5 / 9
クラインの壷の内側
しおりを挟む
三
この世には、犯した罪が綺麗まっさらになる免罪符もなければ、救いの光の蜘蛛の糸も存在しない。それはわかっていた。神は百三十年も前に死んでいたし、解脱などもできずに輪廻をさまようのだとも、浅薄にではあるけれど覚悟していた。
それなのに、今目の前には、教科書の何十枚かのページを開いた先に、大豆インクのカラーで載る、あの閻魔大王が、いる。いよいよ夢か現実か判然としない。
「ちょっと!・・・・待ってもらえませんか?・・・・人生の審査って、何をいっているのか分からないのですけれど」
止まりそうな思考を、誰かが掻き立てる。だけれども、ニューロンの結合は全く促されない。
「たった一言も理解できないとは———貴様は、どれだけ頭が悪いのか」
たしかに、私の頭はそれほど良くはないと自負してはいる。IQもEQもきっと平凡な数値しか出る筈がない。偏差値だってそうだったのだから。
しかし、そんな凡夫な私の思考でも、その言葉が理解できていないというよりは、聞き取れなかった。もしくは、一体何を指して、そういっているのかが分からない、ということであったんだ。
「では何故理解できない」
御尤もであるとも思う。だけれども、わからないことはそれ以上わからないのだ。
「・・・・とりあえず何の審査か、もう一回教えて下さい」
「仕方がない。頭の弱い貴様のために、特別にもう一度教えてやろう」
ため息交じりのその声は、くだらない自尊心と、見栄や虚栄で溢れた大人のそれそのものだ。
平静でいられない環境で、すんなりと状況を飲み込めてしまう方がおかしいのではないだろうか。
「いいか、よく聞け。これより行うのは木更津未来、貴様の人生の審査。この審査により、貴様の死後が決まるのだ」
先ほどと変哲のない返答だった。でも、それが分からないのだ。わからないことがわからないというものでは決してなく、この暖簾に腕押しのような回答は、まさにテレビの向こう側のそれだった。
「だから、どういうことですか」
「言葉通りだ。何度も同じことを言わせるな」
言葉通り、か。そんなような表現も、年を召された民放で聞いたような気もしないでもない。そんな既視感にも似た退屈な感情が湧いてくる。
ただその一方で、閻魔大王が本当にいるという事と、審査、という聴きなれない言葉が思考をさらに鈍らせた。
「なにその冗談、全然面白くないよ」
逃避にも似た言の葉は、あどけない成長した少女を装って発せられるも、その笑いの中には一つの笑顔も介在していない。
「冗談?冗談など言う必要がない。そんなことを言うのは下等な人間だけだ」
なんとも言えぬ納得のような感覚もあった。確かに、冗談といったものは兎角他者に誤解を与えるばかりであること知っていたからだ。昔、友達に何気なく言った言葉が、それ以降一切口をきけぬようになってしまったトリガーであったことも、きっと今の人格を形成した要因の一つだろう。
「じゃあ、もう私は・・・・」
意図せずとも、人を傷つけてしまった私なんか、確かにこうして死んでしまっても、仕方がなかったのか。
そう思ってしまった瞬間、えも言われぬ喪失感と慄然とした嫌悪が、嗚咽と共に咽喉を逆流して私に刺さった。
そうしている間、寂寥とした空気はひどく閑静なようだった。向こうは一言も話さない。信じることのできない況やサイエンスフィクションのようなお託けが、あっという間に終結した人生の何倍もの長さに感じていた。でも実際には、ほんのわずかの間であったことはこの時知る由もない。
「人間にしては、よく理解したではないか。では、早速取り掛かる。」
理解したといえば嘘になる。受け入れることも、まだできていない。だけれども、そうメタ認知している上では、きっとそう見て取れるのかもしれないな。
この落ち着いた、虚無感にも似た感覚。思考が明瞭になると引き換えにして、心の隙間から何かが抜け落ちたような白い感覚が私を覆う。
「ねえ」
感情のない声で呼びかけた。
「審査って、一体何をするの」
審査なんて入試でもなかったのだから、そもそもの元をまず知らないのだ。それなに、いきなり人生の審査なんて。
私は、生きている間に何をしただろう。そもそも、何のために生きていたのか。そんなこと聞かれてしまっては、何も答えることがない。
例えば、もしこの審査とやらで天国か地獄へ行くのが決まるとしたら。きっと私は天国行きになれる理由なんてないと思う。でも、もちろん地獄に落とされるほど悪いこともやっていない。
