クールで一途な白雪さん

SAKADO

文字の大きさ
41 / 103

四十話 たこ焼きうめぇ

しおりを挟む
 繭奈と笹山と一緒に加えて春波はるばと山襞の五人で祭りを回ることになった今、人混みによってはぐれたりしないかを気にしつつ、屋台で何を食べようかと物色していた。
 今はたこ焼きをはふはふと食べているところだ。
 そんな俺を春波がじっと見つめていた。

「どうしたの春波さん?」

「えっ?あっなんでもないよ、ごめんねジロジロ見ちゃって」

「いや別にいいけど……」

 見つめられていたことが気になって声をかけてみたのだが、彼女は顔を赤くして手をブンブンと振った。あんまり見つめられると恥ずかしいぞ。

「もしかして春波さんもたこ焼き欲しい?」

「えっ……」

 もしかしたら一つだけ食べてみたいと思ったのかもしれないとそう思って聞いてみた。
 そう何個も食べたいわけじゃないけど、ちょっと気になるみたいな。そういうことならシェアしても良いかなと思ったのだ。
 しかし彼女はきょとんとしてしまったので、別にそういう訳でもなかったのかもしれない。

「……あっいやその……うん」

 三秒ほど逡巡をした春波が、赤くなっていた顔をさらにくして頷く。
 まぁ確かにいきなり分けてくれだなんて、そんなことを言うなんて恥ずかしいよな。
 流石に二つ三つとはあげれないが、一つくらいならいいだろうと思い、串にたこ焼きを刺して彼女に差し出した。

「そっか、はい」

「えっえっ、いいの?ほんとに?」

「いいってば、けど熱いから気をつけてね」

 春波はおそるおそるといった様子でゆっくりとたこ焼きを ぁんっ!頬張る。だが熱かったようで、彼女は はふはふと口に手を添えていた。
 それを見ながら俺もまた一つたこ焼きを食べると、隣から来る視線に気が付いた。

「えっと、どうしたの?白雪さん?」

「なんでも……あるわね、見せつけられて困るってるのよ」

「あー、そりゃごめん」

 だってすごい食べたそうにしてたんだもん、気になっちゃうよ……とは思ったが、恋人まゆなの目の前でやることではなかったな。
 また後でフォローしよう、かわいいやつめ。

「んふふぅ、おいしっ♪」

 ちなみに春波は俺たちのやり取りを知らないままに、美味しそうにたこ焼きをモグモグしていた。っぱ可愛いな。

「むぅ、告美つぐみばっかり羨ましい……」

「まー蔵真の隣にいるのは春波ちゃんだし、しゃーないっしょ」

「……あとで私も告美に替わってもらおうかな」

 後ろで何やら笹山と山襞が話をしている。別に俺の隣なんて……と思ってしまうが、敢えて言うまい。山襞の言葉を聞いた笹山が ふぅん…と、何かを察していた。


 ​───────​───────​───────


 まさかまさかの展開!嬉しいな嬉しいな♪

 蔵真くんの隣にいるだけでも嬉しいのに、たこ焼きをあーんまでしてもらえるなんて、願ってもないことだった。
 もうこれ付き合ってるってことだよね?串っていう細い物ではあるけど、間接キスまでしてしまった。


 夏休みに入ってからというもの、中々彼と遊ぶことも出来なかった。そもそも私も山襞レナも勇気を持ってないせいで彼と連絡をとれず、やっとの思いで夏祭りという口実を得たものの、その誘いも先約があるとの事で断られてしまった。

 もしかして、蔵真の友達のはすくんが、その先約の相手かな?とも思ったのだけれど、その恋人である貝崎タカネが蓮くんと祭りを楽しむと聞いていたので、じゃあ誰が相手なんだろうと悩んでいた。

 もしかして彼女ができたのかなとか、嫌われてしまったのかなとか色々とネガティブな考えが過ぎってしまっていた。
 そもそも急だったのだし、彼にも予定はあるはずなのだから仕方ないかと思い、気を取り直して私とレナの二人で祭りを楽しもうと考えやってきた。

 そうしてレナと二人で歩いていると、見覚えのある背中が見えるではないか!しかも、私の好きな人の背中が!
 それに気が付いたのはレナも同じで、私たちはすぐに彼を追いかけてその肩を叩いた。 

 ここしばらく遊ぶことも喋ることもできなくて、ずっと会いたいと願っていた人と会えた喜びで私は今にも抱き着きたい気持ちでいっぱいになる。

 すでに私たちの眼中には彼しかおらず、先の断られたという出来事もすっかり頭から抜け落ちていた。 
 だから、その隣に誰かがいるかもしれないという事さえ、考えてもいなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...