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「二人の距離」
「二人の距離」
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おばあちゃんの形見のキーホルダーのおかげで二人の距離が少し縮まった次の日。
今日も如月は電車に揺られていた。
ー 如月今日も乗ってくるよな、ちょっと気まずいかも......
昨日の出来事を思い出し二駅後に乗ってくる一条に少し気まずさを感じていた。
そう考えているうちに電車が一条の最寄りに到着した。
ドアが開くと共に一条が乗り込んでくる。
如月の前に着くや否や一条は如月に声を掛けた。
「おはよう。」
「お、おはよう.....」
如月は気まずさを感じつつ言葉を返した。
一条が電車に乗ってから学校の最寄り駅に着くまでは学生や他の乗客がいるので話す事はなかった。
今日も一条の視線の先は如月だった。
電車が到着し一条が先に電車を降りた。
いつもなら先に歩き出していた一条が今日は如月を待っていた。
「一緒に行かない?」
「あ、うん.....」
二人は学校までの道を歩き出した。
「ねぇ、なんて呼んだらいい?」
一条はこの機会にもっと近付きたいと如月になんと呼べばいいか聞いた。
「......別に、なんでもいいけど......」
「じゃあ凪紗?」
如月は特に仲のいい友達がいた事がないので急に名前を呼ばれ驚いていた。
「な、凪紗......?......いいけど......」
ー 良かった、正直ダメだと言われるかと思った。
一条は心の中で喜んでいた。
「凪紗」
「......うん」
凪紗は驚きと共に初めて名前で呼ばれたことで少し嬉しくなっていた。
ー それなら俺も名前呼びの方がいいのかな......?
「玲王......?」
「......俺の名前知ってたんだ。」
ー 俺の名前呼んでくれた。嬉しい。
「そりゃ、あれだけ女子から騒ぎ立てられてれば知りたくなくても知ってるよ。」
「そっか、嬉しい。」
「嬉しいってそんな......普通の事だし......」
ー 嬉しいって恥ずかしいじゃん、なんか......
「そうだな、でも嬉しい。」
「......そ、うか、じゃあ、まぁいいや......」
如月の方が照れながら一条との会話をしていた。
気が付くともう学校に着いていた。
女子達は一条を見て朝から騒いでいた。
それぞれ下駄箱で靴を履き替え二人は教室に向かう。
「玲王、あの、俺ここだから......」
「そうだな、じゃまた。」
「じゃあまた......」
そう言い如月は教室へ入って行った。
それから二人はバラバラにそれぞれの学校生活を送っていた。
昼休みに入り如月はいつものように学食に向かった。
Bランチを注文し座れる場所を探そうと当たりを見回した。
多くの生徒達の中如月は少し先で席に着こうとしていた一条を見つけた。
一条もまた如月を見つけた。
互いに視線があったのを感じが如月はすぐさま視線をパッと逸らした。
一条は青木達と昼食をとる約束をしていた。
「青木ごめん俺ちょっと。」
ー 凪紗と一緒に居たい。
そう青木達に伝え一条は如月の方に向かった。
「凪紗、今から一生に食べない?」
「友達はいいの.....?」
「大丈夫、さっき断ったし。」
「じゃあ、いいけど.....」
ー 家族以外の誰かと食べるなんていつぶりだろう、ちょっと嬉しいかも.....
如月は久しぶりに家族以外の誰かとの食事に少し嬉しくなっていた。
「席ここでいい?」
一条は近くに空いていた席を見つけここでいいかと如月に聞いた。
「うん、どこでもいいよ。」
「座ろっか。凪紗、こっち。」
一条はそう言い如月の為に椅子を引いてくれた。
「え、あ、自分で出来る.....」
ー みんな見てる.....恥ずかしい.....
そう言いながらも一条は椅子を引いたままずっと如月を見ているので仕方がなく如月は席に着いた。
ー 恥ずかしい.....辞めてよ.....