だから、この審査で決まるということに、えも言えぬ恐怖に似た感情を抱いているのだと思う。
「審査? 何、簡単なことだ。」
本当だろうか。簡単というものほど、実は難しい。簡単とは誰にとって、どんな基準でなのだろう。せめて、私にとってであってほしいものだと、気がつけば勝手に祈っていた。だが、そんな対象のない祈りなど、無意味に等しかったと、すぐに悟る。
「閻魔大王と話すこと。それが審査だ。」
突然、街中で知らない人からお金を手渡されたような、そんな気分だった。
手放しで喜んでも、緊張の糸を切り離しても、もう良さそうな言葉が、私の中の気分をさらに悪くさせる。
放す?離す、ハナス・・・・。いや、そうではないことはわかっているけれども、なんと言えばいいか、混乱に似た黒い感情がひしめいていた。それでも、何故かは判然としないけれど、府には落ちていたのが、一層黒さを増していく。
「後々言われても面倒だ。他に聞いておきたいことはないか?」
そんな、突然言われても何を聞けばいいのか、一体今何がわからないのかすら、わからない。だから仕方がなく、
「うん、でも今はまだ頭の中を整理できてない」
そう答えた。
我ながらひどい言葉だ。
そこに含有される意味は、きっと薄っペラい人生と同じような重さだけだ。
「そうか、では暫し待たれよ。これから閻魔大王を呼んでくる」
“わかった“
机の上に置かれた宿題のプリントが、何気なくついたため息でひらひらと舞い落ちる。そんな日常のように返事をしそうになった。
これまでに思考のアイドリングをしていなければ、多分十中八九言ってしまっていただろう。でも、そんな気にはなれなかった。散らばったピースがまとまるのでもなく、さらに荒らされてしまう。だから、
「あなた・・・・閻魔大王様じゃないの?」
唇を震わせながら、そう発した。
真実とは、常に事実の断片でしかないと、誰かが言っていた。それを何度も私に言い聞かせていたのにも関わらず、そんなことも飛んでしまっていたんだ。
「あ? 何を勘違いしている。私はただの閻魔大王様の代理補佐だ」
代理補佐・・・・?
聞き慣れない言葉を探そうと、要領の悪い脳が躍起になって検索をかけている。それでも、出てくるのは検索結果なしの文字だけだ。それよりも。
「——その格好で閻魔様をじゃないの」
どうしたって聞かざるを得まい。
「何だ、文句あるのか」
「だって、その格好で、そんな冠して、そんな笏持ってたら、誰だって閻魔様だて思うでしょ!? 何代理補佐って! 意味わかんない!」
無い胸の中で燻っていた感情のようなものが、煙のように溢れてしまった。
「おい、貴様」
その剣幕は、私のものを一瞬で撲殺した。
「——それ以上喋ったら殺すぞ」
もうすでに解放されたはずなのに、私はまだ、死という恐怖から逃れられていないことを、この時改めて実感する。悠玄とした無限にも思えたその時間は、ほんのわずかも陰りを見せることなく、あっけない幕切れを迎えてしまったんだ。何を思っても、もう遅いのだと感じることが、本当に切ないとか悲しいとかの感情よりも、空虚なものだったという事も解ってしまった。
「では、閻魔大王様を呼んでくる」
思考の切れ間に、低い声が流れ込んでくる。
そう言い残して、あの閻魔のような閻魔でない物体は、古い私の部屋のドアを開けてどこかへ出て行った。
時計の針は未だ時を指し示していない。
閻魔の代理補佐というあのひとが出ていくと、異様に静かな空間になった。ここは私の部屋なのに私の部屋じゃないことは、火を見るよりも明らかである。
ふと、光らないスマホの画面が目に入った。昨日、寝る前、いやまだ生きていた頃、最後は何していただろうか。ツイッターで誰かの彼氏の話を見ていただろうか。フェイスブックでは、誰かが誕生日だった気がした。ラインの通知も、もう何十件もたまっていた気もしないでもない————。
「死にたいな」
今日もまた聞こえてくる。このところ聞こえない日は全くないようだ。はじめは一日ごとだったか、時たま聞こえる程度だったと思う。だがひを重ねるごとに、数時間ごと数分ごとと、その間隔が段々と私を圧迫し、脅迫し、短くなってきた。それが一体誰かの声なのか、いやそれとも幻聴なのか、もしくは記憶だったのか、それすらも判別できなくなってきそうだった。クラインの壺の中にいるかのようだ。そして反響する声が再びと届いてきてしまったところで、私はようやく一種の答えのようなものに気がついたのだ。
その忌々しい主が、紛れもない私自身の声だったということに。
