滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

676:芋の町にて、続・おにぎりの休日

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兄貴あにきぃー、この魔物まものを、どーするんでさぁ?」
 ボゴン――かろうじて立ちなおった団員だんいんかずが、また一人減ひとりへった。

「そんなのぉん、決まってるじゃぁないのぉ――♪」
 バチィン♡
 片目かためを閉じ、身をくねらす団長だんちょう

「「「「ど、どうするんでさぁ?」」」」
 その強烈きょうれつ視線を、死に物狂ものぐるいでかわ団員だんいんたち。

自警団うちの詰めしょに、連れて行くんだよー♪」
 黄緑色きみどりいろの手を取り、颯爽さっそうと駆け出す眉目秀麗びもくしゅうれい男性だんせい
 タタタタッ、ぽっきゅぽきゅぽきゅ、ズドドドドッ!
 かず大幅おおはばに減らした行軍こうぐんは、やがてまち大通おおどおりへ。

「「「「「きゃぁぁあぁぁっ――♪」」」」」
 湧き上がるのは、悲鳴ひめいではなく――黄色きいろ歓声かんせい

「あの素敵すてきかたは、どなた!?」
「どこかの貴公子きこうしが、おしのびで来てるって本当ほんとう!?」
 道行みちゆ女性じょせいたちの視線しせんは、ねこ魔物まもの素通すどおりし――
 団長だんちょうかお釘付くぎづけになった。

 ややゴツくて、わずかにあごが割れてはいたが――
 団長だんちょう目鼻立めはなだちは、とてもととのっているのだ。

「みゃにゃぎゃぁー
 たくましい手を両手りょうてにぎかえす、黄緑色きみどりいろ魔物まもの
 その鳴きごえが、みみとどくことで――

「「ぎゃっ――なにあれ、魔物まものっ!?」」
 女性じょせいたちは、はじめて我にかえり――
 脱兎だっとごとく、逃げ出した。

「え、まさか、兄貴あにきぃ! そいつを飼う・・んですかい!?」
 手に手を取り合い、ぐるぐる、ぽぎゅぽぎゅ――
 ねこ魔物まものは、何処どこおぼえたのか――
 まるで夜会やかいちょうごとき、可憐かれんさで――
 団長だんちょうのリードに寄り添い、おおきく旋回せんかい

 つかんだ手は軽々かるがると、内股気味男性うちまたぎみだんせい大柄おおがらからだを――
 団員だんいんふところはいり込ませる――ぼごっごん!

「なによっ、あたしのやることに、文句もんくがあるって言うのかいぃぃっ!?」
 団長だんちょうこぶし炸裂さくれつするたびに、かずを減らしてきた――
 団員残数だんいんざんすうは――とうとう3めいに。

「ぎゃっ――貴公子きこうしじゃないわっ!」
 猫の魔物きみどりいろ存在そんざいに気づいても、かおの良い男性だんちょうに――
 こころうばわれたままだった、のこりの女性じょせいたちも――
 そのかれぐねぐねした・・・・・・内面ないめんを、の当たりにするにいたり――

「そうね、オネェよ!」「オネェだわっ!」
 やはり脱兎だっとごとく、逃げ出すのであった。

   §

「でもこいつ、おたずものですぜあに……姉御あねご?」
 歯にころもを着せることをおぼえた、団員だんいんが――
 ねこ魔物風まものふうえがかれた手配書チラシを、パンとたたく。

「みゃぎゃにゃやー
 ねこ魔物風まものふう団員だんいんの手から、手配書それうばい――
 絵とおなじ向きの、澄ましたようなかおをしてみせた。
 目鼻口めはなくちはなくても、猫の魔物そいつには――
 あいらかに、表情があった・・・・・・

「ふふん、バカをお言いでないよ! どうみてもわるやつには見えないからね、ぅちらが保護ほごしてやるんだよ!」
 おいでと、手招てまねきされるがまま。
 ぽきゅぽきゅぽきゅ♪
 なぜか団長オネエなついた魔物風きみどりいろが、そのあとに付いていく。

「にゃぎゃ――ぎゃぁ
 ぽぎゅむん♪
 ねこ魔物風まものふうとおりをあるいてきた、身なりの良い紳士しんしとぶつかった!

