片思いに未練があるのは、私だけになりそうです

珠宮さくら

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「それで、太ったのか?」
「は?」
「お前、人の金だとめっちゃ食うだろ?」
「お祝いしてくれる時だけよ。日頃は抑えてる」
「抑えてるねぇ~」


私は、良典さんに回る寿司を奢ってもらい、食べまくったことで、大学入学の時は覚悟が必要だと本気で思われたようだ。

だが、そこを話さずにたらふく食べたことを龍介に話したら、そんなことを言われて低い声が出てしまったのはしょうがないと思う。

本気で良典さんは、回らない方の寿司屋に連れて行ってくれようとしているようだ。それには、私だけでなくてママも冗談と言えなくなっていた。

本当にいい人、過ぎる。パパなら、のらりくらりと逃げてるか。忘れたふりしているところなのに。……まぁ、比べるだけおかしいんだろうけど。

太ったうんねんの話をされて、私はムッとしてしまった。気にしていることを何気に言うのだ。まぁ、弄り倒して来たら、私も容赦なく仕返ししているが、ねちっこい返しを私はしてはいない。

あれから、中学のみならず、高校も龍介とは同じだった。高校は、どちらも違うところに行くと言っていたのだが、制服がリニューアルされるとなって、その途端にそこに行くことにしたのだ。

流石に制服で変更したなんて言えないから、もうちょっと経ってから言おう。

私は、そう思って黙っていた。

すると入学式で、同じクラスに幼なじみと同姓同名がいることを掲示板で発見して、世間は狭いと思っていたら……。


「「は?」」


本人だった。狭いなんてものではなかった。狭過ぎだ。

彼もまた制服が新しくなるとわかり、デザインが気に入ってそこにしたことを言い出しにくかったのだが、理由までも全く一緒だったのだ。

もっとも彼の場合は、男子の制服ではなくて、女の子の制服が可愛いと思ってのことのようだが。

その辺を追求してはいない。男子高校生にも色々とあるはずだ。


「同姓同名がいるのかと思ってたんだけどな」
「同じこと思った」


私たちは、呆然としながらも本人だとわかって何とも言えない顔をしていた。


「えっと、2人とも、どういう関係?」
「「幼なじみ」」


微妙な空気にいたたまれなくなったのか。聞かれたので答えたら、ハモっていた。


「中学、違ったの?」
「一緒」
「は? なら、何で驚いてたんだ?」
「違うとこ行くって聞いてた」
「左に同じ」
「お前ら、幼なじみっていうより兄弟みたいじゃね?」


クラスメイトは、幼なじみなのに同じ高校にお互いがいることに驚いている状態にわけが分からない顔をされた。

それで、面白い幼なじみがいると思われたようだ。おかしな目立ち方をしたものだと思う。

中学は、結局クラスが一緒になることはなかったから、高校で同じになることに不思議な感覚がしてしまった。

中学では、クラスが違っても同じものを引き当てていた。


「2人は、そういう星の下に生まれたんだろうね」
「それ、どんな?」
「さっぱり、わからん」
「本当だね」


クラスは違ったが、何気に委員会が3年間一緒だったのだ。


「照らし合わせてんの?」


友達にそんなことを言われたので、同じクラスなこともあり、彼女をジト目で見た。


「私、じゃんけんで負けたの見てたよね?」
「は? お前も?」


龍介も、じゃんけんで負けたらしいとわかり、私はあぁとなった。


「じゃんけんのせいだね」
「だな。俺ら弱いんだよな」
「そこ? そこではないよね?!」


龍介は、洸平さんに似て格好よくなり始めていたこともあり、モテることになったが、こんな風に仲良しな幼なじみがいるとなって、カノジョができなかったようだ。

私も、仲の良い格好いい幼なじみがいることで、カレシができることはなかった。

それでも、私が彼を好きな気持ちが変化することはなかった。


「それで、あっちは?」
「会ってないからわからない。話によるとお金をもらえないと親に会おうとしないみたい」
「金ありきなのかよ。ひでぇな」
「お金関係なく酷いから、今更だよ」
「それで、双子ってのに驚くよな」
「うん。私の一番びっくりしてるとこが、そこだよ。両親の家系を綺麗にわかれた感じだから」


それを聞いて、龍介も納得したようだ。


「おばさんとばあちゃんたちは、いい人たちだもんな」
「でしょ?」
「まぁ、おじさんたちの方は、記憶が曖昧だけど」
「姉さんが、あぁなる育て方をした人たちだよ」
「すげぇよくわかるな」


それに龍介は苦笑していた。


「そういや、兄貴。結婚するって」
「あ、そうなんだ」
「この間、挨拶に来てさ。想像してたのと全然違ってた」
「どういうこと?」


鬼婆なイメージが強すぎたようだ。そのせいで、龍介は腹痛に悩まされたようだ。

トラウマだったらしく、それでも実際に結婚する相手を見たら、腹痛は治まったらしい。

その話、私、初めて聞いたけど。


「へぇ~、どんな人?」
「兄貴の好みが、歪んでた」
「はい?」


ケロッと言うせいで、私は変な声が出てしまった。


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