滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

571:龍撃の学院、大講堂にて

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「それでおじょうさま、どういたしましょうか?」
 深刻しんこくかお……かお眼鏡めがね半分隠はんぶんかくれているが――
 じつ彼女かのじょ仮面越かめんごしのかおは、とても表情豊ひょうじょうゆたかで――
 いつまで見ていても、飽きない。

 じっと見てると、小言こごとを言いに寄ってくるから――ヴヴウヴヴヴッ?
 あんまりながくは、見ていられんがなぁ。
 けどそろそろこの〝はちみたいなかおに見える眼鏡めがね〟を、最終調整さいしゅうちょうせいついでにかたちを替えてやるか。
 この威圧感みためだとフッカが、逃げていくしな。

 ふぉん♪
『ルガーサイト【銀相】
 防御力80。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
 装備した者の眼光を抑制すると同時に、
 魔術構文の概算化による詠唱時間短縮』
 そんな名前なまえに、なったんだったっけ。
 くろみがかった鏡面きょうめんが、ルガばちかお彷彿ほうふつとさせ――
 ある意味いき格好良かっこうよすぎている。

 ふぉん♪
『>はい。ですがリオレイニア本人は、とても気に入っている様子ですが』
 ならもうひとつくるか?
 けど、これのまえつくった真っしろ眼鏡型めがねがたもあるだろ。

 ふぉん♪
『>では自在に形を、変えられるようにしましょうか?』
 そんなことも出来できるのか?
 ふぉん♪
『>可能です。縦横の幅と厚み、前後左右への湾曲率と眼鏡のリム端のデザイン選択を、装着者が自分で行えるようにいたしましょう』
 手で引っ張って変えるのか?
 眼鏡めがねはずしたら、リオレイニアの色香いろかまどわされた民衆みんしゅうだまっちゃいねぇ。

 ふぉふぉん♪
『>デザイン変更には、モニタに表示される簡易的なGUIエディタを使用します。可変機構に必要となるアダマンタイトの外装には、高密度の龍脈言語が記述可能ですの』
 まて。
 此処ここ大講堂だいこうどう巨木きょぼく木龍きりゅう討伐とうばつし、うたげきょうじた翌々日よくよくじつ
 入りぐちには『央都政治と龍撃についての懇談会』の立て板。

おもった以上いじょう深刻しんこく事態じたいに、なっていましたわね」
 ご令嬢れいじょう真剣しんけんかお
 こんなのは、あま菓子かしあまくない菓子かしのどっちを食べるかなやんでるときか――
 侍女リオ同僚オルコから逃げてる、真っ最中さいちゅうか――
 某青年ぼうせいねんをどうやって打ち負かしてやるか、奸計かんけいを練ってるときくらいしかないはず

 つまり、かなり深刻しんこくそうなはなしをしてるっぽくね?

政敵せいてきである上流貴族じょうりゅうきぞく派閥はばつへの、説得材料せっとくざいりょうとしてはあまりにも――」
 辺境へんきょうはく伯参謀さんぼうひとなんかも来てるし――
「そうですね。こんなにちいさいおんなの子を、派閥側はばつがわへ差し出すことなど――」
 博打好ばくちずきのサウルース王子殿下おうじでんかも居たか……今日きょう真面目まじめかおをしてる。

「そもそもラプトル王女殿下おうじょでんかの、央民おうみんへの配慮はいりょがニャァ――」
顧問こもん、その発言はつげん不敬ふけいに当たります」
 顧問氏こもんしたちも来てる。

「それじゃぁ、言いかたを変えるニャァ♪ こほん、魔導工学まどうこうがく傾倒けいとうするまえ王女あなただれからもしたしま――」
 白熱はくねつする議論ぎろん。これだからまつりごとてぇのわぁ。
 ガリガリバリバリとうしあたまを掻いてたら――
 ぴしゃりと手をたたかれた。
 迅雷ジンライ動体検知モーショントラッカーを避け、しのび寄るサキラテ家のひめ……女王蜂ルガレイニア

「――それって――ラクトアイス――チャタリング――ニャァー♪――」
 レイダにかかえられたお猫さまロォグが、なにかを言って――
「みゃにゃぎゃにゃぁ、みゃんやにゃぎゃーぎゃー
 ぱたん♪
 全員ぜんいんがおにぎりを見つめ――議論ぎろんつづいていく。
 背中せなかを向けてるから、いたに書かれた文字もじが読めん。

 ふぉん♪
『>「建国の資格を横にするなら、そこの魔銃オルタネーターを駆る娘を、王家に嫁がせれば牛すき御前では無いかニャァ♪」と言っています』
 迅雷ジンライ古代猫こだいねこ共用語きょうようごが、わかるようになって来てるな。
 大体だいたい意味いみつうじる。

「当たりまえです。それに建国けんこく資格しかくたてにするなら、うちの子が王家おうけとつぐことになりましてよ? 断固反対だんこはんたい、どこぞのモクブート・・・・ほねに差し上げるくらいなら、わたくしがもらい受けま――」
 うちの子・・・・てのは、コントゥル家使用人けしようにんである少女しょうじょ・タターのことだろう。
「ふっるぅん♪ そうだねぇ、彼女かのじょ強運きょううんはとても魅力的みりょくてきだけど……あと5、いや10年後ねんごなら?」
 そして、どこぞのモクブートほねには、かれ、サウルース王子殿下おうじでんかふくまれている。

 すっぽこかららっぁぁん!
「こららぁぁん! タターちゃんは、おにいさまなんかにはもったいないですららぁん♪」
 王女殿下おうじょでんか杓子まほうつえで、王兄殿下おうけいでんか頭頂部とうちょうぶたたいた。

「ひひいっひぃん?」
 小気味こきみの良いおとおどろくく、子馬てんぷらごう
 真んなか長机ながつくえ最前列さいぜんれつ
 群衆うんしゅう黄緑色おにぎりたちに取りかこまれたメイドふく少女しょうじょ一人ひとりおびえている。

「おいおい、そう取りかこんでむずかしいはなしをされちゃぁ――子供こどもおびえるだろうが?」
 おれは長大な長銃アダマンタイト軽々かつがるかかえた、少女しょうじょメイドタターを気遣きづかう。

「「シガミーだって、子供こどもだよね?」」
 うるせぇそ、子供ガキどもめ。

   §

「とにかく交渉材料こうしょうざいりょうそろいましたが、とても彼女かのじょ交渉こうしょうの場に連れて行くわけには――」
 ルガじゃなかった、リオレイニアが――
 カシャリと眼鏡めがね位置いちなおす。
 今度の奴・・・・は、王女おうじょ頭飾りティアラ彷彿ほうふつとさせるような――
 上品じょうひんかんじに、仕立したててみた。

 工房長ノヴァド相談そうだんしたら――
 おれの手持てもちのアダマンタイトで、目隠めかくしと眼鏡めがねが合わさったようなのをつくってくれたのだ。
 かまど煉獄ゲヘナ調子ちょうし上々じょうじょうで、むずかしいアダマンタイトの加工かこう普通ふつう鍛冶仕事かじしごとよりもはやく済んだほどだ。

 出来でき外側がわに〝ルガーサイト【銀相ぎんそう】〟をはめ込み、くだん絵で板エディタも入れ――

 ふぉん♪
『ルガーサイト改【金剛相】
 防御力310。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
 装備した者の眼光を抑制すると同時に、
 魔術構文の概算化による詠唱時間短縮。
 追加機能/使用者の好みに形状変化可能』

 あかがねがかった白金はっきんには、うっすらと周囲しゅうい景色けしきうつり込んでいる。
 複雑ふくざつ光沢こうたくや、ふちにあしらわれた精緻せいちはな意匠かざりは――
 王女殿下おうじょでんか頭飾りティアラ彷彿ほうふつとさせた。

 いまのところ、リオレイニアに求婚きゅうこんするやつ老若男女問ろうにゃくなんにょとわず)も――
 物陰ものかげから様子ようすうかがう、フッカじょうも居ない。
 はちっぽさがまるで無くなったからか、リオレイニアの威嚇ヴヴヴッ♪も止んだ。

「ふぅ……べつの火だねにしか、なりませんわねぇ」
 そんなあたまを押さえる高貴こうき姿すがた一人ひとり大講堂だいこうどうすみにへら・・・わらうニゲル青年せいねん
 大方おおかた、「苦悩くのうする姿すがたまで素敵すてきだ」なんて、かんがえてやがるのだろうぜ。
 立ち上がってはべつせきすわなおす、挙動不審者あやしいやつは――一先ひとまほうっておく。

「そうだぜ。とても海千山千うみせんやません悪狐わるぎつねどもに、タターを差し出すわけにゃぁいか――――!?」
 こいつにゃ、てんぷらごうがずっと世話せわになって――!?

