滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

518:龍撃準備開始、スクロールと特別報奨金

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わたしちちはなしを聞きたい……のですか?」
 ちゃを飲み、ひといきついたフッカじょう

 烏天狗ぼくつくってやった、黄緑きみどりっていうか若草色わかくさいろ羽織ケープ
 法被はっぴを脱いだ彼女かのじょは、それを羽織はおってくれている。
 気に入って使つかってくれているようで、なによりだ。

 おにぎりのまぶしいほどの黄緑きみどりよりは、落ちついたいろ
 ガムラン饅頭まんじゅう塩餡きみどりのほうに、色合いろあいがよく似ている。

 ふぉん♪
『日夜シリーズ一式【終日】
 全防御力日中336~夜半784(+229~+677)。
 全魔法攻撃力日中342~夜半81(+143~-118)。
 時間帯によって追加効果が変わる、
 摩訶不思議な魔術師向け防具一式。
 追加効果/日中INT+30/AGL+30
 条件効果/日没中にHPが一割を切ると女神の加護により、
      STR+30/ATK+30/VIT+30
 装備条件/INT25。成人女性または、成人前の子供』

 なげぇ、そうだぜ。
 あの羽織はおりひと揃え・・・・は、コントゥル家が家宝かほうにしても、おかしくねぇくらい代物しろものだったぜ。

 ふぉん♪
『>あのとき初めて一式装備を作ったのですから、やり過ぎてしまったのも仕方がありません』
 だよなー。

「そうです。火山かざんダンジョンで使つかった高等魔術こうとうまじゅつ、〝炎曲えんきょく苗木なえぎ〟。あれを修得しゅうとくしたした〝マジック・スクロール〟の出所でどころを、知りたいだけです」
 トレーを持つ、蜂のお化けルガレイニアさんが、やさしく微笑ほほえんだ。

「あ、あれはわたし窮状きゅうじょうを見かねたちちが、財産ざいさんをなげうって手に入れたものだと聞いていますぅー! すべてわたしのせいなんですぅー、どうかご容赦ようしゃを――ガタブル!」
 あれ、またおびえだしたぞ?

「レーニア。フッカははちのようなかおが、こわいのではなくて?」
 ご令嬢れいじょうこぶし細顎あごに添え神妙しんみょうな面持おももちで、侍女兼友人じじょけんゆうじんを見つめる。

こわい? わたくしがです――か?」
 トレー小脇こわきにはさみ、ずいとかおを寄せるルガレイニア。

「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
 おびえるフッカじょう本当ほんとうこわいみてぇだな。
 普段ふだん猫の魔物ケットーシィとか子馬の魔物テンプラゴウとか魔神の再来ルガレイニアとか言われても、すぐ慣れちまうものだが。

「こらっ、チャッカ!」
「リオレイニアさんに、失礼しつれいでしょっ!」」
 パーティーメンバーの二人ふたりは落ちついたのか、鏡目かがみめ蜂顔はちがお平気へいきらしい。

失礼しつれいということはありませんが、そうおびえさせてはかわいそうですね」
 スッと鏡の眼鏡ルガーサイトへ手を伸ばす、ルガレイニア。

「まてまて、はずすな! これ以上いじょうはなしをややこしくするなってんだぜ!」
 この場の全員ぜんいん前後不覚ぜんごふかくおちいり、大怪我おおけがをするほどの――
 〝こい〟だかに落ちちまう・・・・・だろうが。

「ふぅ、ぎゃくですわフッカ。〝炎曲えんきょく苗木なえぎ〟に目を付けたアナタのお父上ちちうえを、たたえることはあってもとがめることなど有りませんでしてよ!」
 こし両手りょうて威圧いあつしているようにも見えるが、シガミーおれ烏天狗ぼく天狗わしを追いかけまわすときとくらべたら――
 やさしいもんだぜ。

「おまえさんの父上ちちうえには……そうだなぁ、猪蟹屋うちのみせから特別報奨金バウンティーが出ることにするぞ」
 今決いまきめた!

   §

「というわけでだ、このかねをかしてくれ。央都おうとけんが片付いたらばいにしてかえすからよ」
 まるで渡世人とせいにんよう口上こうじょうだが、しかたねぇ。
 央都おうとへ来てからこっち、みせを買ったりしてかねを、どっさりと使つかっちまったからなぁ。

 ここは黒板裏こくばんうらちいさな部屋へや
 ガチャリとつくえに置いたのは、『オルコ』と名入ないりの革袋さいふ
 これはオルコトリアからあずかってたもんで、おにぎりのなかから五百乃大角いおのはらが見つけて取り出しちまった・・・・・・・・

 結局けっきょく天狗てんぐとの一騎討いっきうちはかなってないから、フェスタの掛け金・・・とはべつにしておいたものだ。

 追加ついか革袋かわぶくろぶん精算せいさんしちまったが、最初さいしょ天狗わしに寄こしたぶん――なんだっけ?

