おもしろ夫婦のゲーム・ライフ

石動 守

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奥編 moglie

44:腕試し Test di abilità

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 昨日は何だか良く寝た。そう感じてなくても疲れていたのだろう。
 今日は、建国2年唱月うたつき29日(29/Coro/Auc.02)
 宿の食堂で朝食を取る。
 環境が変わって少し落ち着かない。師匠の持ち部屋でのんびりするのとは違い、何かと知らない人が近くに居るので気になる。
「それで今日はどうするの?」
 サヤに尋ねてみる。
「とりあえずは、南西のフィールドに行って腕試しをしよう。どれくらいやれるかの確認だ」
「そうだね!」

 南門から出て南西に向かう。
 確かに南門から西門に掛けてテント群がある。それもかなりの数だ。
「ふぅむ、初日には気付かなかったが結構な数のテントだ。苦労している人間が多いみたいだな。俺たちも考える必要があるかもしれん」
 ゲッツが槍を担ぎながら歩く。
「そうだね。宿代結構高いもんね。“明日に向かう町„ では師匠の持っていた部屋で家賃タダ状態だったからなぁ」
「わたしとゲッツのパートナーの件もあるし考える必要があるな」
「戦いの前に色々と悩むと気が散る。まずはモンスターの強さを確認しようぜ」
「そのとおりですよ~。数日は余裕あるんですから帰ってから相談しましょう。それよりも、もうすぐ新年ですよ!」
 そうかもうすぐゲーム内のお正月なんだ。
「運営から何かプレゼントでもあればいいね!」
「はははっ! 強力な装飾品アッチェソーリオを期待しようぜ」
「前向きに考えるのが良いな。後のことよりも、今が大事だ。このフィールドでの初めての戦いだ。慎重に行こう」

 一刻も歩いたろうか? 目的のフィールドに近付く。
 これまで一回も敵とは出会わなかった。
 この辺は、かなりモンスターが管理されているのだろうか? これまでのフィールドは割合雑然としていて、モンスターも彼方此方に放たれている感じだったのだが、状況はかなり違う。
「いよいよ、この辺のフィールドからモンスターが出現すると聞いた。しかも属性は同じものが出るらしい」
 サヤが全員に注意を与える。
「そうすると四属性毎に四つのフィールドがあるってこと?」
「四つフィールドが並んでいるんですかぁ?」
「百メートル四方くらいのエリアが一単位になっていて、そこは全て同じ属性のモンスターが出るということだ」
「俺たちはどの属性のフィールドに向かってるんだ?」
「一応、風属性のフィールドを目指したつもりなのだが、初めて来るところだから注意してくれ」
 ふむ、確かに遠くで戦闘バッターリアの騒音が聞こえる。
「出たぞ!」
 ゲッツの声に目を凝らすと、ひらひらと何かが多数こっちへ向かって来る。
「蝶々さんみたいですね」
「アゲハだな。しかも色々種類が混じっているみたいだな」
 ゲッツが槍を構える。
「戦闘開始だ!」
 サヤの声と共に弓弦ゆんづるが音を立てる。
地の加護プロテツィオーネ・ダ・テッラ!、地纏いダ・インドッサーレ・テッラ!」
地の壁ムーロ・ディ・テッラ!」
砂塵ポルヴェローネ!、石の連弾アタッコ・ディ・ピエトレ!」
 蝶たちはひ弱に見えるが一斉攻撃でもなかなか落ちない。
「予想以上にしぶといな」
「そうですねぇ~、可愛いですけど中身は凶悪ですぅ~」

 何とか撃退したけど、時間が掛かるし、被害も出る。
 場所を離れれば追って来ないので、なんとか態勢を立て直しながら戦闘バッターリアを続ける。
 これで囲まれたりしたらかなり危険だ。
 場所を変えて火属性の敵とか試してみたが、状況は変わらない。
 夜戦はまず無理と考えて、適当な時間で街へ戻る。
 みんなの足取が重かったのはしかたがない。
 冒険者ギルドでドロップ品を引き取って貰ったが、宿屋に長期宿泊は費用的に厳しい。なんとか考えなくちゃいけないな。鱗粉とかあったけど何かの材料になるんだろうか?

 宿屋で夕食を取りながら今後について話をする。
「今日はご苦労様。やはりというか思った以上にモンスターが手強い」
「全くだ。甘く見ていたな。前の町で割合成果を上げていたので、ここでも行けると思っていたが大違いだ。これは基礎力から上げないとダンジョンなどは到底無理だと思う」
「ですねぇ~、先を急ぐものでもないし、少し落ち着いてレベルアップを目指すのが良いと思います」
「パートナー探しも必要だよね。ボクも考えた方がいいのかも」
「そうですねぇ、こないだ冒険者ギルドで見かけた子猫みたいなのもいいかもです」
「いや、俺にはあれは猫には見えなかった。手足がガッチリしていて育つと大型になるような気がする」
「いずれにしろ戦力アップは必要だな。魔法を使うアタッカーを考えた方が良いのかもしれん」
 その時宿屋の主人が料理を出しに来る」
「ほぃ、今日のメインの鳥だ。すまんな遅くなった」
「いや、俺はここのメシは旨いと思うぞ」
「有難いお言葉だ。女手が足りなくてな、せめて旨い飯を出して客を呼ばないといかん」
「かなり人が多いから、それなりに客が多いんじゃないのか?」
 サヤが珍しく口数が多い。
「いや、競争は激しいからな。経営も大変なのだ」
「この街は結構物価が高いから、あまり長い間泊まる訳にはいかないようだ。すまないな」
「まぁ俺は雇われ主人だからな。そこまで気にはしてない。うまく利用して貰えればいいさ。メシだけでも問題ない」
「そうか、色々考えなくてはな」
 サヤは愚痴になって来る。まぁしようがないかもしれない。
「あんたらは、この街に来たばかりかぃ?」
「あぁ、そうだ。長期に住む場所が問題なのだ」
「ふむ、この宿のオーナーが賃貸をやっている。少々不自由になるかもしれんがな」
 
 宿屋の主人が言うには、冒険者の中には部屋は確保して置きたいが長期でここを離れる場合など、大家と相談して部屋の優先権を確保して置くとのこと。その部屋は空き部屋になるのでそこに住むことは可能だが、優先権を持っている冒険者が帰って来ると明け渡さなければいけない。しかし借賃は結構お得になる。
 中には退場するパーティもあるので、その場合は部屋の優先権を確保できる。

「まぁ良ければ、ここを訪ねてみな」
 そう言って宿屋の主人がメモを渡してくれた。
「悪くないかもしれんな。明日一番で行ってみるか」
「俺は賛成だ。馬が置ける場所が確保できれば幸運だな」
「ボクも賛成だね。良い部屋は稼げるようになってから考えようよ」
「そうですよ。駆け出しは苦労するのが普通ですぅ~」
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