「なっ、なにをしやがるっ!?」
 身なりの良い紳士かれは、身なりとはちがい――
 粗野そや内面ないめんを、持つようだった。
 ぼこんと黄緑色そいつ大頭おおあたまを、なぐ紳士しんし

「おっと、ごめんよにいさん。この子は我が〝ポテフィール自警団じけいだん種芋たねいもとげ〟のあずかりなんだ。勝手かってはよしてお――」
 団長だんちょうが割ってはいったが、時既ときすでおそし。

 粗野そや紳士しんしはなった、打ちおろしの拳骨げんこつ
 したを向かされた魔物まものは――ぐるん。
「みゃぎゃぎやー
 大頭くび肩越しに回転させ・・・・・・・・――ぽきゅぽごぉぉぉむんっ♪
 あたえられたのと、ほぼおな角度かくどこぶしを振り下ろした。

 しゅぅぅぅぅぅぅぅっ――――!
 石畳いしだたみ大通おおどおり、その真んなか
 あわれにも紳士しんしあたま地面じめんに、めり込ませていた・・・・・・・・

「こらっ――――ねこ魔物まものっ!」
 団長だんちょうこし細剣ほそけんを、抜いた。

「みゃぎゃぁー
 口答くちごたえするような口調くちょうは、抗議こうぎのつもりかも知れない。

わるい子には、お仕置しおきをしないとねぇ!」
 団長だんちょうが抜いた片手剣かたてけんは、躊躇ちゅうちょすることなく――ストン!
 黄緑色きみどりいろ鳩尾きゅうしょつらぬいた!

 ねこ魔物まもの真後まうしろろに、ぽぎゅむーん、ごろろろっところがっていく。

「むっ!? 手応てごたえがない?」
 ぴょんと飛び退団長だんちょう
 なにかを警戒けいかいしたようで、さらにおおきくあとずさる。

「どーしたんでさぁ、兄貴あにきぃー!」
 ストン――片手剣ほそけんでズボンの、ひもを切られた団員てしたころんだ。

あたまを伏せてなっ!」
 その美しいかおが、引きつっている。
 その切れながひとみは、黄緑色きみどりいろの彼のものから――
 一瞬いっしゅんたりとも、はなれなくなった。

 その視線しせんさきあたりをキョロキョロと、見渡みわた魔物まもの
「に゛ゃぁぁぁぁーご
 ちかくの屋台やたいへ駆け寄る、猫の魔物風きみどりいろ
 それが片手・・を、高々たかだかかかげた!

「来い! 新芽しんめいろの゛ぉ、ねこの゛ぉ魔物まもの゛ぉっ――!!!」
 姿勢しせいただし、半身はんみになる団長だんちょう
 ながめのかみが、ふぁさりとなびく。
 内股うちまたではなくなったかれ、もしくは彼女かのじょ(?)は――
 まるで騎士きしのようで。

「わっ、だれあのかた!? すっごい素敵すてきなんですけどっ!」
 ふたたび注目ちゅうもくを浴びる、団長だんちょう
「あら、素敵すてきね♪」
 さっき逃げた女性じょせいたちももどってきて、物陰ものかげから様子ようすかがっている。
「やっぱり、どこかの貴公子きこうしだわ!」
「いいえ、まるで騎士団長きしだんちょうさまのよう♡」
 派手はで野良着のらぎ白金はっきん甲冑かっちゅうに、見えているのかも知れない。

 そんな緊張きんちょう大通おおどおり。
『焼き肉串焼き一本/3キーヌ』
 屋台やたいには、そんな値札ねふだが張られている。
 その値段ねだんはガムランちょうくらべて、かなりたかい。

 代金分だいきんぶん銅貨どうかを、ぺたりぺたりぺたり。
 屋台やたいふち三枚さんまい、きっちりと置いたねこ魔物まものは――
 焼き肉の長串・・・・・・を、聖剣せいけんあつかうかのごと大仰おおぎょうさで――
 シャキィィンとかまえた。

 片手かたてこしに当て、半身はんみ
 ぽきゅぽきゅりーんと、立つさまは――
 背筋せすじを伸ばした貴公子だんちょうと、瓜二うりふたつ。

「ははっはぁー!」
 トトォン――ビュンヒュヒュヒュフォォン!
 ねこ魔物風まものふう身長しんちょうで言うなら、3匹分びきぶんは有った間合まあいを――
 まばたきの間に詰める――するど五連突ごれんづき!

「みゃぎゃやー♪」
 ぽきゅぽぽぽぽきゅむーん♪
 ふざけたあしさばきの、すきを突き――
 次々つぎつぎ急所きゅうしょねらわれる、黄緑色きみどりいろ
 だが手にした長串つるぎ動き・・は――凄まじかった・・・・・・

 ギャギイィン――もぎゅ!
 ギキィィン――もむぎゅ!
 一突きごとに・・・・・・消えていく・・・・・――焼いたにく
 ぐるる-ん!
 まわねこまわ貴公子きこうし

 ガッギャキィン――もむもももぎゅむ!?
 そのたいが入れ替わったとき、決着けっちゃくは付いた。

「むぐっ――――!!!」
 ひざを突き、耐える団長だんちょう
「「「あに……姉御あねごぉー!」」」
 駆け寄る団員てしたたち。

「まひっは! もうおなはひっはいだ――もぐもぐもぐもぅぐ!」
 貴公子きこうしくちは、タレの付いたにく一杯いっぱいだった。

「はい解散かいさんかいさーん」
 そんなこえが上がり、女性じょせいたちは――
 またもや、散っていくのであった。
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