で操れます)」 」
「特装型のそうわねぇー、通称コンセプトシシガニャンよ――ライトオン♪」
だから長ぇのはやめ――――カカカカッ!!
「「「「「「まっぶしっ!」」」」」――くちゅん♪」
突然の陽光。
この白い光は――新ギルド屋舎の地下で、初めて〝おもち〟を見せられたときの。
そしてこの部屋は、あの部屋の何倍あるか、見当もつかねぇ。
「「「うわっ! ひろい!」」」
「端がドコまであるのか、見えないですわっ!」
「高さも、ソコソコありますねぇー」
「おい、こんな広くしちまって……逆に使い勝手が悪いんじゃ?」
「なに言ってるの? これからどんどん人が来るし――ルリーロちゃんの話じゃ……町になるって」
「町!?」
口に手を当て、驚く姫さん。
「こんなに不便な所に住もうとは思わないんじゃないでしょうか?」
とリオ。
「そーですねー。修行のためにひと月……いえ三か月ほどなら滞在したいですけど!」
と、フッカ。
そりゃそーだ。修行てぇのは、その術を得るためにするモノで。
決して、それ自体が目的ではない。
修行のために生きるなんざ、まるで坊主だ。
「そおんなこっとっよっり! 大事なことがアルでしょぉ?」
〝派手なニャン〟に抱えられたままのゲールに、うやうやしく持たれた、美の女神が叫んだ!
ぽきゅぽきゅぽきゅ、〝派手なニャン〟を右往左往させる御神体♪
「それで? お味わぁ、色わぁ? その木には何個くらいなってたの?」
ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅむん♪
「ヌゥ、何百年も前のコトで、良く覚えておらぬ――――」
「おちついてっ! イオノファラーさま!」
あっちはレイダにでも、任せとこう。
しかし、見れば見るほど慄くぜ。
この色ぁ――いったいどうした?
おれたちを下ろしたまま、一列に並んで動かない。
シシガニャン……三号から十号まで。
脳天から幹竹割りにして、左右で色ちがい。
かと思いきや上から下まで不揃いに、輪切りにしたみたいだったり。
波や丸や、猫や人形。
共用語がビッシリと書かれたヤツも居て――「つの、うさぎ?」
この世界の読み書きを練習中のニゲルが、〝言葉の手助けをする耳栓〟を触りながら、書かれた文字を読みはじめた。
「コイツらは、いつ着られるようになるんだ?」
「私が入レば、スグにデも着らレますが――」
じゃあ、二号と同じか?
レイダに貸してた薄桜色のは、迅雷に仕舞った。
「――いいエ、まだ人が着るための内装が済んでいませんので」
それは、いつ出来るんだ?
「ガムラン町ヤ央都で仕入れなけれバならない素材ヲ、入手後なラいつでも」
じゃあ今のところは、おもちみたいにだけ使えるってワケだな。
「ハい、でスが使い捨テではありませんので、気をつけてくだサい」
わかった。ならその辺の素材を集めがてら、例の酢蛸がわりになる〝廃棄された女神像〟の情報を聞いて回るか。
このクエストを無事終えて、「壊る」危険を回避してからになるけど。
ぽきゅ――ん?
ぽぽきゅきゅ――――んん?
ぽっきゅ、ぽっきゅ、ぽぽきゅきゅ――――んんん?
一列に並んでた端の〝輪切りニャン〟が――五百乃大角が操る〝幹竹割りニャン〟へ近寄っていく。
その足取りは右往左往してて、とりとめがない。
何ごとかと見ていたら、〝輪切り〟の背中に引かれるように。
〝波〟まで右往左往し始めた。
「――オートクルーズ機能ヲ、オンにしたまマでした――」
わからん。
「――先頭の特撃型を、正確ニ追従しマす――」
さっき階段を上がってきたときの、統率された動きか。
「ひとまず、止めてやれ」
「ガムラン……町、魔物……境界……線?」
ニゲルまで、右往左往しちまってる。
§
「魔物が近寄らない木ねぇ――けどゲールは、その実を食べたんでしょぉ?」
おっかしっくなぁいぃー?
ぽきゅぽきゅ――♪
五百乃大角の素っ頓狂な声が聞こえてくる――傍から聞いてると、正直ムカつくな。
「その時のワレは幼体で、マワリに強い魔物は居なかった」
「弱い魔物しか、近寄れないってコト?」
「そうだ、レイダ」
ぽきゅぽきゅ――――♪
「けど、そんなにおいしいならずっとソコに居れば、良かったんじゃ無いの?」
「そうわねぇー。なかなか良い所に気がつくじゃないのよ、おチビちゃん♪」
そうだな、安全な狩り場を出て強い魔物に追われる必要はない。
ぽきゅぽきゅ――――――♪
「その木には意思があり、〝ひとり三個〟までという取り決めを守っていたのだ」
「「ひとり三個まで?」」
話が、おかしくなってきたぞ?
ぽきゅぽきゅ――――――――♪
「ふーん。じゃあ、いまいる全員で行けばぁ――123、456……27個!? ウフフフ、ウケケケケッ♪」
ふぉん♪
『イオノ>けっこう食べがいが、あるわね』
全部オマエの物にはならんからな?
ぽきゅぽきゅ――――――――――♪
それから2時間くらい掛かって、おれたちは地上へ出た。
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