大事な思い出を預かるあやかしの店主との出会いによって、私は輝くような人生を手にして幸せになれました

珠宮さくら

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「こずえさん!」
「おじいちゃん。私、あかりだよ」
「こずえさんにそっくりだ」
「孫だからね」


祖父は、何食わぬ顔で現れた。1番会いたくない時だった。あかりは、この日が嫌だと思っている時に現れたことにげんなりした。

だって、今日は結婚式だ。祝福しに現れたならよかった。


「はぁ?! 何で、お前が父親代わりにあかりとバージンロードを歩くんだ!!」
「その言葉、そっくり返す。今更、どの面下げて歩く気だ?」


絢世はあかりの保護者として、この日を楽しみにしていた。あかりの父親や兄、祖父のような役割を器用にこなしつつ、あかりが高校を卒業し、大学まで出るのを支えてくれたのだ。


「歩くも何も、本当の祖父は俺だ。あかり、じいちゃんと歩くよな?」
「ううん。歩かないよ」
「っ、何でだ!?」
「私、絢世さんの養子になってるの。あなたとの縁はとっくに切れてるんだよ」
「っ、」


なんか、段々と嫌な予感が増してしまったあかりを案じてくれた絢世が、結婚式をぶち壊しに来た時を想定して養子にしてくれた。

本当に益々、祖母に似たあかりと結婚すると言い出すのではないかと思っていたが、そうはならず父親としてバージンロードを歩く役目だけを掻っ攫おうとしたようだ。


「なら、祝うのなんてやめだ! お前を嫁になんか出さねぇ!」
「いや、お前、祝いの言葉なんて一言もなかっただろ。それと嫁うんねんの話ができる立場じゃないんだ。悪い、こいつ部外者だ。つまみ出してくれ」


絢世の言葉にあやかしのスタッフたちが頭を下げて、すぐに行動した。


「あかり! お前が、そんなに薄情だとは思わなかったぞ! 母親、そっくりだな!」
「っ、」
「おい、取り消せ」


後にも先にも、殺気立った絢世は見たことがなかった。


「っ、!?」
「お前に薄情だと言われるような女性ではない」


まるで、あかりの母を知っているようだった。


「お母さんに会ったことあるの? あ、あの、アルバム……?」
「えぇ、事故で死にかけている時にあれをあなたに渡してほしいと頼まれました」
「!?」
「何もなければ、20歳で。もし、予期せぬことがあって、辛いことが起こったら、渡してほしいと。最後のページのは、死ぬ間際に書いたものです」


“幸せになって、あいしてる”


絢世は祖母が亡くなり、祖父がどこかに行ったことから、あかりにアルバムを渡すことにしたようだ。

あのアルバムを絢世が、20歳までの思い出を集めてくれていたのも、彼だった。そこには、高校に入ってからのあかりが幸せそうにしていたり、楽しそうにしているもので満たされている。


「薄情なのは、お前だ。お前が居なくなって、こずえさんはそんなに長く生きられなかった」
「え? いや、そんなはずは……」
「お前が、居なくなったから死期が早まったんだ」
「っ、」


祖父は、数年以内に死ぬのが見えて、看取ることができないと逃げ出したようだ。

あかりは、やっぱり、そうかと思ってしまった。

祖父は、自分が何をしたのかにようやく気づいたようだ。力なく落ち込んで、外に連れ出される姿を見たのが、最後だった。


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