滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

６７３：隠れ家にて、解毒薬のフレーバー

「うわっ――何なんだ今いまの、でけぇ・・・蜻蛉とんぼわよぉ!?」
　おれたちの頭上ずじょう、巨大きょだいな岩いわの上うえの様子ようすを――
　映うつし出す映像えいぞうに、今いま――蜻蛉とんぼの頭あたまが、映うつり込んだ。

　ふぉん♪
『＞中生代、シガミーが生まれる二億年前、前世惑星地球にも棲息していた最大の昆虫です』
　ふぉん♪
『イオノ＞０・５シガミーも有る大きな体で、良くも跳べるものわねん♪』

　ヴォヴォォォォッゥゥゥンッ♪
　壁かべに映うつし出された、決戦場けっせんじょうの様子ようす。
　その隣となりに――ヒュパパッツ♪
　蜻蛉とんぼの絵と説明書せつめいがきが、表示ひょうじされて消えた。

「ううむ。泥音どろおんという空飛そらとぶ板いたが何枚なんまいも、お釈迦しゃかにされてるな」
　落ちた泥音どろおんと、死んだ蜻蛉とんぼが散乱さんらんしている。

「あら恐竜きょうりゅうちゃんがぁ、蜻蛉とんぼをを食べてるわね……おいしいのかしら？・」
　止めろや！　おれは料理りょうりなんぞ、絶対ぜったいにせんからな？

「迅雷ジンライ、準備じゅんびは出来できたか？」
「はイ。レイダ材ざイヲ塗布トふシたコーティング弾ダんヲ、二万発用意にまんぱツよういしまシた・」
　レイダ材ざいにするには、レイダ材ざいであるという〝色味いろみ〟を――
　絵で板エディタで流し込むだけ・・・・・・で、出来できるようになった。
　超簡単ちょうかんたんで、超硬ちょうかたくて――実じつに良い。

「二万発にまんぱつ、それだけあったらぁ……どれくらい撃ち続つづけられる？」
「えっと……五分ごふんは、撃ち続つづけられるわねぇー♪・」
　ヒュパッ――『残弾数：２０，０００』
　画面端がめんはしに、そんな数字すうじも出た。
　こりゃ、わかりやすいぜ！

「うむ、それだけありゃぁ、勝敗しょうはいも付くだろうな。ウカカカッ♪」
　さて、面白おもしろい見せ物もんにわぁ――面白おもしろい飲み物もんがぁ必要ひつようだぜ。
　手持てもちちの澄み酒・・・わぁ全部ぜんぶ、使つかわれちまったから――

「迅雷ジンライ、村長そんちょうが寄越よこした例れいの解毒薬げどくやくは、何なにかわかったか？」
「いエ、優先順位ゆうせんじゅンいが７でスので、マだ取りかかっていマせん・」
　良し良し、なら丁度良ちょうどよいぜ。

「じゃぁコレは、おれが休みを使つかって勝手かってに作つくらぁ！」
　それなら文句もんくも、あるまい？
　村長そんちょうから貰もらった小ちいさい薬箱くすりばこは、何処どこやったっけ？

　ふぉん♪
『＞フォルダ分けしていない、〝未分類物品〟の中にあります』
　ヴッ――ガチャッ♪
　革かわベルトが付いた箱はこが、ちゃぶ台だいに置かれた。

「おう、コレだぜコレ♪」
　ガチャガチャ、ガチャン――ゴトトン♪
「そんなにぃ、おいしーのぉー？　あ、まさかまさか、カルル・・・よりもぉー、おーいーしーいー？・」
　まるで不格好ぶかっこうな、薬瓶くすりびんの佇たたずまい。
　御神体ごしんたいが目を輝かがやかせ、薬瓶くすりびんに並んでやがる。

　冷つめたい菓子かしで作つくる、良く冷えた飲み物・・・――カルル・・・。
　ガムランの悪漢令嬢あくぎゃくれいじょうリカルルが、大層気たいそうきに入り――そう命名めいめいされた。
「そうだなぁ――なんて言やぁ良いのか」
　こう、酒さけじゃぁねぇのに、染み渡る感じ・・・・・・がしてなー。

