私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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クラベル国の学園の受験を受けることになり、監督官はルシアに捏ねで受験する厄介な令嬢だと思っていたようだ。年齢が他の誰よりも幼かったからだろう。

そんなルシアが受けたところで合格するわけもないとはなから思っているような態度だった。まぁ、他の受験生たちにも親切で優しかったかというと全くそんなことはなかったが、あからさまにルシアに対して酷いのは明らかだった。


(ただですら緊張している受験生を更に緊張させるのだけは上手な人ね。こういうのが向いていない人しかいなかったのかしらね。こんなんだから、こっちで早期入学するのを諦める人間があとをたたないのよ。それに早く入学できても、卒業する年齢に変化ないままのようだし。まぁ、その間は留学していればいいと思っている人が、こうして受験に挑んでるようなものだけど)


ルシアは、そんなことを思っていた。受けて見るだけで、合格する気はルシアに強くあったかというと殆どないに等しかった。

監督官は、愛想のかけらもない男性だった。まぁ、試験を監督するのだから、愛想はなくともいいのかも知れないが、必要なことも聞かないと教えてくれないほど不親切で、顔は元々なのか怖い顔をしていて威圧が凄かった。

緊張している周りより、前世のことを覚えていることもあり、ルシアはそんな監督官にため息をつきたくなってしまっていた。

ルシアは、他の面々にも聞こえるように質問を繰り返した。監督官は、そんなルシアに更に苛立っていたが、そんなこと全く気づいていないように他の受験生たちも疑問に思っていることを聞き続けたのだ。


「おい、いい加減にしろ。他の迷惑だ」
「初めてのことなので、わからないことだらけなんです。それに監督官が最初に説明してくれると聞いていたのですけど、いらっしゃらないようなので」
「は? 私が監督官だ!」
「あら、そうなんですか? でしたら、説明をいつしてくだせるおつもりなんですか?」
「っ、お前が煩くするから話せなかったんだ!」
「そうでしたか。それは失礼しました。何分、私も初めてのことで緊張しているようです」


困った顔をしつつ、最後は緊張しているせいだと言ってルシアは平然とにっこりとしてみせたのだ。

監督官は、それに物凄く怒った顔をしていたが、態度が悪いとして退出させることはなかった。そんなことをしていたら、更にルシアは噛み付いていただろう。

監督するだけで、彼はそんなことすら言えないのだ。ルシアは、態度が悪くて受験を受けずに出て行けと言われたら、どうしようと家庭教師に言ったら、そんなことないからと教えてくれたのだ。

家庭教師も、ルシアがそれとなく監督官のことを何かと聞いていたのも、初めての受験で気になっているのだと思っていたようだが、この国の受験のあり方がどうにも腑に落ちなくて、何かありそうだと思って聞いているとは思っていなかったようだ。

そんなことを聞いていたこともあり、ルシアは監督官に言いたいことや聞きたいことを我慢せずに聞いていた。

自分のためでもあり、受験する人たちが困らないようにしていた。


(よく言うわ。試験なんて、どこも一緒みたく用紙を配ってさっさとやらせようとしたくせに)


ルシアは、その監督官と馬が合うことはなかった。


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