滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

３：ダンジョンクローラーになろう

３８３：龍脈の回廊、惑星ヒース壊滅

　ッチッ――――――ドッゴガガッガァァァァァァァァァァァァァ――――――――ンッ!!!!
　ニゲルの体からだが、とんでもない勢いきおいで――天高てんたかく舞いあがった！

「お、乗ったぞ・（文言めっせよが）――ニャ！・」
　見あげてたら――――ひゅるるるるっ、スコン！
　ニゲルの剣けんが落ちてきて、地面じめんに突き刺――

　ビキビキビキィッ、パキャァァン！
　落ちてきた剣けんが、切っ先さきから柄つかまで――
　パキリと割れた。

「カカカカカカカカッ――――ざマー見ろぃ・――ニャァ！・」
　見事みごとに、真っぷたつにしてやったぜ！

　バッガァァン、ゴゴッガァァァンッ――――!!
　放はなたれていた眩まばゆい光ひかりが消え、たちどころに鉄てつの塊かたまりみたいな〝錆び・・〟で覆おおわれた。
　ニゲルの手を離はなれた二本の剣・・・・が、その重おもさで地中ちちゅうに潜もぐりこむ！
　舞いあがる土砂どしゃ。

　野郎ニゲルの強つよさの神髄しんずいは六割方ろくわりがた、あの剣だ・・・・ってのは――
　斬り結むすんだときに、鎧板はだでわかった。
　なら残のこりの四割よんわり、きちりと熨斗のしをつけて――斬り捨ててやらんとなぁ！

　スゥゥゥゥゥゥッ――ガチン、ジャッリィィィィィイン♪
　納刀のうとうし――――ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン――――ゴドッガァァァァンッ!!
　残りがニゲル落ちてくるまで、すこし待たねぇとならねぇから。
　景気けいきよく大地だいちを錫杖しゃくじょうで、打ちつけてやった！

　――ごおん。
　何なにか鳴ったか？

　ビキッ――!!!
　んう？
　打った地面じめんが、ひび割れる。

　バキバキバキバキィィィィィッ――――!!!
　なんでか、どこまでも地割じわれが広ひろがっていく！

　ぐわらららっ。全すべてが地鳴じなりで、埋め尽くされた。
「ああああああああああああああああぁ・――――――――ニャァ!?・」
　近ちかくを通とおる街道かいどうが一斉いっせいに吹っ飛び、土砂どしゃを巻きあげた！

　それは例たとえるまでもなく、大地ほしの胎動たいどうだった。
　いつか神域惑星どこだかに活かつを入れたときの、何倍なんばいだろうかなぁ。

　仰天動地ぎょうてんどうちの国作くにづくり。
　天地あめつちがふたたび、分たれる。
　この世を、もういちど分けよう・・・・ってんなら――
　いまある天地せかいは、当然とうぜん、壊こわれちまうに決まってる！

「やべぇ、何なにかやっちまったか。――ニャァ？・」
　ふぉふぉふぉふぉぉぉぉおん♪
『ＷＩＮＮＥＲ／レイド村杯タイトルマッチ獲得！』
　わからぁーん！

　死ぬ、死んじまう！
　万まんが一いちにも、これが〝壊劫えこう〟――
　この世が破壊はかいつくされる、終わりのときを迎むかえたってんなら――

　ここしばらく飯めしを食わせてやらなかったから、あの大飯ぐらいが・・・・・・・・――
　癇癪かんしゃくを起こして、こんな風ふうに天地あめつちを――
　現世うつつを――終わりにしちまったんじゃぁねぇのかぁぁぁぁぁぁっ!?

　そういやぁ誰だれかに「飯めしを作つくってやる」って、約束やくそくをした気がしねぇでもねぇ。

　そのとき、ふぉふぉん♪
『◂◂◂ピピピッ♪』
『ヒント＞動体検知、敵性２０％なおも上昇中』

　――――きらぁん♪
　ヒュルヒュルと村むらの方ほうから、何なにかが飛んで来やがった。
　なんだこの、忙いそしいときによぉう？

　ふぉふぉん♪
『▼▼▼ピピピッ♪』
　そろそろニゲルが落ちてくる。
『◇ポッ』――気の速はええ升目ますめが空中ちゅうから現あらわれて、上うえへ素っ飛んでいく。
　落ちてきたなら、斬らねばならぬぅ。

「シガミー、受ケ取って下サい！・」
　鉄鍋てつなべをひっかいたような、落ち着いた声こえ。

　白銀はくぎんに光ひかる棒ぼう――キュキュ、チィィィィィ――独鈷杵どっこしょか？

　そういやぁ、さっきまで見てた夢ゆめの中なかで――
　そんな物もんを、つかんでいたような？

　何なんだったか――ああああああああああああああ。
　ぐわらわらららららぁ――ドギャガタ、ドギャタガタ！
　考かんえてる場合ばあいじゃなかった！
　この鉄鎧てつよろいの体からだは重おもい。地割じわれに呑まれて死ぬぞ。

　棒ぼうが、何かを投げた。
　それは『▼▼▼ピピピッ♪』

　ふぉん♪
『ヒント＞動体検知、敵性０％』
　赤あかくねぇ、黄緑色きみどりいろの文字もじ。
　この色いろは、安心あんしんで安全あんぜんな証拠しょうこだ。

　地割じわれに呑み込まれながら、腕うでを伸ばした。
　その小ちいせぇ何なにかは手甲てっこうにあたり、ぐしゃりと潰つぶれ――

　この日、惑星わくせいヒースは壊滅かいめつした。

　　　§

「ひ、ひゃぁぁぁぁっ――――い、今いますぐ帰かえりましょう！　こ、この揺れ、し、死んじゃう！」
　メイド・タターは大おおきな子馬こうまに、引きずられていた。

「そ、そうですわね。こ、この場に留とどまれば、ほ、本当ほんとうに死んでしまいます。で、ですが、も、戻もどることは出来できませんわ、う、うふふ？・」
　子馬こうまの背にしがみ付く、星神こども。

