14 / 20
14
しおりを挟むあれから、小学生にあがるまでに両親は別居することになった。
心音は、お漏らしの一件で幼稚園に来づらくなっていたこともあり、私がみんなに話して虐めるとパパたちに言ったようだ。心音の言い分をすんなり信じているのかはわからないが、心音をパパが引き取り、私のことをママが引き取ることになった。
パパの方の両親、つまり祖父母は心音と一緒に暮らせることになったことを喜んでいた。あちらで暮らせば、わがままを聞いてもらえると思って、心音はご機嫌だった。
高学年になる頃には、両親が離婚する方向で動いていることは知っていたが、私は今更パパたちと暮らす気は全くなくなったが、心音は小学校でも相変わらずだったようだ。
毎年のように好きな男の子が変わり、告白して断られるたびに暴れまわったようだ。問題を起こすたび、パパは平謝りするかと思いきや開き直っていたようだ。祖父母は相手の子が悪いと心音の肩を持ち続けるせいで、そのたび虐められてると話しては改善が見られないと騒ぎ立てて、あちらが転校していくのがいつものことのようになっていたようだ。
そんな心音が、同い年の男の子から年上に片思いをしたのは、6年生の時だった。彼女は実習生の先生に恋をしたらしい。
そんな話を聞いてもいないのにしてくれたのは、パパの方の従姉だった。
従姉妹同士なこともあり、パパのところのみならず、ママのところというか。私のところにもやって来ては、そんな話を聞いてもいないし、約束もしていないのに押しかけて来て従姉は私にした。
もっとも、パパのところでは泊まっていたようだが、ママと一緒にいる私のところでは泊まることはなかった。
従姉は、彼女の両親が共働きで暇をしていたようだ。一人っ子なこともあり、心音のところで恋バナで盛り上がっているように見えて、心音のことがあまり好きではないように私には聞こえてならなかった。
「実習生とはさ。10歳くらい違うわけでしょ? 向こうからしたら、小学生なんてガキにしか見えないのが全然わかんないみたいなんだよね~」
「……」
私は、そんな話を聞いて何とも言えない顔をしていた。
向こうでは心音の味方をしていいように話しているようだ。そんなことをしていることもあり、どうも従姉は友達がいないようだ。
そんな話をしに来るのを私は付き合わされていたが、それが最終的に離婚すると知って、しょっちゅう遊びに来られても困ると言われる少し前になって、実習生がとんでもない目に合ったことを知ることになった。
あの、鬼婆のように心音が告白したのをスルーされたことで、子供好きで先生になろうとしているのであろうことか。ロリコンだと噂を流したようなのだ。
「やることがえげつないわよね」
「……」
それを聞きながら、眉を顰めずにはいられなかった。実習生がとんでもない目に合っているのを従姉は凄く楽しそうに話して聞かせたのだ。その表情から、面白がっているのは明らかだった。
「最低」
「だよね~」
「……もう、来なくていいよ」
「え?」
「両親、離婚することになったから。私のとこまで来なくていいよ」
「そんなこと言わなくてもいいよ。親が離婚したって、うちらには関係ないんだし……」
「あるよ。それに連絡もなく来るんだもの。私だって予定あるんだよね。そっちみたく、暇じゃない」
「っ、!?」
従姉は、心音と似ていた。頭にきた彼女が私を打とうとしているところをママと祖父母が見ることになり、二度と来ないでくれと追い出されることになったのだ。
「心陽。いつも、あぁなの?」
「あぁって?」
「叩かれてたの?」
「……そんなことないよ」
だが、ママと祖父母は言い淀んだ風に言ったせいで、勘違いしたようだ。
「全く信じられないね。心音は、あっちの血が濃いとしか言いようがないわね」
「そうみたいね。しかも、心音が実習生をロリコン呼ばわりしたらしくて、あっちの小学校で問題を起こしたみたい」
「ロリコン?」
「子供好きで先生になるのを目指しているのをロリコンだって言ったみたいなの。それを聞いて、周りも気持ち悪いって思ったみたいで、クラス中が大変なことになってるらしい~」
「幼稚園の時は、鬼婆って叫んだことで、とんでもないことになったんだったわね。全く、次々と厄介なことをやるわね」
「……それで、その実習生の先生は大丈夫なのか?」
ママと祖父母は、心音がしでかしたことで話していた。
私は、実習生が心音に好かれたことが発端だと言うことを知っていたが、ママたちはそれをそもそも知らないようだと思って何とも言えない顔をしていた。
11
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる