前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら

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第1章

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フィオレンティーナが、コツコツとやりたくてやっている花の世話を年に1回あるか、ないかの子爵家のガーデンパーティーをするためにある年、短期間で庭をどうにかするために庭師が雇われることになった。

それまで雇われたことのない男で、ダヴィード・カデロという名前をしていた。その名前は、庭師界隈では真逆の意味で有名な男だった。


「子爵家の庭かよ。貴族の中でも、評判が悪くて、センスの欠片もない貴族の庭なんかを短期間でガーデンパーティーできるようにしろとか無茶なこと言いやがって」


そんな愚痴を言いながら引き受けたのは、仕事がなくなってしまっていたからに他ならない。

だが、ダヴィードが子爵家の庭を見るなり、その見事さにしばらく見惚れることになった。


「これは、どうなってるんだ……?」


ここまで美しい庭を彼は今まで見たことがなかった。彼は、世話を誰がしているのかと思っていたが、子爵家の面々が自分を雇ったのだから、誰も知らないと思って、自分の手柄にするのはすぐだった。


「雇われたのは、俺なんだ。俺が、やったと言ってもいいはずだ」


そんなことを言って、ダヴィードは浮かれた。

毎日、この男がつきっきりで手入れしていても、他のところでこうなったことは一度としてないというのにいかに難しいかをダヴィードは周りに力説して回ったのだ。

それを聞いた者の反応は……。


「お前が……?」
「この国で一番の学園の庭師の親方から、追い出されたんだろ? そんなことできるとは思えないが……」
「っ、な、なら、見に来てくれ。見たら、わかる!」


初めは、誰もダヴィードの話など本気にしていなかった。どうせ、嘘だと思って誰もまともに聞いてはいなかった。

それにあの子爵家の庭だ。見る価値もないとばかりに男の話を無視している者の方が多かった。

それが、あまりにもしつこく、近くに来たのだからとダヴィードに無理やり見せてもらった庭師が、度肝を抜かれることになったのだ。


「こ、これ、お前が?」
「そうだ。そう言ってるだろ」


ダヴィードが手掛けた庭。あの子爵家の庭。それが、トゥスクルム国でも見たことない見事としか言えない庭がそこにあったのだ。

それを見た者が本当だと広めて周り、話題となったのは、ダヴィードが話して回ったよりもあっという間のことだった。

そこから、子爵家の庭を見学に行く者が増えて行った。

実際の庭を見て感激した面々は、ダヴィードに教えてもらおうとし始めたが、そんなことをしたら特に何もしていないことがバレるだけだ。誰が来ても男は弟子にすることはなかった。

そんな嘘をダヴィードがついていたことで、子爵家の面々はフィオレンティーナが花の世話を今もしているとも知らずにいつの間にやら見事になっている庭をフィオレンティーナの母は見ることになった。その庭師が庭仕事をやったからだと思い込み、他の誰かがやったとは欠片も思わなかった。

そして、子爵夫人であるフィオレンティーナの母親が何かと自慢して話し始めたのも、その頃からだった。みんな自分がやったことでもないのにやり始めたのだ。 
かねてより周りに馬鹿にされていたフィオレンティーナの母は、自慢したくとも何もないと思われていることに常日頃からチャンスだけは伺っていたようだ。

だから、最初に子爵夫人が庭の自慢を始めたのを周りが聞いても、大したことはないと思っているのは、庭師のダヴィードと全く一緒なものがあった。

夫人たちはその言葉をそのまま真に受ける者
いなかった。その辺は、庭師と同じような感じのようで、貴族の方が更に酷いものがあった。


「最近、子爵夫人が煩いわよね」
「本当よね。また、いらぬ恥をかくだけでしょうにね」


そわなことを言われて、子爵夫人がいないところで笑われていた。

それこそ、子爵家では年に一回あるかないかのガーデンパーティーは、どこより酷いことで有名だった。

そんなことで有名な家など他にはなかった。


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