月の国

ホムラ

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96 決意

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「なぜ私だったのでしょうか?」

サヤーカ嬢は、レモネードに率直に聞いてみた。

「そうですね。本当は、ここにあなたを呼んで、2人だけで伝えようかなとも思ったのです。
 でも、やはり、獣人族が沢山いるあの場所で言うべきだと考え直しました。
 どうして、あなただったのか?
 あなたは、誰に対しても公平です。
 そして、冷静です。
 一体全体どこでそんな訓練を受けたのかと思いました。
 そして、まるで最初から知っていたかのような金銭感覚だと思いました。
 私は、金銭の感覚には本当に弱いのです。
 あまりにもお金に対して無頓着に生きてきました。
 助けてもらいたいという気持ちがありました。」

今は、魔女王の部屋で2人きりで話している。
ブルームは、自分の部屋で過ごしている。

「そうでしたか。」

サヤーカ嬢は、レモネードの正直な気持ちに嬉しくなった。

「サヤーカ嬢は、獣人族です。
 獣人族は、知っての通り魔法が使えないですね。
 サヤーカ嬢のようなどんな言語も読み書きが出来るという特殊な能力が誰でもある訳ではありません。」

そう、獣人族は、力が強い、足が速い、などの能力があるものも沢山いるが、特殊な能力がないものもいる。

「知っての通りに獣人族には、保育士、介護士、馬車、魔獣車、農業などの仕事についていて、お給料が少ない物たちが沢山いますね。
 みんな生活がギリギリだったりします。
 仕事内容とお給料が見合っていないのです。」

そこまで、レモネードは考えてくれていたのかとサヤーカ嬢は感動していた。
現実が厳しいのだ。

「獣人族出身者もお給料の賃上げを考えなければなりません。
 真面目に働いているものたちが、損をしてはなりません」

「はい。その通りです」

ああ、レモネード様は、本当にまっすぐな人だ。

「ギルドで、あなたがお仕事中なのにあんな形で伝えたことは謝ります。
 しかし、獣人族に元気になってもらいたかったのです。
 希望を持ってもらうためには、ああいう手段を取りました。」

「そうだったのですね。獣人族たちは、本当に希望を持てたと思います」

「魔法王国全てを変えることは、正直とても困難でしょう。
 しかし、長い時間をかければ、獣人族にも他の種族と同じように賃金を上げて、生活のレベルを上げることは出来ると信じています。
 そうすることで、世の中がガラっと変わるのではないかと思います。
 サヤーカ嬢と私で、北の魔女王国から変えていきたいのです」

「レモネード様、本当にありがとうございます。
 獣人族のことを親身になって考えてくださったお気持ちが嬉しいです。
 私は、真剣にこれからどうしたらいいのかを考えてみます。」

「私達は、沢山の人にこれから助けて貰って、北の王国の発展に努めなければなりません。
 サヤーカ嬢には、私と一緒に生きてほしいのです。
 これから、困難な道が待っているかもしれませんが、助けてほしいのです。」

この15歳の少女はすごいなと思っていた。
世界を見ているのだ。
サヤーカ嬢が、第2の人生、この人と歩んでみようと決意した瞬間である。

「はい。これから一緒に頑張ってこの国を良い国にしていきましょう。
 レモネード様、よろしくお願いいたします」

二人は、見つめあって深く頷いた。

「しかし、ブルームさんが、かなりショックを受けられていたようですが、大丈夫でしょうか?」

しょんぼりしているブルームをサヤーカ嬢は心配していた。

「大丈夫です。ブルームなら大丈夫です」

クスクスっとレモネードは、かわいらしい声で笑った。
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