 ふぉん♪
『>ファイトマネーです。鬼族の風習による、特別報奨金の様な物です』
 そうそれ、つまりは大事だいじかねだろ。
 ガムランちょう仲間なかまに、不義理ふぎり出来できん。

「それは、好きに使つかえば良い。天狗殿てんぐどの一度いちど、おわたししたものを受け取る道理どうりは無いわっ!」
 ゴガォォウ!
 気迫きはくいや、鬼拍きはく気圧けおされた。

「いいや、受け取ってもらわねぇと、ちと困る・・・・
 といっても、一旦借いったんかりるんだがぁ。

こまる? なんで?」
 パァァンッ――ひだりてみぎてで打ち付ける鬼娘オルコトリア
 おどされてる? おれぁおどされてるのかぁ――たすけろ迅雷ジンライ

簡単かんたんなことじゃわい」
 こえに振りかえる鬼族オルコ、その四肢ししが――ごきん、ばきん!
 倍化ばいかした。

 天井てんじょうからぶら下がるのは、天狗装束てんぐしょうぞく
 おれはいま烏天狗からすてんぐ装束すがた此処ここに居る。
 つまり天井あっちのは迅雷ジンライだ。

 ふぉん♪
『シガミー>悪い、助かった』
 ふぉん♪
『>いいえ。それで、この場はどう切り抜けますか?』
 手を抜きゃぁおこるだろうし――

天狗殿てんぐどのっ、此処ここで――会っ――た――が――――――っ」
 すで長剣ちょうけんは抜き放たれ、振り上げる太刀筋きどうは――
 まえにギルドをこわしたときに、見たのとおなじ。
 それでも、いかなる修行しゅぎょうによるのか。
 その剣先けんさき天狗じんらいを――つらぬいた。

 ボッフゥワァン――――ガシャンッ♪
 白煙はくえんを吐き飛んできた、まるめられた天狗装束てんぐしょうぞく一式いっしき
 それを即座そくざに、収納魔法具しゅうのうまほうぐ仕舞しまいい――すぽん♪
 うしろ手に独古杵ジンライを、解きはなった。

「はぁぁっ!? 逃げたぁっ――!?」
 ブゥォォォゥン――――「あぶねっえっ!!!!!!」
 鬼娘オルコ長剣けんが、置いてあった豪奢ごうしゃとり置物おきものに――

 ガッキュキッィ――ン!
 手甲てっこうに付けたやっとこ剣先けんさきつまんだ・・・・
 止めねぇとこわれるし、こわしたらまたかねがかかっちまう。
 ドガンッ、パッリィン♪
 ちっ、長剣けんを止めた衝撃いきおいで、うしろの硝子ビードロが割れちまった。

天狗殿てんぐどの駄目だめならぁ――シガミーでもぉー良いのよぉぉう?」
 「なにが?」って聞いたら、おこるだろうな。
 当然とうぜん一騎討いっきうちのはたし合いのはなしだ。

「おれに勝っても、よめにわぁもらってやれんぞぉ!? おれぁ、こう見えても・・・・・・おんなだからな?」
 ガチィンと、剣先けんさきを突っかえしてやる。

「わかってるわよ! もうね、たたかわないとつよくなれないのに、その相手あいて居ないんだもの・・・・・・・、しょーがないでしょーっ!」
 けんを下ろし涙目なみだめになる、綺麗きれいかおおに

「な、なんだぜっ!? ま、魔物まものでも狩りに行きゃ良いじゃんか?」
 とりでむこうのもりおくに入れば、いくらでもつよやつに出くわすだろ?

「だからぁLVレベル30以上いじょう魔物まものがぁ、一切出いっさいでなくなっちゃったのよ!」
 そりゃ、初耳はつみみだぜ?
 ふぉん♪
『イオノ>初耳わね』
 ふぉん♪
『>女神像の魔物素材売買の統計情報には、まだ現れていません』

「それ、リカルルさまは、知ってるのか?」
 聞いてみる。もし、そんなことになってるなら、戦闘狂せんとうきょうひめさんがだまってるとはおもえん。

「はっきりとは知らないとおもう……ぐすん。ほら、リカルルは仕事しごとさぼってたから」
 あー、そこにつながるのか。おれたちにも責任せきにん一端いったんはある……ようなねぇような。

「じゃあ尚更なおさらだぜ、オルコトリア。おまえこのまま、こっちに詰めとけ」
 おれは割れた硝子ビードロを――すぽん♪
 ヴッ――もとどおりに直したカチャ
 単純たんじゅんものなら、なおすのは簡単かんたんだ。

「え、なんで? それにガムランちょうを開けるわけには、行かないでしょー」
 長剣けんをガチリと、さやおさめる鬼娘オルコ

「けどこっちに居れば、下手へたしたらりゅうたたかえるぞ?」
りゅう……火龍かりゅうのゲイル少年しょうねん?」
 なにやらかんがえてる。
 彼女オルコ火龍かりゅうゲートルブと、たたかってないからな。

「ちがう、〝央都建国おうとけんこくたたかい〟に出てくるいにしえりゅうだ」
 言ってやった。
 鬼娘おにむすめの目が、見開かれた・・・・・

 よしいまだ――ガチャリッ♪
 おれはもう一度いちど、オルコトリアの財布さいふを取り出した。

「カカカッ――そう言うわけじゃ。おにむすめ央都こっちとどまってもらうあいだ仕事しごとやすませるぶんの、給金代きゅうきんがわりとおもうて――受け取って――はくれ――ぬか――のぉ――う――ぅ」
 せま部屋へやに、天狗てんぐこえ木霊こだました。
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