この世界では相当に無力な私を、誰か貰って下さい。

武林 茜

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2 ここに来る前は

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28歳女性、独身、彼氏なし、趣味は特に無し。

中小企業の正社員として働き、仕事よりも周りの人間関係に疲労し、屍のような日々を過ごしていたのが私。

今日も満員電車に乗り、重い足取りで会社に向かっていた。

「本当に、つまらないな。」

独り言を言っても、私の横を早足で抜けていく人達には届かない。

首を上げて、久しぶりに空を見た。

「今日って、快晴なんだ。雲一つない。」

天気予報なんて中々、観れてないからな。

家に帰れば、お風呂に入ってすぐに寝て体を少しは労るようにしていた。

「うん、頑張るか。」

自分に対する呪文を呟いた瞬間、地面が光り私の視界は真っ白になった。

それが、日本で過ごした最後の記憶。
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