滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

７０４：恐竜モドキ風神班、湯につかろう

「じゃぁ、今日きょうはここらで御一泊ごいっぱくとぉ、しぃまぁしょぉかねぇん♪・」
　風神ふうじんの兜頭あたまの上うえに駆け上がる、御神体いおのはら。

「えっ、良いの？　わざわざ急いそいでロコロ村むらに、戻もどる途中とちゅうなのに？」
　そう尋たずねるものの、生意気なまいきそうな、その顔かおは嬉うれしさを隠かくせていない。

「まったくよう！　息いきを吐つく暇ひますりゃ、ありゃしねぇ――何なにを作つくりゃぁ、良いんだぜ？」
　ヴォヴォゥゥン♪
　写うつし撮った辺あたりの地形ちけいが、画面モニタに表示ひょうじされる。

「そウですね。でハガムラン町温泉街ちょうおんせんがい同様どうヨうノ設備一式せつビいっしきヲ、作成さクせいしまシょう・」
　ヴュパパパパパパパァァッ――――！
　湯気ゆげが立ちのぼる水辺みずべの一角いっかくに、半透明はんとうめいな家屋かおくを浮かび上がらせた。

　　　§

「これだけ立派りっぱなら、ガムラン町ちょうや大森林だいしんりんや王都おうとの――姫さんたちを・・・・・・呼んでも、良いくらいじゃね？」
　迅雷ジンライが示しめした建物たてものを、ほぼそのまま、こぢんまりと、並ならべただけだが。
　随分ずいぶんと本格的ほんかくてきな旅籠屋はたごやが、出来できちまった。

「それ、良きわよ！　どうせもう森域結界しんいきけっかいわぁ、あたくしさまの女神像めがみぞうで破られてる・・・・・訳わけだしねぇん♪・」
　そう言って、美の女神御神体めがみごしんたいが――ヴォォォゥゥン♪
　母屋おもやの地下ちかへ降りていく。

　浮かぶ球たまが映うつし出す、実物大じつぶつだい美の女神いおのはらに付いていくと――
　とんてんかんてんとんてんかんてん――ジャーン♪
　女神御神体いおのはらは、ギルド支部地下しぶちかにあるような女神像めがみぞうを――
　見る間に、建ててしまった。

　ふぉふぉん♪
『＞＞同一エリア内で女神像＃７８１が検出されました
　　同期を開始しますか？　Ｙ／Ｎ』

　そして飛び出てきた板ぺらダイアログ。
　こいつぁ、アレだぜアレ。
　龍脈りゅうみゃくを通つうじて、やり取り・・・・をする女神像めがみぞうネットワークに――
　新あたらしい７８１個目こめを通す・・、儀式ぎしきだったな。

「じゃぁ、どうする？　もし姫ひめさんたちが、「来る」って言っても――明日あすの話はなしだろぉぅ？」
　なら今晩仕込こんばんしこみをして、蛸之助たこのすけに貰もらった足あしと、大蟹料理おおがにりょうりで――
　そこそこ盛大せいだいに、持てなしてやるかぁ？

「何言なにいってんの？　もう、〝森域結界は破られてる・・・・・・・・・・〟って言ったでしょぉぅ――えぇーいぃいぃ♪・」
　女神めがみの実物大映像じつぶつだいえいぞうが手刀しゅとうで、女神像めがみぞうの額ひたいを叩たたくと――
　女神像めがみぞうの両目りょうめが、チカチカと光ひかり――

　ふぉん♪
『＞＞女神像＃７８１との同期が完了しました』
「女神像＃めがミぞうナンバー７８１、起動きドうしマした・」

　通路代つうろがわりの小部屋こべや、その床全体ゆかぜんたいが何なんでか――
　シュゴォォォォォォォ――――――――ン♪

　目映まばゆくそして、とても複雑ふくざつな形かたちの光ひかりを、放はなち始はじめた。

　　　§

「あら結構けっこう、素敵すてきじゃなくって♪」
　階段かいだんを上のぼり姿すがたを現あらわしたのは、ガムラン代表だいひょう受付嬢うけつけじょう。

「本当ほんとうねぇー、リカルルちゃぁん♪」
　次つぎに現あらわれたのは、その母狐ははぎつね。
　その様子ようすは完全かんぜんに、いつも通どおりで一安心ひとあんしんだが――

「奥方おくがたさま、お足元あしもとにお気をつけ下くださ――ぎゃぁっ!?　変異種へんいしゅ!?」
　三歩後さんぽうしろに控ひかえたメイドの、涼すずやかな声こえが――怒声どせいに変わった。

　建物たてものの裏手うらて。大おおきな作つくりの東屋あずまやを、見たのだろう・・・・・・。
　風神ふうじんの寝床代ねどこがわりに作つくった其処そこには、当然とうぜん、風神ふうじんが――
　恐竜きょうりゅうモドキ・フージーンが寛くつろいでる、だろうからな。

　立てた側そばから転移陣めがみぞうは作動さどうし――

「素敵すてきですららららぁぁん♪　なんという凶悪きょうあくかつ、機能美きのうびららぁぁん♪」
　黄緑色きみどりいろの馬うまに跨またがる、第一王女だいいちおうじょ殿下でんかや――

「「がっはっははははははははっ――旨うまい酒さけは、どこだぁ！」」
　巨大きょだいな鉄塊てっかいを担かついだ、小柄こがらな鍛冶師かじしなんかを――
　恐おそらくは、王都おうとの大女神像だいめがみぞうから数分すうふんで、跳躍ちょうやくさせた。

　ロコロ村むらに居た連中れんちゅうは、ロォグ謹製きんせいの転移扉経由てんいとびらけいゆってことになる。
　だから王都おうとの宿泊施設しゅくはくしせつの大講堂だいこうどうまでは、金かねが掛からんが――
　ここの女神像めがみぞうの転移陣てんいじんを使つかったって事ことは、大女神像の使用料金・・・・・・・・・――
　つまり一人頭ひとりあたま１０パケタもの大金たいきんが、掛かったはずで――

「シガミー来たよー」「「「「シガミーちゃん」」」」
「来たよを？」「我われこそわぁ――」
　地下したから上がってくる人ひとの流ながれは、いつまでも途切れない・・・・・。

「これはこれは、何なんという測はかりがいのある――面白おもしろい土地とちかぁぁあ！」
「あなた、お静しずかになさい！」
　スッパシィィィン!!

　がやがやがやがやや。
「「「囁ささやき――！」」」

　やい、いい加減かげんにしろやぁ！
　大女神像だいめがみぞう使用料金しようりょうきんは、王家筋おうけすじから出てるんだろうが――
　相当そうとうな人数にんずうで、やって来やがって。

「くそう。お猫さまロォグの護衛ごえいに、おにぎりをモフモフ村むらに置いてきたのは、失敗しっぱいだったぜ」
　姫ひめさんや奥方向おくがたむけの旅籠屋はたごやを、もう一ひとつと――
　男衆向おとこしゅうむけの湯殿周ゆどのまわりを、作つくらねぇとならんだろうがぁ。