この世には、犯した罪が綺麗まっさらになる免罪符もなければ、救いの光の蜘蛛の糸も存在しない。それはわかっていた。神は百三十年も前に死んでいたし、解脱などもできずに輪廻をさまようのだとも、浅薄にではあるけれど覚悟していた。
それなのに、今目の前には、教科書の何十枚かのページを開いた先に、大豆インクのカラーで載る、あの閻魔大王が、いる。いよいよ夢か現実か判然としない。
「ちょっと!・・・・待ってもらえませんか?・・・・人生の審査って、何をいっているのか分からないのですけれど」
止まりそうな思考を、誰かが掻き立てる。だけれども、ニューロンの結合は全く促されない。
「たった一言も理解できないとは———貴様は、どれだけ頭が悪いのか」
たしかに、私の頭はそれほど良くはないと自負してはいる。IQもEQもきっと平凡な数値しか出る筈がない。偏差値だってそうだったのだから。
しかし、そんな凡夫な私の思考でも、その言葉が理解できていないというよりは、聞き取れなかった。もしくは、一体何を指して、そういっているのかが分からない、ということであったんだ。
「では何故理解できない」
御尤もであるとも思う。だけれども、わからないことはそれ以上わからないのだ。
「・・・・とりあえず何の審査か、もう一回教えて下さい」
「仕方がない。頭の弱い貴様のために、特別にもう一度教えてやろう」
ため息交じりのその声は、くだらない自尊心と、見栄や虚栄で溢れた大人のそれそのものだ。
平静でいられない環境で、すんなりと状況を飲み込めてしまう方がおかしいのではないだろうか。
「いいか、よく聞け。これより行うのは木更津未来、貴様の人生の審査。この審査により、貴様の死後が決まるのだ」
先ほどと変哲のない返答だった。でも、それが分からないのだ。わからないことがわからないというものでは決してなく、この暖簾に腕押しのような回答は、まさにテレビの向こう側のそれだった。
「だから、どういうことですか」
「言葉通りだ。何度も同じことを言わせるな」
言葉通り、か。そんなような表現も、年を召された民放で聞いたような気もしないでもない。そんな既視感にも似た退屈な感情が湧いてくる。
ただその一方で、閻魔大王が本当にいるという事と、審査、という聴きなれない言葉が思考をさらに鈍らせた。
「なにその冗談、全然面白くないよ」
逃避にも似た言の葉は、あどけない成長した少女を装って発せられるも、その笑いの中には一つの笑顔も介在していない。
「冗談?冗談など言う必要がない。そんなことを言うのは下等な人間だけだ」
なんとも言えぬ納得のような感覚もあった。確かに、冗談といったものは兎角他者に誤解を与えるばかりであること知っていたからだ。昔、友達に何気なく言った言葉が、それ以降一切口をきけぬようになってしまったトリガーであったことも、きっと今の人格を形成した要因の一つだろう。
「じゃあ、もう私は・・・・」
意図せずとも、人を傷つけてしまった私なんか、確かにこうして死んでしまっても、仕方がなかったのか。
そう思ってしまった瞬間、えも言われぬ喪失感と慄然とした嫌悪が、嗚咽と共に咽喉を逆流して私に刺さった。
そうしている間、寂寥とした空気はひどく閑静なようだった。向こうは一言も話さない。信じることのできない況やサイエンスフィクションのようなお託けが、あっという間に終結した人生の何倍もの長さに感じていた。でも実際には、ほんのわずかの間であったことはこの時知る由もない。
「人間にしては、よく理解したではないか。では、早速取り掛かる。」
理解したといえば嘘になる。受け入れることも、まだできていない。だけれども、そうメタ認知している上では、きっとそう見て取れるのかもしれないな。
この落ち着いた、虚無感にも似た感覚。思考が明瞭になると引き換えにして、心の隙間から何かが抜け落ちたような白い感覚が私を覆う。
「ねえ」
感情のない声で呼びかけた。
「審査って、一体何をするの」
審査なんて入試でもなかったのだから、そもそもの元をまず知らないのだ。それなに、いきなり人生の審査なんて。
私は、生きている間に何をしただろう。そもそも、何のために生きていたのか。そんなこと聞かれてしまっては、何も答えることがない。
例えば、もしこの審査とやらで天国か地獄へ行くのが決まるとしたら。きっと私は天国行きになれる理由なんてないと思う。でも、もちろん地獄に落とされるほど悪いこともやっていない。
だから、この審査で決まるということに、えも言えぬ恐怖に似た感情を抱いているのだと思う。
