滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

４：龍撃の学院

４１０：初等魔導学院、具が高いわよぉん？

「喚・ん・だぁ――♪」
　ぽこ――こぉん♪
　かるい処理落しょりおち。

　てちり――おれの頭あたまの上うえに降りたつ、御神体いおのはら。
　あー、言わんこっちゃねぇー！

「また化けて出やがったな、惡神わるがみさまめっ！」
　顕現けんげんした根菜ごしんたいをひっつかむ。
　ガムラン町ちょうとの距離きょりを物ものともせずに、迅雷ジンライの収納魔法しゅうのうまほうへ出入ではいりする美の女神めがみ。
　しかも、その中なかから自分てめえを取り出す手口・・・・・・を、最近覚さいきんおぼえやがった。

「しっつれいねぇー！　化けてないしぃ、悪神わるがみでもないしぃーっ！　正真正銘しょうしんしょうめい――アナタの世界せかいのよりどころっ、美の女神めがみイオノファ――んむぐっ、にゅぎゅむぎゅぅー♪・」
　大声おおごえを出すなっ、まるい頭あたまを両手りょうてでで包つつみこむ。
　また子供がきどもに一斉いっせいに、見られたじゃねーか。

　ふぉふぉん♪
『イオノ＞履歴みて急いで来たのに、この仕打ち？」
　うるせぇ。
　リオレイニアの詠唱魔法具ブロマイドの件けんを、問い詰めたかったんだが――
　そいつぁ、あとで良い。

「折角化せっかくばけて出たなら、自己紹介じこしょうかいでもしてこいっ！」
　こんな面倒めんどうな物もんわぁ、呼び出したアイツらに任まかせる。
　部屋へやの真ん中なかへ――力一杯ちからいっぱい、放ほうり投げた。

　レイダの近ちかくを漂ただよってた独古杵ぼうから、細ほそくて黒くろい腕うでが伸び――
　イオノファラー御神体ごしんたいをキャッチした！

「イオノファラーさまっ！」
　そんなレイダの声こえに――
「「「「「「「「「「「「イオノファラーさまぁ――――!?」」」」」」」」」」」」
　ガムラン関係者以外かんけいしゃいがいが、わらわらと駆けよっていく。

「あららららっ!?　具ぐが高たかいわよぉん？」
　レイダの手に乗せられた美の女神御神体いおのはらごしんたいが、戸惑とまどってやがる。
　ガムランじゃ慣れっこの神かみさんも、学院ここじゃ物珍ものめずらしいだろうよ。

　がやがやがややややっ――チーン♪
　鐘かねの音おとが聞こえた。
「うわっ――本物ほんものだ！」
　真っ先さきに駆けつけた、細ほそい男性教師だんせいきょうしが――上級鑑定じょうきゅうかんていしたらしい。
　子供たちがきどもが一斉いっせいに、組んだ手を鼻はなに押し当てる。

　一瞬いっしゅん、レイド村むらの神官しんかんみたいに、威圧いあつしちまうかと思おもったが――
「小ちいさい！」「かわいい！」「くすくすくす♪」「喋しゃべってる！」「神々こうごうしい気がする！」「あははっはは♪」「はじめて見た！」「女神像めがみぞうと全然違ぜんぜんちがうんだね？」
　ずいぶんと――平気へいきだな？

「（敬虔けいけんなイオノフ教徒きょうとでもなければ――炉端ろばたの根菜こんさいと変わりありません）」
　ならいいや、ソッチは頼たのむぞ。

　おれはとととんと、階段かいだんを降りる。

「あとは壇上だんじょうを直なおしゃぁ、終わりだが……一体何いったいなにしてる、リオレイニア？」
　対峙たいじする飛び級生徒おれと、見習い先生リオ。

「シ、シガミー!?　あのその、ど、どういうわけか、妙みょうに血がたぎる・・・・・と言いますか？　なんとも説明せつめいのしようもありません！」
　おろおろと視線かめんをさまよわせる、給仕きゅうじと生活魔法せいかつまほうと金勘定かねかんじょうと美うつくしさの権化ごんげ。

「くわしい話はなしは後あとだ。そこ、足下あしもとを直なおすから３・２・１で飛び跳ねて――く――!?」
　「――れ、その一瞬いっしゅんで直なおしてやるから♪」って言おうとしたら、「飛び跳ねて」で――
　リオレイニアと学院長がくえんちょうのふたりが、飛び跳ねやがった。

　随分足ずいぶんあしが軽かるいぜ。
　おれは慌あわてて、修繕しゅうぜんを開始かいしする。

「（迅雷ジンライ悪わりぃ、すこし手伝てつだえ）」
「（何なんでしょうか、シガミー？・）」
　このへん何なにか変わった……仕組しくみみがあるか？
　黒板こくばんと扉とびらから、なんかの文様もんようがうっすら見える。

「（はい、ですが幸さいわい床材ゆかざいには、魔術的まじゅつてきな加工かこうはされていません・）」
　じゃぁいいや――――すっぽん♪
　壇だんと床材ゆかざいを格納しゅうのう、土台どだいの大岩おおいわがあらわになる。
　おなじ床材ゆかざい……いや、何なんか頑丈がんじょうな作りになってる・・・・・・・から――
　もっと頑丈がんじょうな材質ざいしつで、床ゆかと壇だんを作つくり直なおすか。
　レイド村むらを立て直なおすときに作つくった、超頑丈ちょうがんじょうな複合建材ふくごうけんざいで――ごどどん！

　より硬かたい床ゆかを敷き、あたらしくした壇だんを置く――がたん！
　一緒いっしょに格納かくのうして綺麗きれいにした、教師用きょうしようの立ち机づくえを乗せる――すとん。
　すたん、すたん♪
　リオと学院長がくいんちょうの二人ふたりが、壇上だんじょうへ降りたつ――完成だ！

「こ、これは、一体いったいどうしたことでしょう？」
　おどろく学院長がくいんちょう。
　へへ、かるい見せ物代ものがわりに、跳ねた一瞬いっしゅんで直なおしたからな。

「シガミーは、遠方えんぽうの土地とちの生まれでして、その土地とちでは建物たてものを頻繁ひんぱんに建て替えるために、建築系技能けんちくけいぎのうが発達はったつしたと聞いています」
　そう、リオが説明せつめいしてくれたが――

　チャキッ。
　学院長がくいんちょうは取りだした片眼鏡かためがねで、壇だんや床ゆかをじっと睨にらみ始めた。
　片眼鏡それには〝魔術ひかりの神髄すじ〟で描えがかれた、文様もんようが浮かんでいる。

　ヴォンッ♪
　かすかな唸うなりは、活力マナの流ながれによるもので――チーン♪。
　上級鑑定じょうきゅうかんてい魔法具まほうぐか？

「学院長がくいんちょう？」
　リオの声こえも、碌ろくに届とどいていない様子ようすだ。

「正式せいしきに依頼いらいした場合ばあい、学院関連がくいんかんれんの建物たてもののすべてを、この建材けんざいに置き換える・・・・・ことは可能かのうでしょうか？」
　酷ひどく真剣しんけんな顔かおで、そんな依頼はなしをしてきた。

　レイド村むらのときみたく、まっさらにした地面じめんに村人総出むらびとそうでで取りかかるなら――
　そこまで大たいした仕事しごとじゃねぇけど、ひとりだと相当そうとうきついな。
　おにぎりか、裏天狗うらてんぐでも出さねえと……。