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第3章
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しおりを挟むオギュスト・ルデュックは、養子にしてフィオレンティーナと留学生たちと共にフォントネル国に連れ帰った。
彼の妻であるクラリスは、急なことだが念願の娘が我が家に来たことに喜びも大きかったようだが、それ以上にフィオレンティーナに起こったことを聞いて、気を失いそうなことに動揺して、本当の娘以上にフィオレンティーナのことを心から心配した。
それは、クラリスだけにはとどまらなかった。フィオレンティーナが、来る前には緊急事態として、フォントネル国の国中に知れ渡り、共有された。
烙印持ちのせいで、花の守り手が大変なことになったと。国中が、烙印持ちが側にいたことにどうして、そんなことになったと騒いだが、今まさに花の守り手が現れてすぐに消えそうなことを誰もが祈った。
妖精の血を引く者たちにとって、その血を引いていない人間が選ばれたことに首を傾げる者も多かったが、それでも選ばれたのだ。
前回、選ばれた方が忽然と消えてしまったのだ。それから、長らく現れなかった存在だ。今度の方にもしものことがあれば、もう花の守り手は現れないかもしれない。そんな不安が言葉にせずとも、フォントネル国の者にはあった。
クラリスは国に来たフィオレンティーナを見て娘ができた喜びよりも、花の守り手が死にそうなことに心が引き裂かれそうになった。
こんなこと、この国では今までないことだった。花の守り手を迎えて喜びに湧くはずが、真逆なことになったのだ。
だが、死にかけている花の守り手もいるが、随分昔にも、花の守り手が行方不明になったことがあった。
あの時は、この世界から消えてしまったように痕跡が消えていて、別の世界で幸せに暮らしていると思われていたが、本当のところはどうなったかを誰も知らなかった。
それが、今まさに風前の灯火となっている少女がいるのだ。普通の人間にしか見えないが、あの見事な刺繍を作りあげた少女だ。
クラリスは、彼女が花の守り手になったのに納得していた。そこまでのものを持っているとあのハンカチを手にした時から思っていた。
ハンカチのお礼も直接言えないまま、フィオレンティーナに何かあれば、大変なことになるだろう。
もう既に彼女がいなくなれば、クラリスとて生きた心地はしない。それほどまでになっていた。
「何があっても、花の守り手をお守りしなくては」
クラリスもまた、国中の者たちと同じく祈った。夫が、倒れてしまいかねないからと止めようとも、クラリスは祈り続けることをやめようとはしなかった。それをせずにいられなかったのだ。
「クラリス。お前が倒れてしまう」
「この国で一番大切な方が、危ういのです。何もせずにはいられません」
「……そうだな。だが、彼女はそれで具合を悪くした者がいたと知ったら悲しむ」
「……」
「花の守り手に選ばれた方だ。わかるだろう?」
「……そうならないように配慮いたします」
「そうしてくれ」
オギュストは、それだけ言って、妻が祈ることを止めることは二度としなかった。
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