完璧な姉とその親友より劣る私は、出来損ないだと蔑まれた世界に長居し過ぎたようです。運命の人との幸せは、来世に持ち越します

珠宮さくら

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そんな風に前世で、散々なようで本人はそれなりに素晴らしい人生の最後を迎えて、失敗したなんて欠片も思わずにエウフェシアは数百年後に生まれ変わった。

生まれ変わった彼女の名前は、デリア・カラマンリス。前世のエウフェシアと同じ容姿をしていて、彼女を覚えている者は瓜二つなデリアに驚かずにはいられなかっただろうが、それに驚く人に会うことはなかった。普通の人間にとっては、生まれ変わった彼女を見ても、生まれ変わっているなんて思う者はいなかったのだ。

それに気づいたのは、普通の人間ではなかった。


「エウフェシア……?」
「?」


クリストフォロスは、そっくりなデリアを見て思わず、その名を数百年振りに言葉にしていた。

だが、デリアは前世の名前も、クリストフォロスのことも全く覚えていないせいで不思議そうにしながら、自分のことではないと移動したのも、すぐだった。

クリストフォロスはエウフェシアと婚約を解消してから、何人かと婚約をしたが上手くいくことはなかった。

エウフェシアが亡くなってからは、婚約することもせずにいた。見かねた周りに色々言われたが、それでも婚約することを拒み続けたことで、王太子を従弟に譲ることになり、王宮から離れてクリストフォロスはひっそりと暮らすようになっていた。普通の人間の中で、ひっそりと生きていても長寿をやめられるわけではないため、おかしいと思われる前に移動し続けることになったが、それでもマカリオス国に住むより、普通の人間の中で暮らしていたかった。

そんな中で、エウフェシアにそっくりな娘を見つけたのは、偶然だった。再び、巡り会えたことにクリストフォロスはようやく生きる希望を見出せた気がした。

そんなことを思う相手がいることにも気づくことなく、語り継がれる悪女のエウフェシアと呼ばれたことにデリアは、こんなことを思っていた。


(そんなに悪女っぽく見えたのかな? やだな。選ばれた者は永久の幸せを掴むはずだったのにそれを廃止させるような悪女と同じ名前を付ける人なんて、未だに居るの? そんな名前つけられたら、大変な目に合いそう)


デリアは、前世の自分のことだと気づくことなく、そんなことを思っていた。名前のせいで気の毒な目に合いそうだとまで思っていた。

それこそ、永久の幸せを与えられる人物が先程の男性だったことも知らなかった。


(でも、美丈夫で素敵な人だったな。なんか、人間離れして見えたな。あんな人いるのね)


そんなことを思う程度で、お付き合いしたいとかまで考えることはなかった。

もっとも、マカリオス国の出身うんねんのことを知っていても、永久の幸せにデリアはあまり興味はなかった。

見た目も素敵だと思っていても、せっかくのチャンスだからとぐいぐいいくなんてこともせずに目の保養になったことをラッキーと思う程度でしかなかった。

前世から、その辺のことは変わりはなかったが、そこから何かとクリストフォロスと遭遇することになった。

それについても、デリアはこんな風に思った。


(なんか、やたらと会うな)


見目麗しい男性から熱烈なアプローチをされるとは思いもしなかったデリアは、そもそも偶然会っていると思っていて、デリアに会うために必死になっているなんて気づきもしていなかった。


「へ? 結婚??」
「そうだ。結婚を前提に付き合ってほしい」
「は? え?」


あまりにも、アプローチに気づかなすぎることに痺れを切らしたようで、言葉にされて慌てふためいたのは、デリアの方だった。

それこそ、前世でデリアが色々やらかした結果だと言うことを知らないまま、デリアはクリストフォロスに押されまくって返事を保留にしている間に外堀を綺麗に埋められてしまい、結婚するしかなくなっていた。


(なんか、結局、付き合うことに返事しないまま、結婚することに返事しちゃったな)


結婚してからは、周りもびっくりするくらい元気で、可愛いままのおばあちゃんと格好いいままのおじいちゃんとなって、幸せいっぱいの人生を送ることになるとは思いもしなかった。


(なんか、歳を取らないな)


そんな2人は、結婚してすぐにとても言葉で表せない鳥を飼っていた。デリアは、またしても醜い雛を拾うことになり、虫嫌いなのにあれやこれやと必死に世話を焼いて育て上げるのをクリストフォロスは、泣きそうになりながら見ていた。


「どうしたの?」
「いや、虫嫌いなのに凄いと思ってたんだ」


クリストフォロスは、自分に頼めば済むのにとデリアに言うも、彼女は……。


「私が拾ったのよ。世話ができない時は、お願いするかも知れないけど、それ以外は私がやるべきことだわ。そうでなければ、可哀想だからって覚悟もないのに命を拾えないもの」
「……そうか」
「でも、虫を食べてくれないのよね。クリストフォロスさん、鳥って何を好むか知ってる?」
「あー、花とかかな」
「花?」


デリアは、そんなことがあるのかと言わんばかりの顔をしたが、雛が食べてくれるかもと花を色々と取って来て並べた。それを食べるとわかってからは、生傷が絶えないのにクリストフォロスは眉を顰めずにはいられなかった。

それは、前世でエウフェシアが受けた試練を見ているようで、クリストフォロスは胸を締め付けられ思いがしてならなかったが、デリアは全く覚えていないせいで同じことをしていても苦ではなさそうにしていた。

それどころか、楽しげにしてさえいた。そんなデリアを見て、クリストフォロスは今度は絶対に自分が幸せにするという想いが募り、誰が見ても明らかなほど溺愛してやまない日々を送ることに努力を惜しむことをことはなかった。

2人の血縁者が呆れるほど、仲睦まじくしている姿しか見かけることはなかった。

デリアの笑顔が曇ることは、滅多になかった。



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