周囲の人達は皆二人を見てコソコソと話をしていた。
「あ、ありがとう.....」
如月の中でお礼を言うことは基本中の基本だったので恥ずかしかったが如月は一条にありがとうと言った。
「うん。」
"いただきます"
二人同時に手を合わせ"いただきます"の声がした。
「凪紗偉いね。」
「え、玲王だって。」
一条は小さい頃から親から厳しく育てらていたので当たり前の事だった。
如月はおばあちゃんと一緒に暮らしていた時、おばあちゃんやお母さんが手を合わせいただきますと言っているのを見て自分も自然と出来ていた。
「いつも思ってけど凪紗って礼儀正しいよね。」
ー ちゃんと手を合わせてってところもだけどいつも偉いよな。
「そう、かな?自分では別にそう思わないけど.....」
ー 初めてそんなこと言われた気がするな、
「職員室に出入りする時とかちゃんと頭下げてるし先生には絶対敬語だし今だってちゃんと目を見て話したり。」
ー ちゃんと俺の目を見て話してくれてるの可愛い。
「そ、そんなの普通じゃん.....しかも玲王だってそうじゃん、」
「俺は普通だよ。凪紗は凄いよ。」
「は、う、ん....」
ー なんで玲王は毎回恥ずかしいことばっかり言うんだよ、しかも否定しても絶対もう一回言われるからもういいか、
如月は一条から発せられる言葉に驚かされることが多かった。
「ま、まぁ早くたべよっ、」
「そうだね」
その後二人は昼食を進めたわいのない会話をしていた。
「ごちそうさまでした。」
如月も一条に続いてごちそうさまと言い二人はそれぞれの分を食べ終えた。
「もう後五分しかないけど教室戻る?」
ー もうこんな時間かよ、
「もうそんな時間?戻るかな、」
ー こんなに時間経つのって早かったっけ?
「分かった。俺も一緒に教室戻ろうかな。」
「う、うん.....」
そう言い二人は教室に向かった。
「じゃあね、凪紗。」
「うん、またね。」
二人はそれぞれの教室に入っていった。
また二人はバラバラにそれぞれの時間を過ごす。
放課後になり如月は直ぐに教室を出て家に帰ろうと思っていた。
如月は帰る準備をして教室を出ようとしていた。
その時教室にいた女子達が騒いでいる声が聞こえてきた。
「まって、やばいかっこいいんだけど!なんで教室の前にいんのに!」
女子達の声が気になり如月は教室を見渡した。
すると教室のドアの前に一条が居た。
如月は不思議そうに一条の方を見た。
一条は如月に手で手招きする仕草を見せた。
如月は自分にされていると気づいたが恥ずかしさ故に少し下を向きながら一条が居る教室の外へ出た。
教室から聞こえてくる女子のヒソヒソ声に耐えられず如月は一条の手を引っ張り人気がない場所に一条を連れて行った。
「なに.....?」
ー 昨日からずっとこんな感じで恥ずかしいんだけど.....
「何って凪紗と一緒に帰りたいなと思って。」
ー なんでこんな所に連れてきたんだろ。
「恥ずかしいんだけど.....!!」
「なんで?」
「なんでってみんな見てたし.....!!」
「俺は凪紗しか見てないけど。」
「はっ.....!?ちがっ、そんなんじゃなくて!」
ー 恥ずかしいことをサラッと...!!なんなんだよ、
「ごめん。次から気をつける。」
ー 凪紗が嫌だったなら気をつけるか。
「ん、んまぁ、別にいいけど.....」
ー 俺の事好きって言ってたけどどう反応すればいいのかわかんない.....
「じゃあ帰ろっか?」
ー 凪紗と一緒に入れるならなんでもいいか。
「う、うん.....」
二人は下駄箱で靴を履き替え駅へと向かった。
駅に着くと二人は電車に乗りゆらゆらとゆられていた。
「俺今日このまま家帰るし気をつけてね。」
「あ、うん.....分かった。」
一条はアルバイトの予定がなくそのまま家に帰るという。
如月は小さく頷き返事をした。
一条の最寄り駅に着き電車のドアが開く。
「じゃあ、凪紗気おつけて。また明日。」
「うん、また明日。」
そう言い一条は電車を降りた。
電車がしまって動き出すまで一条はドアの後ろで如月を見ていた。
如月もドアの後ろの一条を見ていた。
一条の優しい表情に優しい目付き。如月はなぜか全身が熱くなっていた。
電車が動き出し一条の姿は見えなくなってしまった。
ー なんなんだよ一体、この気持ち.....心がムズムズする熱い。こんなの知らない。玲王が好き?そんなのないに決まってる。玲王に好きって言われたから自分の心は異常だ。おかしいに決まってる。そんなはずない。大丈夫。俺は玲王のことが好きなんじゃない!!
如月は一条が電車から降りた後、一条のことを考えていた。
ー 凪紗今日も可愛かったな。突然連れていかれたのはびっくりしたけどまぁ可愛かったな。
一条もまた如月が電車で行ってしまった後も如月のことを考えていた。
すれ違う二人。誰かに何を言われようと今はまだ変わらない。
明日の二人はどうなっていくのか······
今日も如月は電車に揺られていた。
ー 如月今日も乗ってくるよな、ちょっと気まずいかも......
昨日の出来事を思い出し二駅後に乗ってくる一条に少し気まずさを感じていた。
そう考えているうちに電車が一条の最寄りに到着した。
ドアが開くと共に一条が乗り込んでくる。
如月の前に着くや否や一条は如月に声を掛けた。
「おはよう。」
「お、おはよう.....」
如月は気まずさを感じつつ言葉を返した。
一条が電車に乗ってから学校の最寄り駅に着くまでは学生や他の乗客がいるので話す事はなかった。
今日も一条の視線の先は如月だった。
電車が到着し一条が先に電車を降りた。
いつもなら先に歩き出していた一条が今日は如月を待っていた。
「一緒に行かない?」
「あ、うん.....」
二人は学校までの道を歩き出した。
「ねぇ、なんて呼んだらいい?」
一条はこの機会にもっと近付きたいと如月になんと呼べばいいか聞いた。
「......別に、なんでもいいけど......」
「じゃあ凪紗?」
如月は特に仲のいい友達がいた事がないので急に名前を呼ばれ驚いていた。
「な、凪紗......?......いいけど......」
ー 良かった、正直ダメだと言われるかと思った。
一条は心の中で喜んでいた。
「凪紗」
「......うん」
凪紗は驚きと共に初めて名前で呼ばれたことで少し嬉しくなっていた。
ー それなら俺も名前呼びの方がいいのかな......?
「玲王......?」
「......俺の名前知ってたんだ。」
ー 俺の名前呼んでくれた。嬉しい。
「そりゃ、あれだけ女子から騒ぎ立てられてれば知りたくなくても知ってるよ。」
「そっか、嬉しい。」
「嬉しいってそんな......普通の事だし......」
ー 嬉しいって恥ずかしいじゃん、なんか......
「そうだな、でも嬉しい。」
「......そ、うか、じゃあ、まぁいいや......」
如月の方が照れながら一条との会話をしていた。
気が付くともう学校に着いていた。
女子達は一条を見て朝から騒いでいた。
それぞれ下駄箱で靴を履き替え二人は教室に向かう。
「玲王、あの、俺ここだから......」
「そうだな、じゃまた。」
「じゃあまた......」
そう言い如月は教室へ入って行った。
それから二人はバラバラにそれぞれの学校生活を送っていた。
昼休みに入り如月はいつものように学食に向かった。
Bランチを注文し座れる場所を探そうと当たりを見回した。
多くの生徒達の中如月は少し先で席に着こうとしていた一条を見つけた。
一条もまた如月を見つけた。
互いに視線があったのを感じが如月はすぐさま視線をパッと逸らした。
一条は青木達と昼食をとる約束をしていた。
「青木ごめん俺ちょっと。」
ー 凪紗と一緒に居たい。
そう青木達に伝え一条は如月の方に向かった。
「凪紗、今から一生に食べない?」
「友達はいいの.....?」
「大丈夫、さっき断ったし。」
「じゃあ、いいけど.....」
ー 家族以外の誰かと食べるなんていつぶりだろう、ちょっと嬉しいかも.....
如月は久しぶりに家族以外の誰かとの食事に少し嬉しくなっていた。
「席ここでいい?」
一条は近くに空いていた席を見つけここでいいかと如月に聞いた。
「うん、どこでもいいよ。」
「座ろっか。凪紗、こっち。」
一条はそう言い如月の為に椅子を引いてくれた。
「え、あ、自分で出来る.....」
ー みんな見てる.....恥ずかしい.....
そう言いながらも一条は椅子を引いたままずっと如月を見ているので仕方がなく如月は席に着いた。
ー 恥ずかしい.....辞めてよ.....
周囲の人達は皆二人を見てコソコソと話をしていた。
「あ、ありがとう.....」
如月の中でお礼を言うことは基本中の基本だったので恥ずかしかったが如月は一条にありがとうと言った。
「うん。」
"いただきます"
二人同時に手を合わせ"いただきます"の声がした。
「凪紗偉いね。」
「え、玲王だって。」
一条は小さい頃から親から厳しく育てらていたので当たり前の事だった。
如月はおばあちゃんと一緒に暮らしていた時、おばあちゃんやお母さんが手を合わせいただきますと言っているのを見て自分も自然と出来ていた。
「いつも思ってけど凪紗って礼儀正しいよね。」
ー ちゃんと手を合わせてってところもだけどいつも偉いよな。
「そう、かな?自分では別にそう思わないけど.....」
ー 初めてそんなこと言われた気がするな、
「職員室に出入りする時とかちゃんと頭下げてるし先生には絶対敬語だし今だってちゃんと目を見て話したり。」
ー ちゃんと俺の目を見て話してくれてるの可愛い。
「そ、そんなの普通じゃん.....しかも玲王だってそうじゃん、」
「俺は普通だよ。凪紗は凄いよ。」
「は、う、ん....」
ー なんで玲王は毎回恥ずかしいことばっかり言うんだよ、しかも否定しても絶対もう一回言われるからもういいか、
如月は一条から発せられる言葉に驚かされることが多かった。
「ま、まぁ早くたべよっ、」
「そうだね」
その後二人は昼食を進めたわいのない会話をしていた。
「ごちそうさまでした。」
如月も一条に続いてごちそうさまと言い二人はそれぞれの分を食べ終えた。
「もう後五分しかないけど教室戻る?」
ー もうこんな時間かよ、
「もうそんな時間?戻るかな、」
ー こんなに時間経つのって早かったっけ?
「分かった。俺も一緒に教室戻ろうかな。」
「う、うん.....」
そう言い二人は教室に向かった。
「じゃあね、凪紗。」
「うん、またね。」
二人はそれぞれの教室に入っていった。
また二人はバラバラにそれぞれの時間を過ごす。
放課後になり如月は直ぐに教室を出て家に帰ろうと思っていた。
如月は帰る準備をして教室を出ようとしていた。
その時教室にいた女子達が騒いでいる声が聞こえてきた。
「まって、やばいかっこいいんだけど!なんで教室の前にいんのに!」
女子達の声が気になり如月は教室を見渡した。
すると教室のドアの前に一条が居た。
如月は不思議そうに一条の方を見た。
一条は如月に手で手招きする仕草を見せた。
如月は自分にされていると気づいたが恥ずかしさ故に少し下を向きながら一条が居る教室の外へ出た。
教室から聞こえてくる女子のヒソヒソ声に耐えられず如月は一条の手を引っ張り人気がない場所に一条を連れて行った。
「なに.....?」
ー 昨日からずっとこんな感じで恥ずかしいんだけど.....
「何って凪紗と一緒に帰りたいなと思って。」
ー なんでこんな所に連れてきたんだろ。
「恥ずかしいんだけど.....!!」
「なんで?」
「なんでってみんな見てたし.....!!」
「俺は凪紗しか見てないけど。」
「はっ.....!?ちがっ、そんなんじゃなくて!」
ー 恥ずかしいことをサラッと...!!なんなんだよ、
「ごめん。次から気をつける。」
ー 凪紗が嫌だったなら気をつけるか。
「ん、んまぁ、別にいいけど.....」
ー 俺の事好きって言ってたけどどう反応すればいいのかわかんない.....
「じゃあ帰ろっか?」
ー 凪紗と一緒に入れるならなんでもいいか。
「う、うん.....」
二人は下駄箱で靴を履き替え駅へと向かった。
駅に着くと二人は電車に乗りゆらゆらとゆられていた。
「俺今日このまま家帰るし気をつけてね。」
「あ、うん.....分かった。」
一条はアルバイトの予定がなくそのまま家に帰るという。
如月は小さく頷き返事をした。
一条の最寄り駅に着き電車のドアが開く。
「じゃあ、凪紗気おつけて。また明日。」
「うん、また明日。」
そう言い一条は電車を降りた。
電車がしまって動き出すまで一条はドアの後ろで如月を見ていた。
如月もドアの後ろの一条を見ていた。
一条の優しい表情に優しい目付き。如月はなぜか全身が熱くなっていた。
電車が動き出し一条の姿は見えなくなってしまった。
ー なんなんだよ一体、この気持ち.....心がムズムズする熱い。こんなの知らない。玲王が好き?そんなのないに決まってる。玲王に好きって言われたから自分の心は異常だ。おかしいに決まってる。そんなはずない。大丈夫。俺は玲王のことが好きなんじゃない!!
如月は一条が電車から降りた後、一条のことを考えていた。
ー 凪紗今日も可愛かったな。突然連れていかれたのはびっくりしたけどまぁ可愛かったな。
一条もまた如月が電車で行ってしまった後も如月のことを考えていた。
すれ違う二人。誰かに何を言われようと今はまだ変わらない。
明日の二人はどうなっていくのか······
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