クールで一途な白雪さん

SAKADO

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九十七話 初詣

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 新年を迎えて、初詣に訪れた俺たち。早々に綺麗な装いで姿を表した繭奈まゆなは、初詣のために誂えたであろう着物に身を包んでいた。

 ただでさえ美人な繭奈まゆなが、更に人目を引く姿をしていることから見惚れてしまっていた。状況を察した父さんの声かけと、いつまでもボーッとしていられないとの考えで彼女に声をかけた。

「あっと、まっ繭奈まゆな……?」

龍彦たつひこくん、おはよう」

「あっうん、おはよう」

 あまりの綺麗さに緊張しながら繭奈まゆなに声をかけると、彼女はパァッと笑顔を咲かせて挨拶をした。俺はそれに生返事で返す。
 そんな俺の様子に彼女は首を傾げる。

「どうしたの?」

「……あっえっとその、繭奈まゆなが凄く可愛くてつい……すっすごく似合ってるよ」

「そう?それなら嬉しいわ♪」

 ガチガチに緊張している俺の言葉に、繭奈まゆなは嬉しそうに微笑んで頬を染めた。口もとに手を添えてクスクスとしている笑っているその姿が、やけにお淑やかで妖艶にも映る。
 心臓がバクバクである。

「うふふ。龍彦たつひこくんったら、そんなに着物姿の繭奈まゆなが良いのかしら」

「はい、最高です」

「正直だね」

 緊張している俺を見た唯那ゆうなさんたちが、嬉しそうに微笑んだ。やはり自分たちの娘が褒められているのは、気分が良いのだろう。
 繭奈まゆな本人もニコニコとしている。

 そんなやりとりをしていると、後ろから両親が挨拶をした。そういえばと、俺たちも挨拶を交わす。

「改めて、明けましておめでとう繭奈まゆな。今年もよろしくね」

「えぇ、明けましておめでとう。今年もよろしくね、龍彦たつひこくん」

 メッセージアプリでも交わした挨拶だが、実際にやるのとではまた話が違う。大好きな人と言葉を交わすのは、それだけで大きな意味があるのだ。

唯那ゆうなさん、舞智まさとさん。明けましておめでとうございます」

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくね、龍彦たつひこくん」

「明けましておめでとう。これからもよろしくね」

 義両親と交わす新年の挨拶。唯那ゆうなさんはペコリと丁寧に、舞智まさとさんはにこりと優しげに返してくれた。これからもって、要するに末永くということか。

「はい、末永くよろしくお願いします」

「すっ末永くって、龍彦たつひこくん気が早いわよ♪」

 俺の言葉に、繭奈まゆながテレテレとツッコミを入れてくる。舞智まさとさんたちはとても嬉しそうである。
 うちの両親も義両親に挨拶をして、大人同士の会話が始まった。

「そういえば、冬夏とうかはもうすぐだってね」

「えぇ。ここで待っていればすぐに来ると思うのだけれど」

 そんな繭奈まゆなの返事に、なんとなく周囲を見回してみる。スマホが震え、冬夏とうかが到着した旨のメッセージが届いた。
 繭奈まゆなもそれに気が付いたようで、二人でキョロキョロと冬夏とうかを探す。すると、俺の目にはとても可愛らしい金髪の女の子がやけに目を引いた。

 繭奈まゆなに負けず劣らず魅力的な彼女も、初詣に誂えたのか着物の装いで、つい見つめてしまった。スマホを片手に、誰かを探すような素振りをしている。
 そちらを見つめて動かない俺に、繭奈まゆながその視線の先を追うように目を向ける。

龍彦たつひこくん……?あら、冬夏とうかじゃない。ふふ、見惚れてしまっているのね」

「あぁ、うん」

 まるで先ほどの父さんのような反応をした繭奈まゆなの言葉に、その女の子が誰かを理解した。そりゃ可愛いわけだ、だって冬夏とうかだもん。
 向こうもこちらに気が付いたようで、パァッと笑顔を咲かせて小走りでこちらにやってきた。

「見つけた二人とも!あけおめ!」

「あぁ、明けましておめでとう」

「明けましておめでとう。今年もよろしくね、冬夏とうか

 新年の挨拶を交わすと、冬夏とうかはニッと歯を見せる。どことなく得意げなその表情がとてもかわいい。

「どかな、似合ってる?結構気合い入れてみたんだけど」

「いやもう、可愛すぎるだろ。目が離せなかったもん」

 俺の正直な感想に、冬夏とうかが照れたような身を捩る。照れくさそうな笑みを浮かべながら、やけに扇情的な雰囲気を醸し出している。

「そうそう。龍彦たつひこくんったら、さっきまで冬夏アナタを見つめて動かなかったんだものね」

「当然だな。ずっと見てたいくらいだ」

「えへへ、うれしー♪」

 もはや全身を使って喜びを表現している冬夏とうかが、繭奈まゆなと挟むように、肩をぶつけるように身を寄せる。いつもなら抱きついてくるところだが、さすがに両親義両親おとなたちの手前、遠慮しているようである。

「あら。冬夏とうかちゃんも来てたのね。明けましておめでとう」

「はい、繭奈まゆなに会いに来ました。あと龍彦たつひことも!明けましておめでとうございます!」

 既に見知っている義両親と、冬夏とうかが仲良く挨拶をしている。その勢いのまま、初対面であるうちの両親とも挨拶をした。
 初対面の相手とも打ち解けようとできるそのコミュニケーション能力には、見ていてさすがに舌を巻く。

 それはそうと、俺たちは三人で初詣に行こうか。冬夏とうかとももう少しくっついていたいしな。

 大人たちの視線から逃れるように、俺たちは三人で初詣に向かうことにしたのだった。
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