クールで一途な白雪さん

SAKADO

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五十七話 旅館

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 海水浴を楽しみながら夕方を迎えた俺たちは、借りた浮き輪を返却し、シャワーで身体を洗って水着から服に着替えた。コインロッカーから預けてあった荷物を取り出して、予約してある旅館へと向かった。
 予約は三部屋取ってあり、茂はもちろん貝崎なのだが、その後の割り振りで謎に揉めた。

「春波さんと山襞さん。私は冬夏と龍彦くんでどうかしら?」

「それはダメでしょ。龍彦くんは男の子だし気になるよね?でも私たちなら大丈夫だからさ、龍彦くん一緒に行こうね」

「あら、私たちも気にしないわよ。むしろ最近はずっと遊んでるし、それは冬夏も同じだからいらない気遣いね」

「まっまぁアタシも気にしないけど……」

 俺としては繭奈と二人が良いのだが、どうして冬夏が一緒前提なんだろうか。二人とも友人だからかな?
 
 まぁ要するに、バチバチに睨みあっているのだ。両者一歩も譲らない。いや俺の意見は?

「あの、蔵真くんはどうしたいのかが大事じゃないかな?」

 俺の思考を読んだかのように貝崎が言った。そのおかげで繭奈と告美と麗凪がこちらを見る。
 やっと俺の意見が言えるようになったと、彼女らに言った。

「俺は、繭奈と一緒でお願いしたいかな」

 俺の言葉に繭奈は勝ち誇った笑みを、告美たちはショックを受けたような表情をしていた。さすがにちょっと可哀想なので、すかさずフォローにはいる。

「いやまぁ、元々繭奈とは同じ部屋にしようって話してたからさ……その代わりそっちの部屋に遊びに行くから、たくさん喋ろうよ」

 そう言うと、二人は パァッと笑顔を咲かせて抱き着いてくる。喜んでもらえてなによりだが、早く部屋に行きたいんだけどな。

「よしよし!じゃあ部屋行こ!」

「そうね。タカネとはすくんもごめんね。待たせてしまって」

 告美が俺の手を握って意気揚々と部屋に向かい、麗凪は茂たちに謝った。やっとのことで話がまとまり、ようやく部屋に荷物を置きに行けるようになった。

 割り当てられたのは四人部屋だ。その部屋に入り、それぞれの荷物を部屋の隅に置いておく。
 和室の落ち着いた雰囲気がより特別感を抱かせ、気分も高揚してくる。
 この旅館をネットで調べたときに、景観の良い温泉がウリだというのは知っていたので、茂と入るのが楽しみである。
 景観ということて、窓へと向かって景色を眺めると、部屋から大きな海が見えた。やっべこれめちゃいい部屋やん。

「あら、一応部屋にもお風呂があるのね」

「ほんとだ。他の部屋にもあるのかな?」

 外を眺めていると、後ろから繭奈と冬夏のやり取りが聞こえた。どんな感じなのかと気になってそちらへ向かう。

「ねぇ龍彦くん。温泉の方は男女別になるわけだし、その後でも良いから一緒に入りましょう♪」

 繭奈が手を握って ふふっと笑う。浴室を覗いてみると、家族で入るにも丁度良いサイズと言ったところか。なんなら外にも浴槽があり、ここでも露天風呂が楽しめることが分かった。

「すげぇな。今からもうちょっと楽しみになってきた」

「でしょう?先に楽しんじゃおうかしら、ね♪」

「こらこら、もうすぐ晩御飯なんだから落ち着きなよ」

 なにを考えているのだろうか、頬を赤くさせた繭奈が先走ったことを言って、冬夏が窘める。
 この旅館での食事は部屋で楽しむこともできるが、食堂で楽しむこともできることを受け付けで聞いた。
 俺たちが選んだのは当然後者である。

「それもそうね。あと三十分ってところかしら、行くには少し早いけど、お風呂に入るには足りないわね……あっ、そういえばアレ持ってきたかしら」

 何かを思い出した繭奈が、自分の鞄を漁る。アレと言われて首を傾げてしまうが、もしかしたらトランプとか、そういうちょっとした遊べる物を持ってきたのかもしれない。
 ちなみに俺も鞄に忍ばせてあるし、なんなら茂と遊ぶためのカードゲームもあるぞ!楽しみだ。

「あったあった。コレでバッチリね♪」

「なに持ってきたの?」

 弾んだ声の繭奈が、鞄の中からソレを取り出した。紙袋に入っているが、大きさ的にも俺の予想は間違ってなさそう。
 ソレを見た冬夏が繭奈に問いかけた。

「もちろんゴムよ、決まってるじゃない!」

「「決まってねぇよ!」」

 俺と冬夏はすかさず突っ込みを入れた。ぶち壊しである。
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