クールで一途な白雪さん

SAKADO

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四十五話 従姉妹

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 俺の失言に、冬夏とうかが顔を真っ赤にしてプルプルと震えている。"可愛い" どころか "エロい" とまで言ってしまったとなると、完全にセクハラであった。
 これは嫌われないまでも引かれてしまったか?と思ったものの、彼女は離れるどころか俺の腕をより強く抱き締めていく。

「可愛いって、エロいって、まじ?マジのまじなのぉ……?」

 ニマニマとした冬夏とうかが、ボソボソとなにやら呟いている。しかし、祭りの喧騒にかけ消され、その声は聞き取れなかった。
 気付かないフリでと思ったものの、さすがにそれは無理があるかと、貫くことはできない。というか、気まずすぎて無理だった。

「ごめん。さすがに言いすぎたというか、変なこと言った」

「ほんとだよ、ばーか。ヘンタイ、スケベ」

 弱々しく罵倒の言葉を並べている冬夏とうか。しかし、その声色はとても弱々しく、若干口角が上がっていることが窺える。
 その様子は明らかに不快そうではなく、なんならこっちまで情緒が乱されてしまいそうであった。それこそ本当に、エロく感じてしまった。


 そんなこともありつつ二人で暫く歩いていると、俺の知らない とある人物が声をかけてきた。

「あれ?冬夏とうかじゃん」

「え?あっ、小春こはるお姉ちゃん!」

 冬夏とうかに声をかけたその女性は随分と綺麗なブロンドヘアで、透き通るような水色の瞳をしていた。冬夏とうかがいつぞやに言っていたお姉ちゃんとは、もしかしなくてもこの人だろう。

 そんな女性に気が付いた冬夏とうかは、俺の腕から手を離すことなく、右手を振り嬉しそうにその名前を呼んだ。

「えーなに、彼氏?」

「そんなとこー」

「違うよね。冬夏とうかは友達でしょ一応」

 流れるような冬夏とうかの嘘に、俺はきちんと訂正した。しかし彼女は何処吹く風である。

「んなこと言ってるのは、アタシの友達の彼氏。んーで、この人がアタシの従姉妹の小春こはるお姉ちゃん」

「どーも、冬夏とうかの従姉妹の笹山ささやま 小春こはるです。よろしくね」

 互いを紹介した冬夏とうかに続けて、小春こはるさんが朗らかな笑みで掌を見せる。すごい美人さんだなと思いつつ、ペコリと自己紹介を返す。

冬夏とうかの友達の、蔵真くらま 龍彦たつひこです。よろしくおねがいします」

「お姉ちゃんはもしかして、コウスケさんと?」

 俺の返事の後に、冬夏とうかが間髪を容れずに問いかける。小春こはるさんは、頭に手を当てて いやぁと溜め息交じりに言った。

「コウスケくんはシオリちゃんとイオリちゃんがいるから、ウチには付け入る隙ないって。ウチは別の子たちと来たの。友達とね」

「まぁ、二人とも美人さんだもんねぇ。そんな姉妹を掴まえて離さないなんて、コウスケさんもヤリ手というかなんというか」

 こうも美人な小春こはるさんも相手にされないなんて、いったいそのコウスケさんの恋人という人たちはどれだけ凄まじいというのか。

「ここだけの話、最近じゃ毎日3Pシテるらしいよ」

「マジ?三人とも性欲強すぎでしょ」

 二人して、なかなかに衝撃的な話題を軽いノリで話し、その様子にびっくりした。気まずいぞ勘弁してくれ。

「あっ、ごめんね。いきなりこんな話しちゃって」

「大丈夫だいじょーぶ。龍彦たつひこもヤることやってるから気にしないって」

「オメーが言うなオメーが……まぁ、そういうことなんで、気まずいっちゃ気まずいですが、とりあえず大丈夫です」

 確かに繭奈まゆなとはヤることやっているが、それとこれとは別の話である。まぁ見せつけるようなことしたから大概ではあるが、それでも小春こはるさんは初対面なのだ。
 気まずいのも当然である。

「ごめんねぇ……っと、そろそろ待ち合わせだから行くね。龍彦たつひこくんも、冬夏とうかをよろしくね」

「じゃあね、小春こはるお姉ちゃん」

「はい、お義姉さん。任せてください」

 ハッとした小春こはるさんが、スマホで時間を確認してそう言った。そんな彼女に冬夏とうかが頷いて、その流れで俺もお姉さんと呼んでしまった。

 俺たちの返事に小春こはるさんは頷いて、向こうへと歩いていった。言葉の意味に気が付いた冬夏とうかは、徐々に顔を赤くして顔を逸らす。
 俺も俺で、半ば釣られて言ってしまったこともあり、自分のソレに気が付いて気まずくなったが、敢えて触れないことにして知らんぷりしておいた。

 まるで彼氏みたいなこと言ってしまったが、今更なかったことにはできないのだ。
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