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3:ダンジョンクローラーになろう
305:仙果到達ルートC、狐火の神髄
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「――えっとねー、リオレイニアさんの火炎魔法みたいにおっきくすれば良いんじゃないの?――」
「――フム、一理ある。物を焼くのには、ふたつの方法が有ってだな――」
「――そノ方法ヲくわしク?――」
「――ひとつはレイダの言った、火弾を直に当てる方法だ――」
「――リカルルさまの炎は大きくなったけど、すこしも熱くないよ……むしろ寒いくらい?――」
「――もうひトつの方法ヲ、くわシく?――」
「――ウム、もうひとつは体内の火炎袋に息を溜めこみ、ソレを細く長くズーッといつまでも吐きつづける方法だ――」
「――リカルルさまに、火炎袋なんてないでしょ! ……シッポはあるけど――」
「――細く長く、いつまでも吐きつづける……しっぽ?――」
「――リカルル、我々ニ提案がアります――」
「ココォォォンッ――――なぁーにぃぃぃぃー? あのぉヒョーロクダマを焼き尽くせるなら私、悪魔にだって魂を売りわたしますわぁぁぁぁっ――――!」
ふぉん♪
『>というのが、ウィルオウィスプ・レーザー開発の顛末です』
「表六玉だとぉう? ルリーロ……奥方さまから言葉が伝わってやがるのか?」
どっちにしろ、とても伯爵夫人や、ご令嬢が使うような言葉じゃねぇが。
「悪魔……魔物とは別にそういう概念もぉ、存在しぃてぇるぅのぉよぉねぇーん。作りが甘いというか……現代日本がベースなんだかぁらぁ、当然とぉーいうかぁ」
おれは、映し身の中に浮かぶ球と、顔を見合わせた。
ふぉん♪
『>元から狐火や人魂と呼ばれる場には、反転分布が見られました。
なので誘導放出過程により増幅される光量に、上限はありません。
具体的には、尻尾にて操る炎の揺らめきによりキャビティを形成。
リカルルのリズム感を担保とし――』
はいわからん、わからんぞ。
いま聞かされた話は、レイダとゲールと迅雷の相談と。
ソレを聞かされた、リカルルの返事だ。
いまの話じゃねぇ。
いまは――――顎が地面に付きそうなほど、低く伏せた構え。
「ニィゲェルゥゥゥゥッ――――コォン、コォン、コォン、コォン!」
狐面から連なる小さな――連続の狐火。
人魂みたいに、高く立ち上るヤツじゃなくて――
ぼぼっぼぼっぼぼっぼぼごごぉぉうっ――――♪
「うわっ、ソレ――喰らったら僕、死んじゃうヤツじゃんかっ!」
つらなる蒼炎を見るなり、姿を消す青年。
ヴヴォヴォヴォ――――♪
画面の外に一瞬で飛び出したニゲルを追って――画面の厚みが倍くらいになった。
「うぉわたたたたっ――!」
ぽきゅぽきゅん♪
あわてて画面をよける、おれと二号。
チチュィィィン――――――――ぼごぉんっ!
小さな尻尾ごと尻を左右にふりつづける、赤狐。
その面が――獲物を捕らえて離さない。
――ィィンッ――ィィンッ――ィィィンッ――ィィィィンッ!
赤く焼けた灼熱の――
狐火の神髄とでも言うべき――
大筒の導火線が――
壁を走る青年をとらえた!
おれぁ、あのまっすぐ伸びる導火線に――心当たりが有る。
見覚えはない、なんせ殺気は目に見えない。
ヴォヴヴォヴヴォォォォォォォゥン――――!
神速の剣がふたたび、振り回される。
リカルルが押してる。
引き分けどころじゃなくね?
