四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても

SAKADO

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五話 やっかみ

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  紗奈さなさんと二人で教室に入ると、皆がギョッとした表情で俺たちを見てきた。
  中には鋭い目付きで俺を見てくる輩もいる。 
  しかし何も気にする事はないと、俺は自分の席に着く。
  すると俺の元にやってくるヤツが一人。

「おいおい、七瀬ななせと仲良くやって来るとはどういう風の吹き回しだ?手まで繋いでるなんてよ」

「まぁ色々あったんだよ」

  どこか嬉しそうにそう言ったコイツは俺の友人、春風はるかぜ 壱斗いちとだ。昔からの幼馴染である。

「へぇ…まぁようやくたつきにも春がやって来たってか、いいねぇやるじゃねぇか」

  そう言って壱斗が肩をパンパンと叩いてくる。
  だいぶ喜んでいる時の癖だな、睨まれるよりは全然良い。

  チラッと紗奈さんの方を見てみる。
  彼女も友人から色々と聞かれているようだ。

「ちょっと紗奈、御堂おんどうと仲が良いみたいだけどなんかあった?」

「んー、まぁねー」

  俺との関係を聞かれた紗奈さんがすっとぼける。その表情は楽しげだ。

「もしかして…っいやなんでもない、まぁお幸せにってとこかな」

「あっ…ありがと…」

  状況を察し応援するような言葉を掛けてくれた友人に、紗奈さんが照れたようにそう返した。

「もしかして弱みでも握られてんじゃねーの?アイツ、観月にもちょっかい掛けてたって話だしよ。俺は怪しいと思うぜ」

  紗奈さんとその友人の話に割って入った男が、俺を睨んでそう言った。
  まぁ観月さんにちょっかいを掛けたのは否定しないけど、一体 彼女はなんて話を周りにしたんだろう?
  それとも先輩の方かな?どっちにしても面倒事はやめて欲しいな。

「えっそれマジ?紗奈 大丈夫なの?」

 「そんな訳ないじゃん、やめてよ。むしろ私から樹くんに近付いたんだからね?それ以上変なこと言ったら承知しないから」

  男の発言に紗奈さんがキツく言い放った。
  それを受けて彼女の友人はホッとして、男の方はすごすごとそこから離れ、なぜか俺のところに来た。

「おい御堂、お前ちょっと七瀬と仲良くなったからって調子に乗るなよ。これ以上俺の女にちょっかい掛けるならぶっ殺してやるからな」

  は??????
  紗奈さんはお前の彼女では無いんだが?こういう意味わからんやついるよなー。

「なんだお前」

「テメェ七瀬にビビったからって樹に絡んでくんなよ、それなら俺が相手になるぞこの野郎」

 男のバカ発言に本音を吐く俺とキレる壱斗。
 そのガタイのでかさにヤツは うっと怯む。
 

「うっ…だってどう考えても御堂みてぇなパッとしねぇ上に観月のストーカーしてたヤツがまともに女と付き合えるわけねぇだろ!」

  キレた壱斗にビビった男がそう怒鳴った。
  その内容に周りがざわつき始める。

「別にストーカーなんてしてないんだが?嘘つくなよお前」

「嘘言ってんのはテメェだろ!観月にフラれたからってアイツの後ろ付け回してたんだろ?話は聞いてんだよ!」

  うーん?これはちょっと問題だな、こんなにでかい声で嘘をぶちまけられるのも気分が悪い。

「あのなぁ?黙って聞いてりゃンな嘘か本当かも分かんねぇ話を誰が信じるかっての」

  壱斗はコイツの言うことを信じる気は全く無さそうだが…果たして周りはというと…

「うそ…御堂くんってそんなヤバい人だったんだ…」

「やっぱり御堂はヤベェやつなったんだな、俺らが七瀬を守らねぇと」

「そういえばアイツ図書室にいたの見た事あるぞ、その時は絶対観月もいたしもしかして…」

「ヤバ!犯罪者じゃん!」

  皆が口々に想像を語る。
  自分らがあまりにも滑稽であることが分かっていないようだが、何も知らない人はああなってしまうのか、勉強になる。
  決めつけというのはここまで情けない姿を晒すのかと、そっと心のノートにメモをした。

「皆やめてよ!樹くんはそんな事しない!」

  皆の勝手な言葉に苛立った紗奈さんがそう怒鳴って立ち上がる。
  彼女はそのまま俺の近くに歩いてきた。

「ごめんね樹くん、私のせいで…」

  彼女は俺の前に来てそう言ってしまった。
  なにも悪くないのに。

「やめてよ、どう考えても紗奈さんは関係ないでしょ」

  悪いのはそこに居るバカと、そのバカの妄言に惑わされるヤツらだ。勘違いしてはいけない。

「やめろよ紗奈!こんなヤツと関わってたらお前まで…」

  この野郎馴れ馴れしく紗奈さんを名前呼びに変えやがった。キレそう、キレていい?

「うっさい!名前で呼ばないで!それに樹くんのことこんなヤツとか言わないでよ!私のことを俺の女とか気持ち悪いこと言うのもやめて!ストーカーはどう考えてもアンタだから!」

  さすがに紗奈さんも激昂した、今までに見たことがないくらい怒鳴っているその姿が見ていられなくて、彼女の背中をそっと撫でる。

「樹くん…」

  俺が宥めたことで彼女は悲しそうな声で俺の名前を呼んだ。

「落ち着いて、俺が悪く言われたことで紗奈さんが怒ってくれるのは嬉しいけど、あまり言い過ぎると紗奈さんが変に思われちゃうよ」

「私はいいよ、樹くんが根も葉もない噂で色々言われる方がもっと嫌なの」

  彼女は憤りを隠すこともせずにそう言った。俺に対しては優しい言い方だが。

「ハッキリ言っておくけど、私は樹くんが好きなの、悪いけど邪魔しないでくれる?」

  紗奈さんがそこにいるバカを鋭い目で睨むとヤツはそそくさと立ち去って行った。
 
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