滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

４：龍撃の学院

４０６：魔法使いシガミー、ブロマイド二枚目

「よし、こんなもんか。『♪ここ』をもう一回押いっかいおすすと止まって、もう一回押いっかいおすと止めた続つづきから音おとが流ながれる。そしてこっちの『■これ』を押すと音おとが消えて、つぎに『♪ここ』おすと最初さいしょからになるようにしたぞ」
　５分程度ていど、もくもくと絵で板エディタで手直てなおしした。

「（使つかい方かたの説明せつめーがうまく出来できねぇけど、これでも一応いちおう、意味いみは伝つたわるだろ？）」
　ふぉん♪
『＞魔法具の操作系に関する情報が足りていません。
　　今度、ルコルに享受願いましょう』
　そうだなー。この板いたを作つくったやつ・・の雑ざつな仕事しごとにも――
　ダメ出し・・・・をしてやらねぇとな。

「ほれ、受け取れ」
　手に持たせてやったら――突っ返かえされた。

「あー？　難むずかしかったか？　『♪ここ』を押すと一端止いったんとまって、『■こっち』を押すと最初さいしょからだぞ？」
　もう一度いちど、図案マークを指ゆびさし、丁寧ていねいに説明せつめいしてやる。

「ちがうのっ！　シガミーちゃんのサインが欲しいのっ♪」
「サインだぁ？」
　そういや、なんか言ってたな。
　羽根筆はねふでも渡わたされたっけ。

「サインって言うのは、こういうヤツのことだよ♪」
　やっぱり同おなじ大おおきさの板いたを、レイダがカバンから取り出した。

「なんでぇい、レイダも持って……こりゃ？」
　こっちの板いたに描えがかれてるのはおれじゃなくて――

「リオレイニアじゃねぇーか！」
　現在いま、ここの学園長おさに捕らえられている、リオレイニアその人ひとだった。

「レーニアおばさんだっ!?」
　縁者えんじゃの子供こどもが叫さけぶ。
「レーニアおばさん？」
　ウチの子供レイダが首くびを傾かしげる。

　いつもの鳥とりの仮面かめんに給仕服メイドふく。
　つまり、いつもの佇たたずまい。
　彼女リオの美うつくしさが伝つたわるほどの、緻密ちみつさ。
　これは間違まちがいなく、ニゲルの青板スマホを利用りようしてるな。

　猪蟹屋ししがにや二号店にごうてんの景品・・。
　給仕メイドと一緒いっしょの姿すがたを肖像画しょうぞうがにする――〝写真しゃしん〟とか言うヤツ。
　それに使つかわれてる、神々かみがみの技術ぎじゅつだ。
　迅雷ジンライ。あの野郎やろう、呼び出しとけ・・・・・・。

　ふぉんふぉふぉん♪
『＞ＦＡＴＳシステム内線＃１０２８６を呼び出しています
　＞呼び出しています』

「んぅ？」
　素敵すてきで可憐かれんな鳥とりの面めん。
　その足下あしもとにも、『♪たのしそうなの』が付いてる。

　えーっと――押してみたぽちり。

「〽満っ員電車まんっいんでんしゃに乗っかって　君きみとっ見た星ほしのような　電ッ光板でんっこうばんを見っつめっているゥ――♪」
　ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪
「この声こえ――――ひょっとして!?」

「――はい。リオレイニア・・・・・・の音声おんせいから再さいモデリングした、彼女かのじょの歌声うたごえです――」
　そうだぜ、まえに央都おうとに来たとき、迅雷おまえに作らせた・・・・――
　リオレイニアの歌声だ・・・。

「〽どーこから来ーたのかァ　何なーにがあっるーのかァ　知らない町まちのォ出ぇ来ィー事ごとォー　君きみにも届とどいてっるのかなっァアァ――♪」
　ヴォウンドウンォ♪　ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッヴォウンドウンォ――――!!!」

　絶対本人ぜったいほんにんは、こんな楽たのしそうには歌うたわねぇよなぁ――カカカッ♪
　『♪たのしそう』の上うえに、書き殴なぐったような模様もようが書かれている。
「これ、『リオレイニア・サキラテ』って書いてあんのか？」

「そうだよ、イオノファラーさまに貰もらったブロマイドに、リオレイニアさんの名前なまえを書いてもらったの♪」
　ふん、こんな板いたっ切れ一枚いちまいに随分ずいぶんと、入れ込んでやがるなぁ。
　これ、超女神像ちょうめがみぞうの無人工房プロダクトマシンで作つくったな？

　ふぉん♪
『＞シガミーが消失中、イオノファラーが、
　　猪蟹屋を支えなければと、試作していたウチの一点かと。
　＞呼び出しています
　＞呼び出しています
　＞呼び出しています』
　出ねぇ。小言こごとを言おうとすると、必かならず出やがらねぇ。

「けどレイダ、これよくリオに取り上げられなかったな？」
　あの・・リオレイニアが自分じぶんの肖像画しょうぞうがや歌声うたごえを、売り物・・・にするのを許ゆるすとはとても思おもえねぇ。
「「この一枚いちまいだけ、レイダが持っていてください」って言って、サインをしてくれたよ？」

　一枚いちまいだけ？
　ってこたぁ……作つくったヤツを全部ぜんぶ――
　ふぉん♪
『＞はい。十中八九、処分させたと思われます』

「それっ――レーニアおばさんのっ!?　ほしい、私わたしもぉー欲しいー！　こんなの央都おうとじゃ売ってないよぉう!?」
　言葉ことばを無くし、食い入るように見入っていた縁者こどもが飛びかかってきた！

「レーニアおばさん？」
　ふたたび首くびを傾かしげるレイダ。
「そうよ、あたしは〝ヴィヴィエラ・Ｒアール・サキラテ〟。魔神まじんの再来さいらいと謳うたわれたリオレイニアおばさんの姪めいにあたるわ」
　おまえ、そんな名前なまえだったのか。

「ヴィヴィッ――」
　いつもの鳥とりの仮面かめんに給仕服メイドふく。
　つまり、いつもの佇たたずまい。
　彼女リオの美うつくしさに変わりはないが――

「リオっ!?　どっから、現あらわれやがった!?」
　縁者えんじゃの子供こどもと同おなじように、こつぜんと姿すがたをあらわした。
「わっ、リオレイニアさん!?」
　レイダが驚おどろくのも、無理むりはねぇ。

　ふぉん♪
『＞動体検知に反応無し。未知の迷彩により急接近されました』
　またか。オマエが捉えられねぇなら・・・・・・・・、ニゲルの類いだ・・・。

「一族いちぞくの秘術ひじゅつですので、内緒ないしょです――」
　それも初耳はつみみで気になるが……どうも様子ようすがおかしい。
　仮面かめんの下したの顔かおは見えなくても、気落きおちした表情ひょうじょうは見て取れる。

「ヴィヴィ――その〝詠唱魔法具えいしょうまほうぐ〟は一枚いくらで・・・・・・、売られている・・・・・・のですか？」
　具現化ぐげんかされた美びの女神めがみ、あるいは魔神まじんの再来さいらい。
　そんな彼女かのじょが突然とつぜん、そんなことを言い出した。