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梅の思念7
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服を整え、干からびた食べ残しをひょいとそれを担ぐ。その時いつもと違う事に気が付く。とても体が軽いのだ。
今得た栄養が余程良かったんだろうか。これからはこういう栄養状態がいいモノを餌にした方がいいかもしれない。
そんな事を思いながら温室に向かい、食べ残しを地面におろす、指先を見るとお花の種がもう出来ていた。やはり栄養化って大事なのね。そんな事を考えていると
「うわ……ああ……あ……あ!」
という掠れた声がした。まさか? と思ったが声の主はやはり菫太郎だった。
「まだ生きてたなんて凄いですね、やっぱり御曹司ともなると身体の栄養状態がいいのかしら」
今までのモノは養分を残したとしても既に息絶えていた、素直に讃辞を送ったつもりだったのだが、干からびたその顔でもわかるほど恐怖に満ちていた。
「お……ま……なん……なだ……よ……」
掠れたうめき声の様なものしか聞こえないが。恐らく私が何なのかと聞いているのだろう。
「私は私、阿賀梅子ですよ」
その時、指先の種が疼くのを感じる。ふと見るとお花の種がもう一つなっていた。
栄養価が高いとこんな風になるのねと感心する。
ふと、温室の奥に人の気配を感じた。誰かいるのかしら?
「ちょっと待っててくださいね」
気配を感じたあたりに来たが誰もいない。気のせいだったのかしら?
それよりも早く菫太郎をお花にしないとね、歩きながら一つ種を取る。と同時に身体から先ほど得た養分の半分を取られたような感覚になる。
今までこんなことは無かったのだけれど……。何なのかしら?
それにこのもう一つの種はどうすれば? 取っておけるのかしら?
「くっ……」
また飢えが私を襲ってくる。なんなの? さっき食べたばかりなのに……ああ、この後また餌を探しに行かなければ。いらいらしながら種をもって菫太郎の所に戻り無言で彼の口に種を突っ込む。
「あなたの栄養が良いみたいだから、お花が咲くかも。良かったね」
そう言った次の瞬間、彼の身体から芽が生えてくる。根が身体に食い込んでいく。
「あ……が……」
絡みつく植物に残った栄養を吸い取られて、もうほとんど草に埋もれてしまった手を握ると。
「さようなら菫太郎さん」
最後の挨拶をする。完全に植物化した彼の身体から可憐な花が咲く
「綺麗……これは菫ね」
この不誠実な男には不似合いなお花だわ。けれどこんな可愛いものに生まれ変われて彼もきっと嬉しいだろう。
そんな事を考えていたら背後から聞きなれた声がした。
「梅子……」
振り向くとお姉様が般若の様な顔で立っていた。
今得た栄養が余程良かったんだろうか。これからはこういう栄養状態がいいモノを餌にした方がいいかもしれない。
そんな事を思いながら温室に向かい、食べ残しを地面におろす、指先を見るとお花の種がもう出来ていた。やはり栄養化って大事なのね。そんな事を考えていると
「うわ……ああ……あ……あ!」
という掠れた声がした。まさか? と思ったが声の主はやはり菫太郎だった。
「まだ生きてたなんて凄いですね、やっぱり御曹司ともなると身体の栄養状態がいいのかしら」
今までのモノは養分を残したとしても既に息絶えていた、素直に讃辞を送ったつもりだったのだが、干からびたその顔でもわかるほど恐怖に満ちていた。
「お……ま……なん……なだ……よ……」
掠れたうめき声の様なものしか聞こえないが。恐らく私が何なのかと聞いているのだろう。
「私は私、阿賀梅子ですよ」
その時、指先の種が疼くのを感じる。ふと見るとお花の種がもう一つなっていた。
栄養価が高いとこんな風になるのねと感心する。
ふと、温室の奥に人の気配を感じた。誰かいるのかしら?
「ちょっと待っててくださいね」
気配を感じたあたりに来たが誰もいない。気のせいだったのかしら?
それよりも早く菫太郎をお花にしないとね、歩きながら一つ種を取る。と同時に身体から先ほど得た養分の半分を取られたような感覚になる。
今までこんなことは無かったのだけれど……。何なのかしら?
それにこのもう一つの種はどうすれば? 取っておけるのかしら?
「くっ……」
また飢えが私を襲ってくる。なんなの? さっき食べたばかりなのに……ああ、この後また餌を探しに行かなければ。いらいらしながら種をもって菫太郎の所に戻り無言で彼の口に種を突っ込む。
「あなたの栄養が良いみたいだから、お花が咲くかも。良かったね」
そう言った次の瞬間、彼の身体から芽が生えてくる。根が身体に食い込んでいく。
「あ……が……」
絡みつく植物に残った栄養を吸い取られて、もうほとんど草に埋もれてしまった手を握ると。
「さようなら菫太郎さん」
最後の挨拶をする。完全に植物化した彼の身体から可憐な花が咲く
「綺麗……これは菫ね」
この不誠実な男には不似合いなお花だわ。けれどこんな可愛いものに生まれ変われて彼もきっと嬉しいだろう。
そんな事を考えていたら背後から聞きなれた声がした。
「梅子……」
振り向くとお姉様が般若の様な顔で立っていた。
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