それでも青年が下がることはなく、離れた間合いは絶えず詰められていく。
「それわぁー、そうよねぇー♪ ニゲル君のぉー〝勇者の歩み〟スキルわぁー、逃げるためにわぁ、一切使えないからわねぇーん♪」
ニゲルの神速は――逃げるためには、使えねぇらしぃ。
仄暗い炎が寄せ集められ、地に突きたてられる。
突きたてられた光の筋は、灼熱の導火線となり――
ぼっごがぁぁぁぁぁぁぁあっぁあぁんっ!!!
ニゲル青年を、木っ端微塵に吹き飛ばす。
「あぁ、おい。本当に死んじゃいねぇだろうな?」
蘇生薬だって体がなきゃ意味がねぇし、一息つけなきゃ効果も出ねぇ――
「だ、大丈夫なのですらぁん!」
そう言って自分の胸元を確かめる――第一王女ラプトル姫。
脈打つように、静かな光を放つ首飾り。
さっきまでは光なんぞ、出してなかったが。
ふぉん♪
『>推測ですが、あの光はニゲルの生存確認に使えるようです』
生存確認だぁ?
さっきまで光ってなかったってことは――
いまが正にやべぇってのを――あらわしてるんじゃね?
「はふぁー、なっかなかにぃー白熱したわねぇん? じゃあ、あたくしさまはそろそろ行くからぁん――あとよろしくねん、リオレーニャちゃんに、シガミー?」
ひらりと手を振り、スルスルと。
仁王立ちになった五百乃大角が、丘を巨木の方へ上っていく。
「いざとなったら、リオレーニャが割って入ってくれるたぁ思うが――」
あの魔法の盾は、迅雷あっての物種だ。
「迅雷、いちおうリオに……リオレーニャに、ついててヤッてくれ」
ふぉん♪
『>了解しました』
ヴォウゥ――ン。
五百乃大角が離れたからか、画面が厚みをなくしていく。
一枚板になっちまったが――
四つ足女と壁男の動向はわかる。
ギギィィィッ――♪
なんだ、この軋む音?
みれば第一王女が、召喚の塔とやらの扉を開けている。
ふぉん♪
『>シガミー、ラプトル王女殿下のあとを追ってください』
たしかに、ほっとけねぇやな。
屋根とか崩れてて危ねぇ。
ーーー
表六玉/「間抜け」と罵倒する言葉。危険に際し手足を引っ込めない亀になぞらえた表現。
「――フム、一理ある。物を焼くのには、ふたつの方法が有ってだな――」
「――そノ方法ヲくわしク?――」
「――ひとつはレイダの言った、火弾を直に当てる方法だ――」
「――リカルルさまの炎は大きくなったけど、すこしも熱くないよ……むしろ寒いくらい?――」
「――もうひトつの方法ヲ、くわシく?――」
「――ウム、もうひとつは体内の火炎袋に息を溜めこみ、ソレを細く長くズーッといつまでも吐きつづける方法だ――」
「――リカルルさまに、火炎袋なんてないでしょ! ……シッポはあるけど――」
「――細く長く、いつまでも吐きつづける……しっぽ?――」
「――リカルル、我々ニ提案がアります――」
「ココォォォンッ――――なぁーにぃぃぃぃー? あのぉヒョーロクダマを焼き尽くせるなら私、悪魔にだって魂を売りわたしますわぁぁぁぁっ――――!」
ふぉん♪
『>というのが、ウィルオウィスプ・レーザー開発の顛末です』
「表六玉だとぉう? ルリーロ……奥方さまから言葉が伝わってやがるのか?」
どっちにしろ、とても伯爵夫人や、ご令嬢が使うような言葉じゃねぇが。
「悪魔……魔物とは別にそういう概念もぉ、存在しぃてぇるぅのぉよぉねぇーん。作りが甘いというか……現代日本がベースなんだかぁらぁ、当然とぉーいうかぁ」
おれは、映し身の中に浮かぶ球と、顔を見合わせた。
ふぉん♪
『>元から狐火や人魂と呼ばれる場には、反転分布が見られました。
なので誘導放出過程により増幅される光量に、上限はありません。
具体的には、尻尾にて操る炎の揺らめきによりキャビティを形成。
リカルルのリズム感を担保とし――』
はいわからん、わからんぞ。
いま聞かされた話は、レイダとゲールと迅雷の相談と。
ソレを聞かされた、リカルルの返事だ。
いまの話じゃねぇ。
いまは――――顎が地面に付きそうなほど、低く伏せた構え。
「ニィゲェルゥゥゥゥッ――――コォン、コォン、コォン、コォン!」
狐面から連なる小さな――連続の狐火。
人魂みたいに、高く立ち上るヤツじゃなくて――
ぼぼっぼぼっぼぼっぼぼごごぉぉうっ――――♪
「うわっ、ソレ――喰らったら僕、死んじゃうヤツじゃんかっ!」
つらなる蒼炎を見るなり、姿を消す青年。
ヴヴォヴォヴォ――――♪
画面の外に一瞬で飛び出したニゲルを追って――画面の厚みが倍くらいになった。
「うぉわたたたたっ――!」
ぽきゅぽきゅん♪
あわてて画面をよける、おれと二号。
チチュィィィン――――――――ぼごぉんっ!
小さな尻尾ごと尻を左右にふりつづける、赤狐。
その面が――獲物を捕らえて離さない。
――ィィンッ――ィィンッ――ィィィンッ――ィィィィンッ!
赤く焼けた灼熱の――
狐火の神髄とでも言うべき――
大筒の導火線が――
壁を走る青年をとらえた!
おれぁ、あのまっすぐ伸びる導火線に――心当たりが有る。
見覚えはない、なんせ殺気は目に見えない。
ヴォヴヴォヴヴォォォォォォォゥン――――!
神速の剣がふたたび、振り回される。
リカルルが押してる。
引き分けどころじゃなくね?
それでも青年が下がることはなく、離れた間合いは絶えず詰められていく。
「それわぁー、そうよねぇー♪ ニゲル君のぉー〝勇者の歩み〟スキルわぁー、逃げるためにわぁ、一切使えないからわねぇーん♪」
ニゲルの神速は――逃げるためには、使えねぇらしぃ。
仄暗い炎が寄せ集められ、地に突きたてられる。
突きたてられた光の筋は、灼熱の導火線となり――
ぼっごがぁぁぁぁぁぁぁあっぁあぁんっ!!!
ニゲル青年を、木っ端微塵に吹き飛ばす。
「あぁ、おい。本当に死んじゃいねぇだろうな?」
蘇生薬だって体がなきゃ意味がねぇし、一息つけなきゃ効果も出ねぇ――
「だ、大丈夫なのですらぁん!」
そう言って自分の胸元を確かめる――第一王女ラプトル姫。
脈打つように、静かな光を放つ首飾り。
さっきまでは光なんぞ、出してなかったが。
ふぉん♪
『>推測ですが、あの光はニゲルの生存確認に使えるようです』
生存確認だぁ?
さっきまで光ってなかったってことは――
いまが正にやべぇってのを――あらわしてるんじゃね?
「はふぁー、なっかなかにぃー白熱したわねぇん? じゃあ、あたくしさまはそろそろ行くからぁん――あとよろしくねん、リオレーニャちゃんに、シガミー?」
ひらりと手を振り、スルスルと。
仁王立ちになった五百乃大角が、丘を巨木の方へ上っていく。
「いざとなったら、リオレーニャが割って入ってくれるたぁ思うが――」
あの魔法の盾は、迅雷あっての物種だ。
「迅雷、いちおうリオに……リオレーニャに、ついててヤッてくれ」
ふぉん♪
『>了解しました』
ヴォウゥ――ン。
五百乃大角が離れたからか、画面が厚みをなくしていく。
一枚板になっちまったが――
四つ足女と壁男の動向はわかる。
ギギィィィッ――♪
なんだ、この軋む音?
みれば第一王女が、召喚の塔とやらの扉を開けている。
ふぉん♪
『>シガミー、ラプトル王女殿下のあとを追ってください』
たしかに、ほっとけねぇやな。
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