　洪水こうずいのように、流れていく大地・・・・・・・。
「も、もどれなぁいぃぃぃいっ!?」
　子馬こうまを駆る暴走少女レイダ（２回目かいめ）の顔かおは、青あおざめていた。

「な、なぜなら、い、一般いっぱんの女神像めがみぞうには、て、転移機能てんいきのうが付いていないからです。お、央都おうととガムラン町ちょうの女神像めがみぞうが、い、異常いじょうにに高性能こうせいのうなのですわ♪・」
　子馬こうまの背にしがみ付く、星神こども。

　どごぉん――鋭い揺れ！
　察知さっちした子馬こうまが、倒木とうぼくを蹴り――大ジャンプぽっきゅぽん！
　その弾はずみで新米しんまいメイド・タターを、子馬こうまの尻尾しっぽに縛しばり付けていたカフスが――ピィンと抜けた♪

「――――――!?」
　声こえにならない声こえをあげ、新米しんまいメイドが落ちていく。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
　喚わめく暴走少女レイダ。

　ズバァッ――落ちていくメイドを、黒くろい影かげがさらう。
　颯爽さっそうと少女しょうじょタターを抱かかえた、黒装束くろしょうぞく。
　スタタタタァァン――――ストトォォンッ！

「遅おソくなりまシて、申もウシ訳わケありマせん。オ怪我けガハ御座ごザいませンか？・」
　子馬こうまに併走へいそうする声こえは、どこか金属質きんぞくしつで。
　声こえを発はっした青年かれは――白目しろめをむいていた。

「――「きゃぁぁぁああぁぁぁあぁあっ――――!!」」
　悲鳴ひめいは、気絶きぜつした青年ニゲルの耳元から・・・・も、重かさなって聞こえてきた。
　ひとつは、ネネルド村出身むらしゅっしんのタターの悲鳴ひめい。
　もうひとつは「――タターさぁん、なんですかその羨うらやましい！　今いますぐ変わってくださぁいらぁぁん！」という――
　ラプトル王女殿下おうじょでんかの、心こころからの嫉ねたみであった。

「緊急時きンきゅうじニ付キ、ニゲルノ身体しんタいヲ徴用ちょウようしまシた・」
　彼かれの口くちは動うごかず、頭あたまのうしろから聞こえてくる。

「「ひょっとして、迅雷ジンライ!?」」
　まるで、わき出る温泉おんせんがごとく、波打つ大地・・・・・。
　木の葉のように、流ながれていくのは大木たいぼくや大岩おおいわ。
　その足場を、ぽっきゅぽっきゅぽぽっきゅむ♪
　子馬こうま、天ぷら号テンプーラゴウが跳ねていく。

「はイ。シガミーへノ届とドケ物もノは済みましたノで、レイド村むラへ避難ひなンしマしょう・」
　シュタタァァーンと、追従ついじゅうする青年ジンライ。

「「「ひ、避難ひなんー？」」」
　子供レイダと星神カヤノヒメとメイドタターが、周囲しゅういを見渡みわたすが――
　あたりは大地だいちが噴出ふんしゅつする、有り様さまで。

「星ほシが天変地異てんぺンちいニ見舞みまわれた際さいに、設置せっチさレた地盤じばンごト結界けっかイで守マもル機能きのウガ女神像めがみゾうにはアりますので、町むラヤ村むラハ安全あんゼなはずでデす。転移魔方陣てんいマほうじんナど一部いチぶノ機能きノうが制限せイげんされまスが・」
　白目しろめをむいた彼ニゲルの、流暢りゅうちょうな金属声きんぞくごえ。
　ここに鳥とりの仮面かめんの彼女かのじょが、居合いあわせたならば――
　きっと体からだをくの字に曲げ、湧く大地だいちへ突っ伏し――
　その体からだを、流ながされていたことだろう。
　だが、転移陣てんいじんが使つかえない今いま、彼女リオレイニアはガムラン町ちょうに取り残のこされている。

「そ、そうですか。そ、それでは、そ、そのように――」
　鞍くらもない子馬こうまに、しがみ付くカヤノヒメ。
　その身体能力しんたいのうりょくの高たかさは――シガミーの肉体性能・・・・によるものである。

「は、はやく避難ひなんしましょう!?」
　お姫様ひめさまだっこで、しがみ付くタター。
　「――こらぁー、タタァーさぁん！　あとでレポートを、レポートを提出ていしゅつなさいらぁぁん！」
　青年せいねんの耳みみから、本物ほんもののお姫様ひめさまの声こえが漏れる。
　彼かれのスマホにリンクしたワイヤレスイヤホンは、戦闘用せんとうようではない。
　そのため静音性せいおんせいは、あまり考慮こうりょされていないようだ。

「けどシガミーは!?」
　子馬こうまの首くびにしがみつく子供レイダが、声こえを張った。

「すぐソこに、埋まってイますが・――」
　青年ニゲル（迅雷ジンライ）が、視線しせんを投げかけた方向ほうこう。
　こんこんと、わき出る大地だいちの中央ちゅうおう。
　噴出ふんしゅつする土砂どしゃから生える、巨大な手甲てのかたち。

「シ、シガミィ――――――――!?」
　勢いきおいあまった子供レイダが、子馬こうまから落ちた。