滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

４：龍撃の学院

４７２：大陸間弾道卵の謎、マルチタスクとヌガーバー

「（やい、五百乃大角いおのはらよ。眠気ねむけを治なおす回復薬ポーションは、作つくれねぇか？）」
　もうしばらくは学者祭がくしゃまつりが、終わりそうもねぇし。

　ふぉん♪
『イオノ＞やいとはなによ、ご挨拶じゃね？
　　　　　眠気に効く薬ってのは聞いたことないけど、
　　　　　試験勉強の時にカフェイン入りのヌガーバーを、
　　　　　囓ったりしたわよ』

　学者がくしゃたちの質問攻しつもんぜめに、そこそこ真面目まじめに答こたえつつも――
　こうして、おれの話はなしに耳みみを貸す。
　神々かみがみどもの〝一遍いっぺんに色いろんなことをする能力きようさ〟だけは侮あなどれねぇ。

　ふぉん♪
『＞マルチタスクです。イオノファラーのそれは、
　　ハイテク機器を使用した生活習慣ですが、
　　ＩＮＴタレットである私にはマルチコアネイティブな、
　　マルチスレッドが実装されています』
　何なんの自慢じまんか、わからんにも程ほどがあるぞ。

　ふぉん♪
『＞超凄ぇ、頓知です』
　頓知とんちか。おれの轟雷ごうらいの、〝教えおしえ〟みたいな感かんじか。

　ふぉん♪
『解析指南＞カフェインの大量摂取は推奨できません。
　　　　　　アーモンドの実は眠気対策と、
　　　　　　睡眠の質の向上に効果的です』
　おれには〝解析指南かいせきしなん〟スキルも有るから、そうそう轟雷ごうらいを着なくて済むのは助たすかる。

「（過笛印かふえいん？　うるさそうな印いんだな）」
　それに阿門戸あもんど？　呍門戸うんもんどてのはねぇのか？

「そうわねぇ。カヤノヒメちゃんに、ちょっと聞いてくるぅ♪・」
　飛び跳ねた御神体ごしんたいが、教卓きょうたくに広ひろげた大型おおがたタブレットに――
　すっぽこ――こぉん♪

　ヴユュゥン――てちてちてちてちてちり――ヴッ♪
　おれの画面モニタの中なかを素通りして・・・・・、またどこかへ消えやがった。
　どうなってる？

　ふぉん♪
『＞どうやら外の大型テントに居る、カヤノヒメに会いに行ったようです』
　ふぅん。静しずかで良いから、放ほっとくか――と思おもったら。

　御神体いおのはらに群むらがってた、学者方がくしゃかたたちが――
　わいわいわいわい、がやがやがやがやや？
　大挙たいきょして、おれに群むらがってきた。

「ああああああ？　おれぁ五百乃大角いおのはらの料理番りょうりばんだぜ。大たいしたことは知らんし、あいつらみてぇに一遍いっぺんに話はなしは出来できんぞ！」
　逃のがれようと藻掻もがいてたら、講堂こうどうを跳ね回まわる猫の魔物シシガニャン二号にごう（中身なかみはレイダと迅雷ジンライ）が目に入はいった。

「あのピンク色いろの魔物まもの……化け猫ねこには、かの高名こうめいな五百乃大角いおのはらさまの眷属けんぞくであらせられる迅雷ジンライが入ってるから・・・・・・、あっちへ聞いてくれやぁ！」
　教卓きょうたくへ飛び乗り、仲間なかまを指ゆびさした。

　うおおおおおおおお！
　駆けていく学者方がくしゃかたたち。

「みゃにゃぎゃぁー？」
「みゃにゃぎゃぁー？」
「みゃにゃぎゃぁー？・」
　追いかけっこ、いや鬼おにごっことでも思おもったのだろう。

　ぽきゅぽきゅぽきゅきゅきゅっ♪
　ぽきゅぽきゅぽきゅきゅきゅっ♪
　ぽきゅぽきゅぽきゅきゅきゅっ♪
　強化服ばけねこ二号にごう、十号じゅうごう、一号いちごう、が、散り散りに逃げ出した。

「ふぅ、助たすかったぜ。悪ありぃレイダ、成仏じょうぶつしてくれやぁ」
　ぱしん――合掌がっしょう。
　からの――――ぽこ――こぉん♪

　安心あんしんしたのもつかの間、おれの手の間あいだから――むっぎゅる♪
　御神体ごしんたいが顕現けんげんするなり――ぴょん♪
　教卓きょうたくへ飛びおりた。

「おまえなぁっ――んだそいつぁ？」
　御神体いおのはらが頭あたまに載せていたのは、小ちいさな木箱きばこ。

「ふっふっふぅーん♪　神域惑星しんいきで採れたんだってさ♪・」
　蓋ふたを開ければ、中なかに入はいってたのは。

「随分ずいぶんと細長ほそながい炒り豆まめだな。香かおりは良さそうだが？」
　ボリボリガリゴリと、食い始はじめた女神めがみを見て――
　おれたちは、その香こうばしくてコクのある、やたらとうまい豆まめを奪うばい合った。

　　　§

「練った粗目さとうで、砕くだいた阿門戸あもんどを固かためてみたが――何なんでぇい、この堅柔かたやわらけぇ〝おこし・・・〟わぁよぉ？」
　菓子かしの材料ざいりょうを適当てきとうにみつくろって混ぜさせられたから、菓子かしには違ちがいねぇだろうが。

「どれ、お味あじわぁ？・」
　ばばばりぼぼぼり、もっちゃらもっちゃら――
　目を丸まるくする御神体ごしんたい。
「はら、へっほうひへるはへ♪」
　なに言ってるか、わからん。

　ふぉん♪
『イオノ＞これねぇー、仕事とか勉強で忙しいときに、あたくしさまたちが好んで食べたお菓子なのよね』
　手がべたつかないよう〝耐熱たいねつおもち〟と同おなじ、燃えない紙・・・・・で包つつんで――
　言われるがままに、猪蟹屋ししがにや商品棚しょうひんだなへ並ならべてみた。

　〝阿門戸あもんど粔籹バー〟なる菓子かしは学者方がくしゃかたに、絶大ぜつだいな人気にんきを博はくし――
　原材料げんざいりょうで有る〝阿門戸あもんど〟を取りに、おれと茅の姫ほしがみは神域惑星しんいきへ向かう羽目はめになった。

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カフェイン／カカオの実などに含まれるアルカロイド。眠気が取れるとされる嗜好品。にがい。
ヌガーバー／ヌガーと呼ばれるキャンディーで、ナッツ類をコーティングした菓子。栄養補給だけを目的に開発された小型携帯食。
粔籹／米や粟を、水飴や砂糖で固めた煎り菓子。