「審査? 何、簡単なことだ。」
本当だろうか。簡単というものほど、実は難しい。簡単とは誰にとって、どんな基準でなのだろう。せめて、私にとってであってほしいものだと、気がつけば勝手に祈っていた。だが、そんな対象のない祈りなど、無意味に等しかったと、すぐに悟る。
「閻魔大王と話すこと。それが審査だ。」
突然、街中で知らない人からお金を手渡されたような、そんな気分だった。
手放しで喜んでも、緊張の糸を切り離しても、もう良さそうな言葉が、私の中の気分をさらに悪くさせる。
放す?離す、ハナス・・・・。いや、そうではないことはわかっているけれども、なんと言えばいいか、混乱に似た黒い感情がひしめいていた。それでも、何故かは判然としないけれど、府には落ちていたのが、一層黒さを増していく。
「後々言われても面倒だ。他に聞いておきたいことはないか?」
そんな、突然言われても何を聞けばいいのか、一体今何がわからないのかすら、わからない。だから仕方がなく、
「うん、でも今はまだ頭の中を整理できてない」
そう答えた。
我ながらひどい言葉だ。
そこに含有される意味は、きっと薄っペラい人生と同じような重さだけだ。
「そうか、では暫し待たれよ。これから閻魔大王を呼んでくる」
“わかった“
机の上に置かれた宿題のプリントが、何気なくついたため息でひらひらと舞い落ちる。そんな日常のように返事をしそうになった。
これまでに思考のアイドリングをしていなければ、多分十中八九言ってしまっていただろう。でも、そんな気にはなれなかった。散らばったピースがまとまるのでもなく、さらに荒らされてしまう。だから、
「あなた・・・・閻魔大王様じゃないの?」
唇を震わせながら、そう発した。
真実とは、常に事実の断片でしかないと、誰かが言っていた。それを何度も私に言い聞かせていたのにも関わらず、そんなことも飛んでしまっていたんだ。
「あ? 何を勘違いしている。私はただの閻魔大王様の代理補佐だ」
代理補佐・・・・?
聞き慣れない言葉を探そうと、要領の悪い脳が躍起になって検索をかけている。それでも、出てくるのは検索結果なしの文字だけだ。それよりも。
「——その格好で閻魔様をじゃないの」
どうしたって聞かざるを得まい。
「何だ、文句あるのか」
「だって、その格好で、そんな冠して、そんな笏持ってたら、誰だって閻魔様だて思うでしょ!? 何代理補佐って! 意味わかんない!」
無い胸の中で燻っていた感情のようなものが、煙のように溢れてしまった。
「おい、貴様」
その剣幕は、私のものを一瞬で撲殺した。
「——それ以上喋ったら殺すぞ」
もうすでに解放されたはずなのに、私はまだ、死という恐怖から逃れられていないことを、この時改めて実感する。悠玄とした無限にも思えたその時間は、ほんのわずかも陰りを見せることなく、あっけない幕切れを迎えてしまったんだ。何を思っても、もう遅いのだと感じることが、本当に切ないとか悲しいとかの感情よりも、空虚なものだったという事も解ってしまった。
「では、閻魔大王様を呼んでくる」
思考の切れ間に、低い声が流れ込んでくる。
そう言い残して、あの閻魔のような閻魔でない物体は、古い私の部屋のドアを開けてどこかへ出て行った。
時計の針は未だ時を指し示していない。
閻魔の代理補佐というあのひとが出ていくと、異様に静かな空間になった。ここは私の部屋なのに私の部屋じゃないことは、火を見るよりも明らかである。
ふと、光らないスマホの画面が目に入った。昨日、寝る前、いやまだ生きていた頃、最後は何していただろうか。ツイッターで誰かの彼氏の話を見ていただろうか。フェイスブックでは、誰かが誕生日だった気がした。ラインの通知も、もう何十件もたまっていた気もしないでもない————。
「死にたいな」
今日もまた聞こえてくる。このところ聞こえない日は全くないようだ。はじめは一日ごとだったか、時たま聞こえる程度だったと思う。だがひを重ねるごとに、数時間ごと数分ごとと、その間隔が段々と私を圧迫し、脅迫し、短くなってきた。それが一体誰かの声なのか、いやそれとも幻聴なのか、もしくは記憶だったのか、それすらも判別できなくなってきそうだった。クラインの壺の中にいるかのようだ。そして反響する声が再びと届いてきてしまったところで、私はようやく一種の答えのようなものに気がついたのだ。
その忌々しい主が、紛れもない私自身の声だったということに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる