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サンマルティーニ伯爵家がそんなことになっている間にアンジェラは、養子先で婚約をした。
「隣国の王太子と婚約した……?!」
そう、王太子との婚約は自分には向いていないとアンジェラは言っていたはずなのに。婚約した相手は、王太子だったようだ。
(可愛い私のアンジェラが、見初められた。嬉しいけど、どんな方だろ?)
「あぁ、あの国の王太子は、可愛いものが好きだからな」
「それって……」
「ん? あぁ、一途な奴だから大丈夫だ」
王太子のクリストフォロは、ステファニアがシスコンで、アンジェラのことを溺愛しているのをよく知っていた。
それを聞いて、ホッとした顔をしたステファニア。その手には、アンジェラからの手紙があった。養子になっても、姉との仲は良好なままだった。
(お兄様は、今、自分のことに手一杯みたいだけど。本当に自分が婚約できない理由に自分を入れない気かしらね)
学園で、ノルベルトが愚痴っているのを見かけたのは一度や二度ではない。そのたび、愚痴っている相手が違っていた。
(あんなのに構っていたら、気が滅入るでしょうね)
あまりにも酷いため、友達も距離を置くようになっているようだ。付き合いきれないのは、無理もない。
妹が幸せそうで喜ぶ一方で、父と兄が女性関係で荒れ放題となっているのだ。実家が大変なことになっているが、それをどうにかする気にはステファニアはどうしてもなれなかった。
(そういえば、いつも他人事みたいだったのよ。自分のことになれば、動くかと思っていたけど、それもできないみたいね。……頼り甲斐がなさふぎて、婚約者としておすすめできなさすぎるわ)
すすめるどころではない。やめておいた方がいいと言いたくなる。そんな2人が、伯爵家にいた。
ある意味、そっくりな親子がそこにいた。ノルベルトが父に似ていると言われたら物凄く嫌そうな顔をしているのをステファニアは見たことがあった。
あの頃は、愛人に本気になり過ぎて、伯爵家に戻って来なくなっていたから、似てなどいないとステファニアは思っていた。
でも、見た目とかではない。いざという中身が似ていると最近は思うようになった。
そうそう、離婚した母は、実家に戻ろうとして絶縁されたのを撤回されることはなかった。行く宛がないとサンマルティーニ伯爵家に戻って来るかと思っていたが、アンジェラが養子になったところに行くことにしたのは、すぐだった。
だが、母に養子先のことを教えると面倒なことになりそうだと思っていたが、母の知識はどこか偏っていた。
偏りすぎて勘で動いて、アンジェラがいないところまでたどり着いて、そこでアンジェラを探し回ったが、元々いないところで探し回る彼女を周りは……。
「アンジェラって子をさがしているみたいだけど、そんな名前の子、いた?」
「聞いたこともないわ」
知らないかと尋ねる姿に何とも言えない顔をした。
「ちょっと頭が足りないみたいね」
「あんな感じだから、家を追い出されたのかも知れないわね」
そんなこんなで、世話をやかれることになり、アンジェラのことを必死に探す姿に子供を亡くして気をおかしくしていると思われて、優しくされ続けた。
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