滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

５８４：大森林観測所への道、おばけ山道？

「ブロジェクションＢＯＴボット、１番機ばンきかラ３番機ばんキまデ信号途絶シグナルロスト。途絶時ロストじの状況じょうキょうかラ破壊ハかいされたトは考かんがえづラいです・」
　そうだな。壊こわされたんなら、あの〝煙けむりを放はなつ人影ひとかげ〟みたいな映像がめんが又また、送おくられてくるはずだ。

「えーっとね？　なんか動うごいてる……気もするんだけど――痛った!?・」
　ふぉん♪
『イオノ＞なんかにぶつかったわよ？』
　『(ಠ_ಠ)わよ？』――面白おもしろい顔つらで慄おののく、五百乃大角御神体いおのはらデバイス。
　おまえ、その顔つら。笑い上戸リオレイニアの前まえでは、絶対ぜったいにするなよ？
　死人しにんが出るからな？

　ふぉん♪
『＞イオノファラーへのモーションセンサ信号のみ、反応があるようですね』
　わからんが、「回収出来かいしゅうできねぇのか？」
　よく見りゃ道みちの先さきに霞かすみが掛かってて、よく見えん。

「さっきからやってるんだけど、あっ今いま、三みっつとも捕つかまった？　フサフサした手？　のぺっとした柔やわーらかい肌触はだざわりの――これはっ!?　なんかぁ、じつにぃー心地ここちよぃ――？・」
　フサフサしてて、のぺっとした肌触はだざわり？
「工房長ノヴァドの髭ひげと鼻はな……いや頭突き女モゼルの、巻き毛と角つのじゃね？」
　どっちも凄すごくフサフサしてるからな。
　じゃぁ、この霞みちわぁ……央都おうとに通つうじてるのかぁ？

　ふぉん♪
『＞おにぎりか特撃型のどれかに、捕獲されたのでは？』
　猫の手そっちか。じゃぁ、お猫さまロォグかもしれん。
　てことは、やっぱり……さっきの元もといた山道やまみちと繋つながってる？

　見えなくても繋つながってるなら、お猫さまロォグが女神像めがみぞうに付ける扉とびらみたいなもんだろ？
　一歩いっぽレイド村方向むらほうこうへ戻もどると――ガララッ！

「あぶねぇ！」
　道みちがごっそりと崩くずれ落ち、底そこが見えない大穴おおあなが空いた。

　　　§

「（シガミー、戻もどりました。少すくなくとも地殻ちかく……１０里以上りいじょうの深ふかさがあります・）」
　迅雷ジンライを落としてみたが、戻もどってくるまで相当時間そうとうじかんが掛かった。
　飛び越えようにも、先さきがかすんで見えん。

「お前まえがいりゃぁ、落ちて死ぬことはねぇがぁ――」
「はイ。這イ上がルために機械腕プロダクトアームや神力棒モバイルバッテリーを、大量たいりょウニ消費しょうヒすル危険きケんがアります・」
　なら、こっちだ！
　迅雷ジンライをひっつかみ、藪やぶをつついてみる。
　がさがさささっ――ガンガガンッ♪
　叩たたいても地面じめんが落ちねぇ。

「よっと！」
　藪やぶに分け入いると――スタン。
　また道みちがあった。

「ちょっと、貴重きちょうな美の女神あたくしさまおぉー、落っことしていくんじゃ無いわよ!?・」
　目の前まえに落ちてやがるのは、根菜こんさいにして丸茸まるきのこの様ような姿形すがた。
　振り返かえれば、元もといた道みちは霞かすんでよく見えなかった。

　靴先くつさきに丸まるいのが、ぴょんと飛び乗る感触かんしょく。
　ふぉん♪
『＞照会しました。デバイスＩＤ＃１０２８６に相違ありません』
　横よこを見りゃぁ、さっき出来できたた大穴おおあなが空いてる。
　引き返かえせば大穴おおあな、横《よこ》に行きゃぁ同おなじ道みちに戻もどっちまう。

「えぇえぇいぃ、質たちが悪わりぃ山道みちだぜっ！」
　五百乃大角いおのはらは無くすといけねぇから、ちゃんと仕舞しまっとけ――すぽん♪

　ふぉん♪
『＞魔術的な閉曲線に、捉えられたようです』
　わからんし、さっき「悪わるいもんに、化かされちゃいねぇ・・・・・・・・・」って、言ってただろうが？

「じゃぁ、どうすんだぜ？　上うえへ飛んだら、直ぐに地面じめんが現あらわれて――空そらが地面じめんになっちまうしよ？」
　もっとも余あまり高たかく飛んだら、あの人影ひとかげに撃ち落とされるだろうが。

「こっちの方角ほうがくに目的地もくてきちの、フカフ村むらがあるのは間違まちがいないのね？・」
　大穴おおあなの反対側はんたいがわを、小ちいさな梅干し大アイコンの手が指し示しめす。
　ふぉん♪
『イオノ＞こっちの方角に目的地の、フカフ村があるのは間違いないのね？』
「（こっちの方角ほうがくに目的地もくてきちの、フカフ村むらがあるのは間違まちがいないのね？・）」
　あー、普通ふつうの話はなし声ごえと、一行表示ティッカーと、念話ねんわが同時どうじにに出てやがる。

「超ちょう、うぜぇな？」
「はイ。同時に色んマルチタスクな仕事が出来るマルチスレッドだかラらといっても、そレを適切てきせツニ行使出来こうシできなイ場合ばアい、邪魔じゃマなだけです・」

「うるっさいわよ？　ちょっと間違まちがえただけわよ？・」
　画面モニタの中なか、梅干うめぼし大サイズの五百乃大角いおのはらアイコンさまが――よいしょ♪
　『おいも』と『きのこ』が入れられた箱フォルダの横よこに――どっこりゃしょ♪
　『あたくしさま』っていう箱フォルダを作つくって――すぽん♪
　自分じぶんの〝御神体デバイスからだ〟を、仕舞しまい込んだ。

　小分けフォルダわけしても意味いみねぇだろう――女神御神体おまえさまは一つきりだ・・・・・。

「（えーっと、何なんのお話なんだったかしらん？・）」
　忘わすれんなや。
「（道この先さきはフカフ村むらの方角ほうがくだって、話はなしをしてたろーが）」
　狐耳きつねみみのお偉えらいさまが居ねぇから、念話ねんわで良いな。

「（はい。内蔵ないぞうジャイロセンサーと姿勢制御ライブラリジャイロマスターに、誤差ごさありません・」
　詰まるところは、何なんだぜ？

　ヴォゥゥン♪
『　　　・――フカフ村
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××××××
　×××　×××
　××〄　〄××
　××〄迅〄××
　×××■×××
　×××■×××
　×××××××
　×××××××
　　。――レイド村』
　表示ひょうじされたのはこの辺あたりの地図ちずで、とおくに目的地フカフむらがある。

　ふぉん♪
『＞〝×〟は未確認領域、〝〄〟は閉曲線地点、〝■〟はモホロビチッチ不連続面まで続く縦穴です』
　つまりフカフ村側むらがわにしか、進すすめないってことで……有ってるか？
「（はい・）」

「（けどさっき見た景色けしきわぁ、森もりなんか無くて地面じめんがが大おおきく罅割ひびわれてたぞ？）」
　とても人ひとが住んでる感かんじじゃ、無かったぜ。

「じゃぁ、まずは行ってみましょぉぅ♪・」
　すっぽ――こぉん♪
「うーむ。こっち側がわまで大穴おおあなが空いたり……しねぇだろうな？」
　迅雷ジンライで石畳いしだたみを、ゴツゴツと突く。
「〝偽物の道・・・・〟トいう発言はツげんガ事実じじツなラ、ソの危険きケんもありマす・」

　てちり。
「〝偽物にせものの道みち〟だって言うならぁ、偽物にせもののフカフ村むらにでも辿たどり着くかもぉーしれないでっしょぉぅ――？・」
　なるほど。そりゃ道理どうりだぜ。
　奇祭タコウパからこっち、お女神さまいおのはらが前向まえむきで助たすかる。
　あの丸い奴たこやきは評判ひょうばんも良かったから、また来月らいげつにでも開催かいさいしてやっても良いかもしれん。
　もちろん蛸之助たこのすけの、機嫌次第きげんしだいだが。

「じゃぁ、行くがぁ。お前まえさまは中なかに、入はいってろやぁ」
　落っこちて、逸はぐれられても困こまるぞ。

「えっ、やだわよ。頭あたまの上うえが良きわよ・」
　ふぅ。聞き分けねぇところは、変わらんか。

「でハ、ヴッ――こちラを身につけレば、つかむトころがあるので安心あんシんデは？・」
　かぽん――何なにかが頭あたまに乗せられた。
　ヴュオゥン♪
　クルクルと回まわる、おれの頭あたまが画面がめんに映うつし出された。
　ニゲルの猪蟹屋二号店ししがにやにごうてんで使つかわれてる、獣耳けものみみが付いた頭飾あやまかざり。
　それに挟はさまれ藻掻もがく五百乃大角いおのはら御神体ごしんたいが、ヴュゥーンと大写おおうつしになる。

　ふぉん♪
『＞耐熱対爆仕様化が完了した、〝猪蟹屋制式ホワイトプリム〟です』
　そっか、これならもう燃えないんだな？

　おれは五百乃大角いおのはらを引っこ抜き、頭飾あたまかざりのヒラヒラしたところに手探てさぐりで乗せ直なおしてやる。
「良きわね♪・」
　そうだな。皆みんなの喜よろこぶ……ニゲルの喜よろこぶ顔かおが思おもい浮かんだ。

　ヴヴュウゥン――――♪
　しかし頭飾あたまかざりを付けた画面の中のおれ・・・・・・・ぁ――
　頭飾りそこだけひらひらで、実じつに締まらねぇ。

　ふぉん♪
『＞シガミーの猪蟹屋標準支給ウェアラブルデバイスＳＳＷー０１ＬＲＳには、３セットの装備一式が格納されています』
　腕時計うでどけいのカバーを開ひらく――カシッ♪

　ふぉん♪
『ヒント＞文字盤に表示されたガイダンスに従ってください』
　ヴォン♪
『セーフティーカバーを
　　下方向へ押し開き、
　　内部のスイッチを
　　押してください』

　二ふたつあった牡丹ボタンが、三つに・・・なってやがるぜ。

　ふぉん♪
『ＳＳＷー０１ＬＲＳ＞１：シシガニャン１０号改
　　２：轟雷
　　３：猪蟹屋標準装備一式／規定冒険者装備』
　ヒントや腕時計うでどけいに表示ひょうじされた、文言もんごんに従したがう。
　『３』の牡丹ぼたんに、指ゆびを這わせ――シュボッ♪
　手首てくびが光ひかり、カシカシカシと全身ぜんしんが――光ひかりの奔流ほんりゅうで縁取ふちどられていく。
　
　それは一瞬いっしゅん、チキピピッ♪
　刹那せつなで着替きがええが、完了かんりょうした。
　おれは猪蟹屋二号店ニゲルのみせの給仕服メイドふくに、身を包つつんだ。

ーーー
モホロビチッチ不連続面／地殻とマントルの境目。〝マントルが堅く、地震発生時のＰ波の伝達速度に違いが出る〟とされている。たが２２２２年現在、〝慣性と物質密度により形成されたいわば逆アーチ構造が、引き起こしている〟のではと推察されている。
ＳＳＷー０１ＬＲＳ／猪蟹屋が総力を挙げて作成した、健康管理や着替えが出来る腕時計。
※参考画像