「「悪狐わるぎつねぇ、ですってぇぇぇぇ――――!?」」
 コントゥル母娘おやこが、気を吐いた!

「ぅをわぁ!? る、ルリーロさまっ!? どっから湧きや――」
 いまのはだなぁ、言葉ことばあやってやつで――
 ごちんっ!
 ごちんっ!
「痛ってぇ――――――――!」
 おれはあたまを押さえ、うずくまった。

「シガミーはくちひらまえなぐる、にかぎりますわね」
 かぼそ指先ゆびさきを、ぷらぷらと振るご令嬢れいじょう
「そうですねぇー、ちゃぁんと天窓てんまどからはいって来ましたぁよぉー?」
 うえを見れば、まる天窓てんまどが開けられ――心地ここちよいかぜが抜けていた。

「――お待ちください! ただいま、使用中しようちゅうですので!」
 ドヤドヤドヤ、ガヤガヤガヤ。
 廊下側ろうかがわ大扉おおとびらの向こうから、喧騒けんそうちかづいてくる。

なんだぜ!?」
 おれたちのまえに、すたん・・・姿すがたあらわ青年せいねん
 白線はくせんはいった執事服しつじふく派手はでだが、中々様なかなかさまになっていて――
 まるで正装せいそうした、護衛騎士ごえいきしのようにも見えた。

 バガァーン!
 ドガドガドガガガッ――!!!!!

 大講堂だいこうどう乱入らあんにゅうしてきたのは――
 見たことの無い連中れんちゅう

 いや一人ひとりだけ、見覚みおぼえがあった。
 王城おうじょう地下ちかで、リオレイニアを詰問きつもんした――小役人こやくにんだ。
 とすると、こいつらは王政おうせいに異をとなえる連中れんちゅうか!?

閣下かっか、どうぞこちらへ」
 小役人やくにん率先そっせんして、後続こうぞくさきへとうながした。
「ふむ。それで、そこの小娘こむすめが、かの建国けんこくりゅう退治たいじしたというのは本当ほんとうかね?」
 正装せいそうらしき、豪奢ごうしゃ派手はで軍服ぐんぷく
 もみ上げと顎髭あごひげつながった、やや強面こわもて男性だんせい

 おびえるタターをかばうように立ちふさがる、ラプトル第一王女だいいちおうじょ殿下でんか
 その手が勇者ゆうしゃ|(なりそこない)の背に添えられた。
 「ぅひょわぃ、ラプトルひめぇ――――――――!!」というさけびを飲み込むニゲル。
 王女おうじょふるえる指先ゆびさきを、振りほどかないニゲルは――まさ勇者ゆうしゃだった。

建国けんこくさい姿すがたあらわしたりゅうとはなにか? ご神木しんぼくとはなにか? 召喚しょうかんとう魔王まおうたおすために存在そんざいしているのでは無かったのかっ!?」
 名乗なのりも上げず、声高こえたからかに。
 演説えんぜつをする男性あいつが、政敵せいてきとやらの頭領かしららしい。

「ふぅ、こうなっては仕方しかたがありませんわね。ルコラコル!」
 パチリとゆびを鳴らす、派手はでなドレス姿すがた
「こちらにコォン!」
 ふすっ――狐耳きつねみみ少年かれは、格好良かっこうよゆびを鳴らせなかったが――
 目的もくてきものは、しずしずとはこばれてきた。
 猫耳娘ねこみみむすめの手によって。

「にゃぁっふっふっふふのふふふふっ――♪」
 なにがそんなにたのしいのか、うすわらいをつづけるニャミカ。
 その手には、上級鑑定魔法具箱・・・・・・・・たずさえられている。
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