17 / 20
17
しおりを挟む「それで、太ったのか?」
「は?」
「お前、人の金だとめっちゃ食うだろ?」
「お祝いしてくれる時だけよ。日頃は抑えてる」
「抑えてるねぇ~」
私は、良典さんに回る寿司を奢ってもらい、食べまくったことで、大学入学の時は覚悟が必要だと本気で思われたようだ。
だが、そこを話さずにたらふく食べたことを龍介に話したら、そんなことを言われて低い声が出てしまったのはしょうがないと思う。
本気で良典さんは、回らない方の寿司屋に連れて行ってくれようとしているようだ。それには、私だけでなくてママも冗談と言えなくなっていた。
本当にいい人、過ぎる。パパなら、のらりくらりと逃げてるか。忘れたふりしているところなのに。……まぁ、比べるだけおかしいんだろうけど。
太ったうんねんの話をされて、私はムッとしてしまった。気にしていることを何気に言うのだ。まぁ、弄り倒して来たら、私も容赦なく仕返ししているが、ねちっこい返しを私はしてはいない。
あれから、中学のみならず、高校も龍介とは同じだった。高校は、どちらも違うところに行くと言っていたのだが、制服がリニューアルされるとなって、その途端にそこに行くことにしたのだ。
流石に制服で変更したなんて言えないから、もうちょっと経ってから言おう。
私は、そう思って黙っていた。
すると入学式で、同じクラスに幼なじみと同姓同名がいることを掲示板で発見して、世間は狭いと思っていたら……。
「「は?」」
本人だった。狭いなんてものではなかった。狭過ぎだ。
彼もまた制服が新しくなるとわかり、デザインが気に入ってそこにしたことを言い出しにくかったのだが、理由までも全く一緒だったのだ。
もっとも彼の場合は、男子の制服ではなくて、女の子の制服が可愛いと思ってのことのようだが。
その辺を追求してはいない。男子高校生にも色々とあるはずだ。
「同姓同名がいるのかと思ってたんだけどな」
「同じこと思った」
私たちは、呆然としながらも本人だとわかって何とも言えない顔をしていた。
「えっと、2人とも、どういう関係?」
「「幼なじみ」」
微妙な空気にいたたまれなくなったのか。聞かれたので答えたら、ハモっていた。
「中学、違ったの?」
「一緒」
「は? なら、何で驚いてたんだ?」
「違うとこ行くって聞いてた」
「左に同じ」
「お前ら、幼なじみっていうより兄弟みたいじゃね?」
クラスメイトは、幼なじみなのに同じ高校にお互いがいることに驚いている状態にわけが分からない顔をされた。
それで、面白い幼なじみがいると思われたようだ。おかしな目立ち方をしたものだと思う。
中学は、結局クラスが一緒になることはなかったから、高校で同じになることに不思議な感覚がしてしまった。
中学では、クラスが違っても同じものを引き当てていた。
「2人は、そういう星の下に生まれたんだろうね」
「それ、どんな?」
「さっぱり、わからん」
「本当だね」
クラスは違ったが、何気に委員会が3年間一緒だったのだ。
「照らし合わせてんの?」
友達にそんなことを言われたので、同じクラスなこともあり、彼女をジト目で見た。
「私、じゃんけんで負けたの見てたよね?」
「は? お前も?」
龍介も、じゃんけんで負けたらしいとわかり、私はあぁとなった。
「じゃんけんのせいだね」
「だな。俺ら弱いんだよな」
「そこ? そこではないよね?!」
龍介は、洸平さんに似て格好よくなり始めていたこともあり、モテることになったが、こんな風に仲良しな幼なじみがいるとなって、カノジョができなかったようだ。
私も、仲の良い格好いい幼なじみがいることで、カレシができることはなかった。
それでも、私が彼を好きな気持ちが変化することはなかった。
「それで、あっちは?」
「会ってないからわからない。話によるとお金をもらえないと親に会おうとしないみたい」
「金ありきなのかよ。ひでぇな」
「お金関係なく酷いから、今更だよ」
「それで、双子ってのに驚くよな」
「うん。私の一番びっくりしてるとこが、そこだよ。両親の家系を綺麗にわかれた感じだから」
それを聞いて、龍介も納得したようだ。
「おばさんとばあちゃんたちは、いい人たちだもんな」
「でしょ?」
「まぁ、おじさんたちの方は、記憶が曖昧だけど」
「姉さんが、あぁなる育て方をした人たちだよ」
「すげぇよくわかるな」
それに龍介は苦笑していた。
「そういや、兄貴。結婚するって」
「あ、そうなんだ」
「この間、挨拶に来てさ。想像してたのと全然違ってた」
「どういうこと?」
鬼婆なイメージが強すぎたようだ。そのせいで、龍介は腹痛に悩まされたようだ。
トラウマだったらしく、それでも実際に結婚する相手を見たら、腹痛は治まったらしい。
その話、私、初めて聞いたけど。
「へぇ~、どんな人?」
「兄貴の好みが、歪んでた」
「はい?」
ケロッと言うせいで、私は変な声が出てしまった。
14
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる