光の戦車と黄金皇帝 〜秘密の妃は素直じゃない

有馬 礼

文字の大きさ
24 / 32
第3章 光の戦車は素直じゃない

5 分かち難く溶けあわせたら※

しおりを挟む
「しかし、だ」

 王太子は立ち上がるとレイフの隣に掛ける。

「レイフにはいつでも触れていいということだな?」

「なんで?」

「これ以上ややこしいことを言うな。頼むからちょっと黙っていてくれ」

「訊いといて? っん」

 王太子はレイフを黙らせる。物理的に口を塞いで。
 レイフを引き寄せると、膝の上に向かい合わせに座らせる。
 王太子の手が服の上から太ももを撫でる。背骨の一番下が痺れて、背中がしなる。そのまま王太子の手は、腰のラインを撫であげて胸に触れる。

「んぅっ、んっ、んっ」

 身体に力が入らなくなる。レイフは王太子の首に両腕を回して体重を預ける。王太子は空いている腕をレイフの背中に回してしっかりと支える。
 くちづけながら、形を確かめるように、包みこむように、優しく触れられていると、切なくて、身体がもっと触れてほしいと王太子をねだりはじめる。

「あ、はっ、さわって、もっと…おねがい…」

 レイフは潤んだ目で、くちづけの合間に言う。

「可愛いことを。レイフ…」

 王太子はレイフの首筋をきつく吸い上げ、舌を這わせる。

「あっ、ああっ」

 耳朶を軽く噛むとレイフの身体が跳ね上がる。王太子の手が、ドレスのボタンをするすると外していく。貴族たちが着ているような豪華なドレスではないので、すぐにレイフの肌があらわになっていく。

「待って、アールト…ここじゃ、やだ…」

 レイフは真っ赤な顔で懇願する。逆にすぐさま押し倒したくなるが、堪える。

「可愛いな、レイフは。可愛くてややこしい私の妻」

 レイフがするりと膝から降りてしまったのをもう一度捕まえて、横抱きにして立ち上がる。
 廊下を早足で進んで寝室に入ると、ベッドにレイフを横たえながら覆い被さるようにくちづける。左手でレイフの手を取って、右手だけで残ったボタンを外していく。

「あ、待って。待って、アールト」

 はだけた胸元に唇を移した王太子に、レイフは焦った様子で静止をかける。

「なんだ。まだ何かあるのか」

 目を閉じてくちづけながら王太子が言う。

「お湯を…使いたいんだけど」

 レイフは王太子の肩を押して甘やかな拘束から逃れようとするが、やはりびくともしない。

「ああ、わかった。…後でな」

「えっ!?」

 王太子は器用にするりとドレスを脱がせる。どうすればいいか戸惑っている間に、レイフを包んでいた布は全て取り去られてしまった。
 改めて抱きしめられてくちづけられる。王太子はまだ服を着たままなのに、自分だけが裸でいることが羞恥を煽る。

「私だけ裸で…なんか、嫌だ」

 レイフは身を縮こまらせる。

「ふふ、レイフは寂しがりやだな」

「そんなんじゃ…!」

 王太子は身体を離すとレイフに背を向けてベッドの縁に腰掛け、上着を脱いでいく。均整の取れた無駄のない背中が現れる。レイフも身体を起こすと膝立ちになって、背中から王太子に抱きつき、身体を押しつける。首筋に顔をうずめると、王太子の匂いがした。身体がざわめく。
 王太子は驚いて目だけでレイフを振り返る。

「可愛いな、レイフは」

 下穿きを脱ぐと、王太子は振り返ってレイフの腰を抱き寄せ、目の前の胸を食べる。

「きゃっ、あ、ん、んん、あ…ふ」

 身体を支えようとして王太子に縋りつくと、胸を差し出すような格好になってしまう。王太子の大きくて温かい手のひらが、するりとレイフの腰を撫でる。

「きゃうっ」

 痺れが溜まっているところに触れられて、悲鳴じみた声を上げる。
 背中をくまなく撫でられると、その手の動きに反応して身体がビクビク跳ねる。その間も王太子の唇はレイフの胸を食んでいる。抑えようもなく甘い声が上がる。
 背中を撫でていた手が内腿に移動する。敏感な場所が、王太子の指の感触を求めて、じくじくと疼く。だが、指は内腿や臀部を撫でさするばかりで、肝心なところに触れてくれない。

「んん」

 焦れったさに耐えかねて腰が揺れる。

「ふふ、腰が動いている。レイフは本当に可愛らしいな。…ほしいのか?」

 レイフは真っ赤な、泣き出しそうな顔で小さく頷く。レイフがこれ以上の駆け引きを余裕を持って楽しめるタイプではないということがわかっている王太子は、求められているとおりのものをすぐに与える。

「あああああっ」

 待ち焦がれて疼いていたところに求めていた刺激が与えられて、レイフは叫び声に近い嬌声を上げる。

「ああっ、あ、あ…っ!」

 レイフの背中がうっすらと汗をかき始める。

「感じているか?」

 レイフはぎゅっと目を瞑り、唇を固く引き結んで何度も頷く。くちゅくちゅと水音がして、腰が蕩ける。

「こうしていると顔が見えない。言葉で教えてくれ」

「あ…気持ち、いい…っ、アールト、アールト、っあああ!」

 王太子の指に触れているレイフの入り口が何度もぎゅっと締まり、達したのがわかった。

「あ、はぁっ、はぁっ…」

 力が抜けて座りこもうとするレイフを支える。王太子は身体の向きを変えてもう一度向かい合うと、レイフを膝の上に引き寄せる。硬くそり返ってレイフの中に入れてほしいと涙を流しているそれは、手を添える必要もなく、レイフの中に潜りこんでいく。

「あ、ああああっ」

 レイフが少し苦しそうな声を上げ、のけぞる。

「レイフ、レイフ…!」

 必死で愛しい者の名前を呼ぶ。温かくうねるそこに入りこんだだけで達してしまいそうになるのを堪えて、縋りつくようにかき抱く。

「アールト、好き…っ、好き…あああっ」

 身体の一番奥に触れられたことがわかって、レイフは悲鳴を上げる。

「レイフ、レイフ愛している…私が、もし…」

 王太子はレイフの首筋にくちづけ、肩を甘噛みする。その度にレイフの中がきゅっと締めつけてくる。

「アールト…あ、あ…っ」

 レイフが腰を揺らすように動かす。王太子は自分の首にレイフの両腕を回させて、腰の動きを邪魔しないように背中の高い位置に腕を回して身体を密着させる。拙い動きが焦れったくてたまらない。耳元にレイフの熱い息がかかる。
 王太子は焦れったさにしばらく耐えていたが、我慢できずにレイフを横たえ、これまでの焦れったさを取り返すように動く。
 レイフは寂しくて、王太子に手を伸ばす。

「アールト、やだ…っ、ぎゅっとしてて…ほしい…」

 王太子ははっとしてレイフの顔を見ると、柔らかく笑った。レイフの心臓がどきりと跳ね上がる。
 レイフが求めるとおりに、王太子はレイフを抱きしめて唇を重ねる。このまま溶けあってしまえたらいいのに、とレイフは思う。魂を分かち難く溶けあわせてしまえば、この身が朽ちた後も、ずっと一緒にいられる。

「レイフ、愛している、私の光…」

 王太子は動きを早める。

「あっ、ああっ、あ、う…そこ、きちゃ…う、ああああっ!」

 王太子の動きにレイフは絶頂に追い上げられる。
 小さな呻き声とともに王太子が身体を震わせてレイフの中に精を放つ。2人は、荒く息をつきながら唇を触れあわせる。

「愛してる、アールト…」

「お願いだ、戻ってきてくれ、私の光」

 王太子はレイフの目をまっすぐに見つめて言う。

「今そう言われたら、嫌だって言えないじゃないかよ…」

「だから言っている」

「やり方が汚えな。びっくりするくらい汚い」

「使える手は躊躇わず全て使う汚さがなければ、王は務まらないのさ」

 王太子はニヤリと笑ってレイフにくちづける。

「…なんて奴だ」

 レイフは笑う。

「じゃあ、私が王宮に行くときは王太子宮に泊まる。これでいいだろ」

「では、10日に一度は王宮に来い」

「何のために?」

「そんなもの。シェル将軍と会議か訓練でもすればいいだろう」

「なんで10日に1回も地獄の執政官に会わなきゃならないんだ」

「贅沢を言うな。私に会うという名目では来てくれないのだろう、どうせ」

 王太子は恨みのこもった目で言う。

「なんで怒るんだよ」

「怒ってなどいない」

 王太子はレイフをもう一度抱きしめると、肩を甘噛みする。レイフの中が再びきゅっと締まって追い出される。

「拗ねているだけだ。わかれ」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...