「染み渡わたるぅ？　ハハハッ――そんな言葉ことばで、わっかる訳わけないでしょ！　早はやく、早はやく頂戴ちょうだいわよっ！・」
　必死ひっしか。

「もう残のこりは、一本いっぽんしかねぇからぁ――全部ぜんぶはやれんぞぉー」
「わかってるわよ――おちょこに一杯いっぱいくらいならぁ、良いでぇーしょぉ？・」
　しゃぁねぇな。
　猪口ちょくに、ちょっぴりだけ注そそいでやる。

「解析指南かいせきしなん、この解毒薬げどくやくと同おなじ味あじの、飲み物ものを作つくりてぇんだが」
　残のこりを、ちゃぶ台だいの上うえに置き――じっと見つめた。

　ふぉん♪
『解析指南＞材料：水　５０ｍｌ
　　　　　　砂糖　大さじ２
　　　　　　塩　小さじ半分
　　　　　　レモン汁　小さじ１
　　　　　　香草や香辛料など　お好みで
　　　　　　作り方：少量の水で材料を、よく溶かします。
　　　　　　　　　　その後、全部の水を入れ、かき混ぜること。
　　　　　　　　　　全部の材料を瓶に入れ、蓋をして振り回しても出来ます。』

「なによ、これ――スポドリじゃんか！・」
「酔歩鳥すうぽどりぃ？　千鳥足ちどりあしとわぁ、違ちがうのかぁ？」
　酒さけは入はいっちゃねぇぞ？
　しかし、レモンてなぁ、何なんだったか？
　ふぉん♪
『＞酢橘や蜜柑と同じ、柑橘類です』
　なるほど、酸すっぱい薬味やくみを足しゃぁ、良いんだな？

　迅雷ジンライが酢橘すだちを持ってたから、ソレを使つかう。

「よし、作つくってみるが――」
　〝かくはん王おう〟と〝さじ加減かげん〟スキルだけで、出来できちまったぞ。

　さぁて、でわぁ――とくとくとくとくっ！
　微かすかな酢橘すだちの香かおりがするぜ――ちびり♪

「超旨ちょううめぇ――これだ、この味あじだぜ♪」
　ふぉん♪
『イオノ＞なるほどねーん。戦国時代の、お坊さんからしたら大好物の、お酒並みに、おいしく感じるかもわねぇー♪』

「ぷはぁ――まぁ、おいしいわよ――ごくごくごくり♪」
　大おおきな丼鉢うつわから柄杓ひしゃくで、かぱかぱと掬《すく》う御神体いおのはら。
「あぁ！　全部ぜんぶ、飲むんじゃねぇやぃ！」
　おれは五百乃大角いおのはらから、丼鉢どんぶりばちを奪うばい返かえした。

　　　§

「さぁーて、飲み物もんの準備じゅんびが出来できたぜ！」
　目の前まえの壁かべには、頭上ずじょうの大岩おおいわの上うえを、のたのたどたりと闊歩かっぽする――
　大口おおぐちの石竜子鳥とかげどりの姿すがたが、映うつし出されている。

　ふぉん♪
『シガミー＞じゃぁやってくれや、迅雷♪』

「でハ〝出張所用しゅっちょうじょよう中継ちゅうけいアンテナ〟並ならびに〝全自動射撃ぜんじどうしゃげきＬＶレベル１〟を、地上ちじょうに設置せっちします」
　ガシャガシャガシャシャァン――！
　裏天狗うらてんぐが再ふたたび、動うごき出した。

　カチャカチャカチャチャッ♪
　地上ちじょうにまで伸ばした機械腕かいなは――
　破壊こわされれば即座すぐに、切り捨てられ――
　地表うえに残のこされるので――

　この隠れ家・・・まで、辿たどられることはない――ウカカカッ♪